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70話 王女様とデート④

しまった・・・


勢いというものは本当に怖いものだと、今、猛烈に実感している。

絶対に自粛しなくては!と強く思った。


(反省・・・)


俺の目の前には・・・




偽装を解き一糸纏わぬ姿の王女様がスヤスヤと眠っている。寝顔がとても嬉しそうだよ。


俺も裸で王女様が抱きついている。

王女様と男と女の関係になってしまった。


(う~ん、ラピスやローズの思惑通りになってしまったよ・・・)


あいつらは俺が妻を増やすのに抵抗が無いのか?特にラピスはかなりのヤキモチ焼きのはずなんだけどなぁ~



それにしても・・・


まさか王女様まで俺の妻の仲間入りになるなんて思ってもいなかったよ。


眠っている王女様を見ているけど、アン達に劣らない程の美少女だ。生まれ変わってから俺ってモテ過ぎでは?でもなぁ~、前世の時でもラピスとソフィアに告白されていたな。


(こんな俺を好きになってくれてありがとう・・・、みんな大切にするよ。)


「そろそろ夕方になる頃かな?」


眠っている王女様の頭を優しく撫でていると目を覚ました。


「あっ!私、眠ってしまって・・・、すみません・・・」


すごく申し訳なさそうにしている姿がとても可愛いな。ギュッと抱きしめると嬉しそうにキスをしてくれる。

お互いの唇が離れると見つめ合い自然と笑ってしまった。


「まさか、こうしてレンヤさんと結ばれるなんて、さっきまで思ってもいなかったですよ。結婚したいとずっと思っていましたけど、こんなに早く夢が叶うなんて・・・」


「俺もビックリだな。でもシャルが王女で良かったと思うよ。テレサとも仲良くしてくれているし、感謝しているよ。話は変わるけど、体の方は大丈夫か?」


「えぇ、問題無いですよ。」

ニッコリと王女様が微笑んでくれる。

「少しズキズキしますけど、歩く事には支障はありません。」


「だけど痛いのだろう?回復魔法でもかけるか?」


「いいえ、大丈夫です。」

ゆっくりと首を振った。

「この痛みはレンヤさんと結ばれた証ですよ。幸せの痛みですから、そのままにしておきたいのです。シーツには血が付いてしまいましたから、ローズさんが仰った通り交換しないといけないですけどね。」


「確かにな・・・、何だろう、ローズのニヤニヤ顔が想像出来る。」


「そうですね。」


王女様も同じ事を想像したのか若干引きつった笑顔になっていた。


「レンヤさん」


抱き着いてる王女様が上目遣いで俺を見ている。

アンの上目遣いも破壊力は抜群だけど、王女様の破壊力も同じくらい凄まじいよ。何でも言う事を聞いてしまいたくなるよ。


「私とレンヤさんが結婚を約束した事はしばらく内緒にして欲しいの。」


「どうしてだ?」


「この前もお話したけど、お兄様の婚約式が来月にあるでしょう。さすがに続くのもねぇ~、帰ってからだと私の方の準備も間に合わないわね。」


(そういう事ね。)


「王都に到着してから父にはこっそりとお話しするわ。でもこうして抱かれた事は言わないけど・・・、そんな事が分かったら父も何をするか分からないしね。」


その瞬間に王女様が真っ赤になってしまった。そうだろうな、さすがに口に出すのは恥ずかしいよな。

それに親に内緒でこんな事をしてしまったのだ。勢いというの本当には怖いよ・・・


(そんな事は言えないけど、頭を下げて『娘さんを下さい!』って言わないといけないのだろうな。)


「時期をみて私との婚約を発表する事にするわね。うふふ、昨日まで落ち込んでいたのが嘘のようよ。」


チュッチュッと何度もキスをされてしまった。

王女様ってかなり甘えん坊さんなのかな?

こんな可愛い王女様とずっとイチャイチャしたいけど、もう時間だ。


「シャル、そろそろシャワーをして着替えないとローズが帰って来るぞ。」


「あっ!そうね!早くしないと!」




今はローズの商会の応接室まで移動して寛いでいる。ベッドのシーツを交換するので、一時的にこの部屋に移動していた。


さっきの部屋に入ってきたローズの顔といったら・・・


「あらら、予想通りだったわね。」

口に手を当てて『むふふふ・・・』と微笑んでいるよ。

王女様は恥ずかしくて俺の手を握って後ろに隠れてしまうし・・・


だけど、急にローズが真剣な表情になった。

そして王女様へ深々と頭を下げる。


「ようこそ、私達は王女様を歓迎しますよ。妻としてお互いにレンヤさんを盛り上げていきましょうね。」


「はい!こちらこそよろしくお願いします!」


王女様も俺の後ろから出てローズへ頭を下げた。


「だけど、今はみなさんには内緒ですね。特にテレサさんにバレると、あなた、とってもヤバいわよ。」


ゾクッ!


