0 とある空間の絶対支配者
広大な空間だというのに音も無く、風も無い、そして周りは白を中心とした虹色の光で溢れている。
宇宙を白にしたらこんな風景になるんじゃないか、そう思わせる風景だ。
そんな巨大でありながら無機質な空間に漂っている人影があった。
「面白い人間でありました」
ぽつりと呟かれた言葉は巨大な空間に飲み込まれていく。
しかし人影が発した言葉はどこか力強さを感じさせ、妙に引き込まれる物があった。
「神という絶対的な存在になることが決まっていながら成長を望む。私には想像もつかないものです」
人影は他人事のようにそう呟く。
先ほどまで人影が対峙していた人間はとある現象に巻き込まれたために異世界で神になることが決まった特異な人物であった。
「まあ、あの世界では神など珍しい存在ではないのですから生き延びるためにはそうした力も必要でしょう」
人間が行く異世界はその人間が生きていた世界よりも何倍も大きい星であり、人間の世界で空想上の生き物が元の世界には無い超常の力を持ってして顕現している世界としてかなりの力を秘めた世界であった。
むろん、人間がいた世界も成長するスピードとしては他の世界を見ない素晴らしい物であったが如何せん成長限界に達しつつありその勢いが納まりつつあった。
その世界の住人が異世界に行くことで何が起きるのか、成長か衰退か、進化か破滅か、それが人影に取って必要であることを人間は知らない。
「楽しみにしていますよ、これから世界がどうなるか。その中心に貴方がいるかもしれないしいないかもしれない」
ふと、人影の口元が変わった動き方をした。
それは口角が上がったときの表情であり、実に楽し気な顔であった。
「何万年後、貴方に再び会うことになることを」
続きは聞こえなかった。
人影はすうっと空間に溶けるようにして消えていき、言葉だけがキラキラとした光を放ってその空間にあった少しだけ大きな光を放つ球体の中に何かを目指すかのように意志を持って進んで消えていった。




