【短編夢小説】ショコラミント
過去作。習作とも言いますね(;^ω^)
此処は境界、現実と虚構の狭間に在る書架。
ある者は昼と夜の狭間と呼び、ある者は欠片の海とも呼ぶ物。
私にとっては、私の書斎であり、仕事場であり、私にとっての『世界』である。
「やあお嬢さん、今日もお変わりないですか?」
毎度の様に、燕尾服を着た彼は私に話しかけてくれる。
彼はこの『世界』の外からやって来た、私が初めて遭遇した私以外の生き物である。
「ええ。何時来ても、書架の本ぐらいしか代わり映えは無いですから」
苦笑して答える。
書架の本は私が何かしなくても、自動的に時間の経過で更新されてゆく。
終わった世界の物語でもない限りは、未完の本が多いという特徴がある。
どうにも、様々な世界を自動筆記する本の置かれた書架らしい。
「さて。今日は毎度の礼に、貴女に差し上げたい物があるのです」
私の隣に腰掛けた彼は、私を見ながらそう言った。
毎度の彼なら、書架の本の朗読を私に頼むか彼の見聞した事の話を彼がしてくれるかなので珍しい事である。
というか、初めての事だ。
思わず私は、彼をまじまじと見た。
「……?何でしょうか、メフィストさん??」
不思議そうにする私に、ニコニコと笑ったメフィストさんは私に口を少し大きめに開ける様に言った。
私は素直に口を開けた。
それを見てメフィストさんは、いつの間にか手にしていた円形の物を私の口に抓んで入れた。
「フフフ。ショコラミントの味の飴を手に入れましてね。
是非とも紅美さんにお裾分けを、と思いまして。
貴女の口に合うと良いのですが……如何ですか?」
そう言ったメフィストさんは、私の様子を窺っている。
私は初めての本物の飴を味わってみる事にした。
[[rb:暫 > しばら]]く口内で飴をコロコロと転がすと、甘い味とすっ、とする味を感じた。
この飴は、2つの味が絶妙なバランスで配合されている。
私はすぐに気に入ってしまった。
「有難う御座いますメフィストさん、飴美味しいです♡」
メフィストさんが分けてくれたという事実と、飴の美味しさで嬉しかった私は思わず『ふにゃ』という擬音の付きそうな笑みになって返礼を返してしまった。
「紅美さんのその可愛らしい表情が見れたのは、僕には嬉しいですね」
メフィストさんはそんな私に呆れる事無く、むしろ艶然とした笑みで言った。
……それはなんだか、反則だと思います。
気紛れなメフィストさんの事だから、恐らく他意は無いと思う。
それ故、特に他意も無く色香を撒かないで下さい……私がどうにかなりそうです。
「礼に対して褒美を貰っては何なので―――」
そう言ってメフィストさんは私の片側の頬に手を添えて、もう片側の頬の上に軽く口づけを落とした。
私は思わず、顔が真っ赤になってしまったと思う。
顔に熱が集中して、なんだか飴の味も判らなくなってしまったのだから。
「―――ご馳走様です。
紅美さんの唇に接吻をする予定は、僕で埋めておいて下さいね♡」
そう言って悪戯っぽく笑ったメフィストさんは、私の頬に添えた手を離して人差し指を私の唇に軽く当てた。
結局、どうにもメフィストさんに翻弄されてしまう。
それでもメフィストさんが好き。大好き。
その想いをメフィストさんに伝えたら、彼は如何思うのだろう?
今の関係が壊れる事が恐ろしい私には、それが伝えられなかった。
小説書く練習に書いた習作夢小説。とりあえず短編。
舞台設定がゆる~い仕上がりで相手は我が家のメフィストさん。
この作品の舞台になっている様な空間に彼が行けるのは、おそらく彼が幻魔族だからだと思う(; ・`ω・´)
ヒロインの名前はランダムに決めたデフォルトネームなので脳内で好きに置き換えて読んで下さい。
余談で言うと作者はチョコレートクッキーミントやショコラミントとか好きです。




