後日談Ⅲ:規格外の英雄
初めての小説でしたが無事完結いたしました。
一時期更新ができなかったですが、何とか終わりました。
次回はいつになるかわかりませんが、始まったらよろしくお願いします。
そして、さらに、百年という歳月が流れた。
世界は、完全に、平和になった。
魔族も、人間も、獣人も、精霊も、竜人も、今や、当たり前のように、同じ街で暮らし、学び、働いている。
かつて、世界を破滅の淵に追いやった大戦は、もはや、歴史の教科書の中にしか、存在しない。
魔王城の、大書庫。
そこでは、歴史の授業が行われていた。生徒は、様々な種族の子供たち。
若い魔族の教師が、壁にかけられた、一枚の、古い絵を指さした。
そこに描かれているのは、六人の、神々しい眷属たちと、一人の、美しい魔族の姫君。そして、その中心で、少し照れくさそうに笑う、一人の、幼い魔族の少年の姿。
「……以上が、我々の世界を救った、『名も無き英雄』の物語です」
教師が、静かに語りかける。
「歴史上、彼は『イレギュラー』と呼ばれています。彼が、どこから来て、そして、どこへ去っていったのか。その本当の名前を知る者は、今や、もう、誰もいません。当時の各種族の長たちが、彼の望んだ『平穏な日常』を守るために、その全ての記録を、歴史から抹消したからです」
子供たちが、興味深そうに、その絵を見つめている。
「ですが、一つだけ、確かなことがあります。彼が、その身に余るほどの、神にも等しい力を持ちながら、決して、王になることも、神になることも、望まなかった、ということ。彼が、ただ一つ、望んだのは……」
――その頃。
大陸の、どこか、誰も知らない、静かで、美しい湖のほとり。
そこには、一軒の、小さな家があった。
縁側では、百年の時を経ても、全く変わらない姿の、一人の青年と、一人の美女が、静かに、寄り添っていた。
その庭では、彼らの、子供や、孫たちが、六人の、これまた、全く変わらない姿の、神々しい眷属たちと、楽しそうに、戯れている。
青年――スタンは、その、あまりにも幸せな光景を、目を細めながら、じっと、見つめていた。
そして、満足げに、一言だけ、呟いた。
「俺の二度目の人生は、まあ、悪くない」
彼は、隣に座る、最愛の女性の手を、そっと、握りしめた。
「……いや、最高だ」
【転生したら魔族の息子だった 完】