今、テレサが剣を持ってゆらぁ~と俺の前に立っている姿が鮮明に想像出来たぞ!

瞳孔が完全に開き切って髪を振り乱している幽鬼のような表情も想像出来る。


「シャル、絶対にテレサに気付かれないようにな。命の保証が出来ないぞ。特に俺の命が・・・」


「はい!」

王女様がうんうんと頷いている。

「それは重々承知しています。王都まで戻る3週間、絶対にテレサには悟られないようにします!」


「頼んだぞ。」


「でもレンヤさん・・・」

王女様がまた上目遣いで俺を見てくる。


「どうした?」


「時々でもいいので、またこうしてデートに連れて行ってくれませんか?王都までの途中の町でもよろしいので・・・、王女としてではなく1人の女としてレンヤさんと一緒にいたいのです。」


「分かったわ。」

ローズがサムズアっプしている。

「そういう事なら、私達が全面的にバックアップするわよ。安心してレンヤさんとのデートを楽しみなさいね。」


「ありがとうございます。」


「ふふふ、私達妻連合は鉄の結束なのよ。抜け駆けは禁止だけど、お互いに協力する体制は完璧だからね。」


おいおい・・・

いつも思うのだけど、俺の知らないうちに色々と話が進んでいない?


(今もそうだけど、将来は更に尻に敷かれるのは間違いないだろうな・・・)


本当にパワフルな妻達だよ。




「シーツの交換も終わったから、いつでも帰る事は出来るわよ。」


再び部屋に戻り、王女様がベッドとソファーを指輪の収納魔法へ収めていた。


マジマジと指輪を見ている。

「さっきもそうだけど、この指輪は本当に凄いわ。私1番の宝物になったわね。それにこの指輪は左手の薬指に着いているのよね。結婚の証もいただいたし、今日は最高の1日だったわ。」


(やっぱり王女様はこの位置の指輪の意味を知っていたのか。)


「あなた、私はもう少し仕事をしてから戻るわ。王女様をよろしくね。」


「分かったよ。」

王女様の手を取る。

「それではみんなのところに帰ろう。」


「はい。」


ニッコリと王女様が微笑んでくれた。最高の笑顔だよ。




「うわぁ~~~~~~、まるで鳥の気分!こんなの初めてよ!」


俺の腕の中で王女様がとても嬉しそうにして周りを見ている。

いわゆる、お姫様抱っこの状態で空を飛んでいた。

デートの前にラピスが言った『空の旅が良いかも?』の言葉を王女様が覚えていて、出来るなら空の旅をお願いしたいと言われたので、こうして空を飛んでいる。


そのまま高速で飛ぶと風圧で大変な事になってしまうが、さすがは『結界師』の称号を持つ王女様だ、俺達の前に防御フィールドを張ってくれたおかげで風圧を気にせず高速で飛べるようになった。


