第1話 君に会えて本当によかった。
ピーナッツとアーモンド。
君に会えて本当によかった。
「ありがとう。助かったよー」
にっこりと笑いながら車の中でピーナッツは言った。
「別にいいですよ。たまたまですから。それに困ったときはお互いに助け合うのが『旅人』ですからね」
アーモンドは小さく笑ってそう言った。(それからアーモンドは水滴のついている透明なカップに半分くらい入っている飲みかけのアイスコーヒーをストローで美味しそうに飲んだ)
小さな赤い車の外に広がっている風景は一面の黄緑色の草原だった。どこまでもどこまでも続いている見渡す限りの大草原。その中にある一本の道の上を小さな赤い車は走っている。
走っている車は小さな赤い車だけで、ほかに走っている車は世界のどこにも見えなかった。
時間は夕方。大きな真っ赤な色をした太陽が沈みかけていて、世界の全部をほんのりと橙色に染めている。
風はとても気持ちよくて、その風を感じるために車の窓は開けていた。
ピーナッツは旅の荷物の間に木の板を挟むようにして持っていた。その木の板には『街まで乗せてください』と手書きの文字で書いてあった。ピーナッツは道の横でヒッチハイクをしていたのだった。そしてアーモンドが小さな赤い車を止めて、ピーナッツを乗せてくれたのだった。
ピーナッツとアーモンドは二人とも十四歳の女の子だった。
アーモンドは車を自分で運転できる年齢ではなかったのだけど、車にはもともとハンドルがなくて、運転しなくても『車は勝手に走っていた。運転するのに資格などがいらない自動運転の車なのだ』。
ガラスの板のようなコンピュータの画面に向かって「止まって」とか、「どこどこまで行って」とか言うと、『はい。わかりました』と可愛らしい小さな女の子の声で返事をしてくれて、そこまで安全運転でちゃんと走ってくれるのだった。
小さな赤い車だったけど車の中の空間は長椅子があるだけだったから、広がった。(長椅子を倒して寝っ転がることもできた)
ピーナッツとアーモンドの長い栗色の髪と亜麻色の髪が気持ちのいい風に揺れている。
「ねえ。ピーナッツ。私たちお友達にならない?」
アーモンドがピーナッツを見て笑いながらそう言った。
ピーナッツもアーモンドとお友達になれたらいいなって思っていたから嬉しくなって「もちろん。お友達になろう!」って思わずはしゃぎながらそう言ってにっこりと笑った。




