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第103話 忠誠

――モンハンシティー・スパム男爵別邸。


今日は面接だ。

エクスにお勧めされた人物の。


「お初にお目にかかります、スパム男爵様」


短髪の黒髪黒目の人物――クロウ・ニーンが俺の前で片膝をつき、こうべを垂れる。


今日は彼……いや、彼女なのか?

見た目が中性的なのと、声が高くも低くも無くて性別が良く分からん――体のラインは大きめのローブを身に着けてるので、そこから判断する事も出来ない。


エクスからはネクロマンサーとしか聞いていないしなぁ……


まあ気にしない事にしよう。

雇うだけなら性別とかどうでもいいし。


という訳で面接である。

まあ面接と言っても、大層なやり取りをする訳じゃないが。


「エクスから男爵家で働きたいと聞いているが?」


クロウの略歴は聞いている。

ネクロマンサーと言うスキルのせいで、随分と苦労して来た様だ。


まあイメージくっそ悪いからな。

ネクロマンサー。

ラノベとかだと主人公がその能力を手に入れて無双キャッキャしたりする話も多いけど、現実だとアンデッド操るのはドン引き物である。


ま、俺は気にしないけど。


「叶うのならば」


「ふむ……君の能力は聞かせて貰っている。俺は能力で差別するつもりはない」


能力的には問題ない。

エクス曰く、イメージが悪いせいでBだが、能力だけなら限りなくSランクに近い冒険者との事。

なのでその強さは折り紙付きだ。


そしてネクロマンサーを抱えているという風評も、俺は気にしない。

なにせ隣国の王女吹っ飛ばして王家から追放された様な身の上で、しかも中身はゲームやラノベに慣れ親しんだ地球からの転生者と来てる訳だからな。


通常の貴族の様に、名誉などどこ吹く風よ。

そんなものが気になるなら、そもそもエクス・カリバルなんか雇ってないわ。


じゃあ決まりだな。

と言いたい所だが、雇うに当たって、絶対に確認しないといけない重要なポイントがある。


それは――


「俺が重要視するのは……人間性だ」


――人間性である。


糞見たいな性格の奴に来られても困る。

これがただの一般人ならそこまで気にする必要はないんだが……限りなくSランクに近い力を持つ糞野郎のネクロマンサーとか、絶対大きなトラブルの元になるのは目に見えているからな。

なので確認は必要だ。


ああ、もちろん確認するのは俺じゃないぞ。

人を見る目とか、俺にはまるでないし。

なのでジャッジを下すのは精霊達である。


「もっと突き詰めて言うなら忠誠心と言ってもいい。まあこの領地と俺のために命を賭けろなんて無茶を求めるつもりはないが、それ相応の覚悟は示して貰う必要がある。クロウ・ニーン。この場で嘘偽りない忠誠を誓えるか?」


確認はこれだけで十分だ。

なにせ精霊は人の嘘を見抜くからな。

なので忠誠を誓うって言葉に嘘が無いのなら合格だ。

まあ逆に、この言葉が嘘ならお引き取り願う事になる訳だが。


いきなり忠誠心を求めるのは無茶?


別にこっちから勧誘した訳じゃないからな。

相手からの強い要望なんだから、そりゃ忠誠を誓う位じゃないとお断りするさ。

誰かの回し者かもしれない訳だし。

スパムポーションの情報を狙ったスパイって可能性とかも考えんと。


まあ精霊ありきだから、情報抜かれてもたいして問題はなかったりするが。


「そ、それだけで宜しいのですか?」


「ああ。嘘偽りない宣誓だけでいい。言っておくけど……嘘は通じないぞ」


「う、嘘など滅相もございません!では……私、クロウ・ニーンはスパム男爵に終生の忠誠を誓います」


クロウが俺を真っすぐ見つめ、宣言を口にする。

ちらりと横に立つジャガリックを見ると、彼は笑顔で頷いて俺の視線に応えた。

クロウの宣誓に嘘はない様だ。

なら――


「良いだろう。クロウ・ニーン。君をスパム男爵家の従士として迎え入れよう」


騎士としてでないのは、クロウが魔法タイプだからだ。

まあ魔法使いだからと騎士になれない訳ではないので、本人が希望するなら後々叙任してもいいけど。


「あ……ありがとうございます!このクロウ!この御恩をに必ず報いて見せます!!」


クロウの顔が綻ぶ。

こんな辺鄙な男爵領で働く事が何でそんなに嬉しいのか俺には理解できないが、とにかく――


ネクロマンサーゲットだぜ!


うん、言ってみただけ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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