その時の王女様は嬉しそうに「初めての共同作業ですね。早くみんなに夫婦だと宣言したいですよ。」と言ってギュッと抱き着いてきた。

王女様の立場だったから、みんなの前ではどちらかといえば堅苦しい態度だったけど、こうしていると歳相応の女の子なんだと思う。素直に可愛いよ。


「さて、今のスピードじゃ夕食前に間に合わないからな。最大速度で飛ばしていくぞ!」


「はい!しっかり掴まっていますよ!」


「よし!行くぜぇえええええええええええ!」


一気にスピードを上げてみんなのところまで飛んで行く。周りの景色があっという間に流れていく光景は見ていて面白い。

王女様は怖がるかと思っていたけど、さっきよりも喜んでいたのにはちょっとビックリだよ。


「きゃははは!スゴイ!スゴイ!馬で全速力で駆けてもこんなに早く走った事は無いですよ!鳥よりも早く飛んでいるのではないのですか?」


「う~ん、多分、今でもドラゴンよりも早いかもしれん。もっと早く飛べるけど、これ以上は障壁が持たないな。」


「それなら・・・」


王女様がクイッと指を動かすと、目の前の障壁が円錐状になり先端が尖ってくる。


「これなら風圧の影響はさっきよりも格段に減ったと思いますよ。」


確かに、空気抵抗がかなり軽減されたと実感した。


「さすがはシャルだ。俺と違って頭が良いな。これならもっとスピードアップが出来そうだよ。」


「ふふふ、そう言ってくれると嬉しいわ。」

チュッと俺の頬にキスをしてくれる。


「それじゃ、もっと飛ばすぞ!」


「はい!お願いします。」



更にスピードアップして飛んだから、あっという間にみんなの馬車が見えてくる。


「あっという間に付いたな・・・」


「それでも、初めての空の旅は最高でしたよ。今日は初めて尽くしばかりで一生忘れないわ・・・」


そして俺の顔をジッと見つめた。

「しばらくはイチャイチャ出来ませんから・・・」


王女様の方からキスをしてきた。かなり長い時間キスをしてから唇が離れる。


表情がキリッとし、いつもの王女様の表情に戻った。

「さぁ、戻りましょう。」


「おぅ!」



俺達の位置を既に把握していたのか、ラピスが馬車の上から手を振ってくれている。

そのまま馬車の屋根に着地した。


「お帰り」


ニッコリとラピスが微笑んでくれている。


「どう?リラックスは出来た?」


「はい」

王女様がラピスに微笑む。

「おかげさまで、心身共に充実させてもらいました。大賢者様の心遣いに感謝します。」


「そんなに畏まらなくても構わないわ。非公式だけど私達はもう仲間だからね。私の事はラピスと呼んで構わないわ。私も2人っきりの時はシャルって呼ぶからね。」


「はい、ラピス様、そう呼ばせてもらいますね。」


しかし、ラピスがちょっと引きつった顔になっている。

「だから、『様』付けもいらないのだけど・・・」


「いえいえ、これは譲れないわ。勇者様の次にラピス様が私の憧れの人なんですから・・・、慣れるまでは我慢して下さい。」


「分かったわ。今はレンヤとの関係を公にする訳にいかないからね。普段もこうした付き合いでないといつ気が緩んでバレてしまうか分からないし・・・、公表したら堂々とイチャイチャするのも構わないでしょうし、それまで我慢させて申し訳ないと思うわ。」


「大丈夫ですよ。私は王女なんですから、それくらいの事は我慢出来ますよ。好きな人と結婚出来る・・・、こんな幸せは王族として最高ですからね。」


「ふふふ、そうね・・・」


2人がニコニコと微笑んでいる。


(お互いに仲が良くて助かったよ。後はテレサにバレないように過ごすだけだな。証拠は無いし、王女様も普段は弁えているから問題無いだろう。)






SIDE  テレサ


あっ!兄さん達の馬車が止まったわ。多分、2人が帰ってきたみたいね。

あら!兄さんとラピス姉さんと一緒に殿下まで馬車の屋根にいるじゃないですか。

3人揃って楽しそうにしているわね。

それにしても、こんな楽しそうな殿下の姿は初めて見るかもね。


「むっ!」


何?何だろう・・・



殿下の様子がいつもと違う・・・



どう言えばいいのか分かりませんが、朝の殿下と雰囲気が全く違う感じがします。

何か急に大人っぽくなったような感じです。


(兄さんと何かあったの?単なるデートではなかったのかしら?)


だけど、殿下にそのような事は聞けません。いくら何でも失礼ですからね。当分は様子を見る事にしましょう。


殿下の変化は気になりますね。要チェックです!


でも、馬車の屋根の上にいるのよね。どうやって降りてくるの?それ以前に何で屋根の上にいたのかしら?


「あっ!」


兄さんが殿下をお姫様抱っこをして屋根の上から飛び降りたわ。殿下が嬉しそうに兄さんの首に手を回しているし・・・

しかも、何で?2人の仕草がとても自然なのは?


私が慌てて2人の前まで走っていくと急に兄さんが殿下を降ろしたわね。私が近くに来るとマズイ雰囲気なのかしら?

昨日の殿下の様子は私から見ても落ち込んでいたのは間違いなかったけど、今の殿下の態度は正反対よ。しかも、私が近づくと急に離れてしまうし、何をお互いに意識しているのよ!


(本当の恋人になったみたい・・・)


やはり間近で見る殿下はやっぱり違って見えます。

兄さんを見る目が全く違うわ。あの目はラピス姉さんやアン姉さん達と同じ目よ。しかも、お互いに普段通りでいようと無理をしているのが見え見えよ。




「はっ!」



(どういう事?兄さんと殿下から同じ石鹸の香りがする。あの家にあった石鹸とは違う香りだわ。)



どうして?






まさか?





兄さんと殿下はこのデートで本当の・・・




もしかして・・・、私だけが取り残される・・・






そんなの・・・





「テレサ・・・」


殿下が私を呼んでいるわ。


「はい!殿下、何でしょうか?」


「今日はありがとう。テレサの提案のおかげで心機一転出来て元気が出たわ。」

とても嬉しそうに微笑んでくれる。


色々聞きたいけど聞けない!このジレンマがぁあああああああああああああああああ!




今夜も殿下と一緒にベッドで眠る事になったけど・・・


「テレサ、あなたの兄さんは本当に素晴らしい人ね。さすがテレサが好きになっただけあるわ。」


嬉しそうに薬指の指輪を撫でているわね。しかも、時々うっとりした顔になるし・・・


(間違いない・・・、兄さんと何かあったのね。私の勘が訴えているわ。)



私は殿下と比べて完全に出遅れてしまったようね。


殿下・・・、ある意味、私とはライバルですよ。



明日は私が兄さんを独占します!


殿下だけの好きにはさせまんから!


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