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都合の良い女達  作者: ぱぴぷ


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5/5

山岡 康太

俺は山岡康太やまおか こうた。男子バスケ部の副キャプテンだ。身長はあまり大きくないが、ディフェンスにはかなり自信があり、部の皆からはとても頼られている。顔もまあまあイケてて、いままでに5回も告白されている。

だけど、全てお断りさせてもらっている。……なぜなら、俺には最愛の人がいるからだ! 

 

彼女は東堂光。俺の幼馴染だ。

光は可愛い。いや、可愛いなんて次元の代物じゃない。まさに神が作り出した最高傑作だ! どんな男をも振り向かせる美しさがあり、それでいて愛嬌もある顔立ち。海外のボディモデルにも引けを取らない、圧倒的なスタイル! 学力も学年トップ10には必ず入っており、バスケの実力に至っては既にプロからスカウトが来てるほどだ。まさに完璧、非の打ち所がない。

 

光の美しさはSNSにも広がり、なんと『〇〇高校バスケ部の超絶美少女』というタイトルでウォーミングアップ中の動画が拡散され、10万以上のいいねが付いた。TikTo〇でも人気者で、友達のダンス動画にちょっと映り込んだだけで、とんでもない数のいいねやコメントが殺到するほどだ。

だから光はモテる。……とんでもなく。

学校一の超イケメンと言われる先輩、同級生、後輩、大学生からの告白すらも、彼女はノータイムで断っている。 

もちろん、俺も光が大好きだ! 初めて出会った幼稚園の頃からずっと! 


俺は過去に2回告白しているが、どちらも「バスケに集中したいから」と言われフラれた。……けど、フラれた理由が「他に好きな人がいるから」とかじゃない。だからまだ期待している。絶対に光の事は諦めない。 

 

俺のかっこいい所、沢山見せつけて、絶対に光を振り向かせてやる。


ーーー 


そして、高校生活最後の大会。俺達男子は準々決勝で敗れてしまった。……でも、悔いのない良い試合だった事もあり、俺は清々しい気持ちで満足していた。

一方の光達は、大会の決勝まで進んだらしい。さすがだ! 

よし! いい機会だ。この大会の後、もう一度告白しよう! 俺はそう決心した。 

 

決勝が始まり、俺は応援席から光に声援を送った。そして、自分の目を疑った。

光が、今までに見た事がないくらいキレのある、凄まじいプレーをしていた。


「すげえ……」


周囲の男子達も、あまりの凄いプレーにどよめき、驚きの声を上げていた。

結果は圧倒的な優勝。本当に完璧だ! 

閉会式が終わり、女子バスケ部の面々がエントランスの方へやって来る。その中には、大好きな光の姿も……。俺はすかさず、光の前に進み出た。

 

「光! すごかったぞ! まじでやばかった!」 

「うん、ありがと」 

 

光の反応が薄い。……さては照れてるな! 

俺は大きく息を吸い込み、勇気を出して口を開いた。

  

「光! 実は大事な話があるんだ!」 

 

「家に帰ったら光ん家に行くから待っ――」

「あっ! 関路さん!!」

「……え?」 

 

俺の言葉を遮り、光が満面の笑顔で駆け寄り、力いっぱい抱きついたのは……全く見知らぬ男だった。

男はかなりの高身長で、長袖のシャツを着ていてもわかるくらい筋骨隆々だった。しかも、左手の甲から指にかけて、タトゥーが見えている

えっ……誰だよ……そいつ! 光! なんだよ、その顔!

大好きな男にすり寄るような甘い表情。そんな女の顔、10年以上一緒に居た俺にだって、一度も見せた事がないのに。 

 

その後、俺はショックのあまり飯が喉を通らず、眠れない日々が続いた。体調不良という理由で、学校を丸々一週間休んでしまった。


ーーー


ベッドの中で、俺はずっと「なんで……誰だ……嘘だろ……どうして」と虚ろに繰り返していた。

あの男は一体誰なんだ。……明らかにヤバそうな男だった。顔立ちはかなり整っていて、男らしくも爽やかなイケメンではあった。

でも、それ以上に異常なのは身体だ。身長は確実に180を超え、服の上からでもわかる丸々とした筋肉なんて、生で初めて見た。……そして極めつけは左手のタトゥー。あれは完全に、普通の一般人じゃない。……絶対に反社か、それに近しい人間だろう。

ま、まさか光……脅されてるんじゃないか?!

そ、そうだ! それしかない……!

でも……光、凄い笑顔であの男に抱きついていた。あんな幸せそうな光……見たことない。 

クソッ!! なんなんだよ! マジで意味わかんねえ……。

光……光! 光! クソ……クソ……うぅ……。


しばらくベッドで丸まっていると、スマホのLIN〇の通知が鳴った。 

光か!? と飛び起きて通知欄を見ると、毎日連絡を取っているバスケ部の友人からだった。 

俺はがっかりしてスマホを放り投げようとした。しかし、メッセージのプレビューに『光』という文字が見えた。すぐに画面を開いて確認する。


『光のストーリー見ろ!』


友人からの、焦ったような短いメッセージ。

嫌な予感がする……。全身から嫌な汗が吹き出すのを感じながら、俺は恐る恐るインスタを開き、光のアカウントへ飛んで、ストーリーのアイコンをタップした。


「え? え? は?」


画面に映し出されたのは、俺が今まで見た事がない、獣のように下品で、熱っぽくニヤけた光の顔だった。鏡越しに撮られたその写真で、彼女は……全裸で男の上に跨り、ピースサインをしていた。

俺の脳は、その画像が意味するものを理解するのを全力で拒絶していた。


「な、なんだよ……これっ!! ……なんなんだよっ! これはああああああ!!!」

「嘘だっ……嘘だよな……あ"あ"っ!!」


完璧で純潔だった俺の女神が、どこの馬の骨とも知れないヤバい男にぐちゃぐちゃにされている。

ショックで目の前が真っ暗になり、気が狂いそうになった。

そしてもう一度……ひどく震える手で、俺はスマホの画面を直視した……。

ーーー涙が枯れ……喉が潰れるまで叫んだーーー

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