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ダンス発表会ですわ Part2

わたくし達のダンスが終わると他の生徒達が互いのパートナーと共に踊り始めた。


プリンセスラインのクリーム色のドレスが緩やかに可憐に舞い愛らしい花を咲かせている。


まだダンスに慣れていない者達も多く、その者達のダンスは優雅さに欠けるがその分微笑ましい程に初々しい。


ガルゴリー様とイリーナ様のダンスが目に入った。


剣の腕前は一流で、体技も実に優秀なガルゴリー様なのだが、ダンスはお世辞にもお上手だとは言えない。


動きの1つ1つが大雑把でよく言えばダイナミック、実際には女性を振り回すような力任せなダンスである。


だけどそこは流石イリーナ様と言える。


そんなガルゴリー様のダンスに靱やかに対応し、決して振り回される事なく柔軟に対応されている。


「ガルゴリーは相変わらずだな」


「ええ。ですがイリーナ様と踊っておられる限りは安心して見ていられますわ」


「あの踊りに付き合えるのだからイリーナ嬢の技量は素晴らしいものがあるな」


「そうですわね」


ガルゴリー様はイリーナ様と踊っている時実に楽しそうになさっている。


楽しさが爆発し、時折イリーナ様を抱き上げてクルクルと回ったりなさるので近くで踊っていると冷や冷やするものだが、イリーナ様曰く「あのクルクルも慣れると楽しいのですよ」という事なのでそこはもう流石としか言いようがない。


ふと違和感が目に飛び込んできてそちらを見ると、アリシアが担任の先生と踊っているのが見えた。


男子生徒はグレーの燕尾服なのに対して担任の先生は濃紺のシングルのツーピースという、踊るには少々相応しくない格好である。


ここはきっとゲームの世界観を持っているゲームとは異なる世界なのだろうと最近では考えている。


前世にあったサラリーマンが着るようなビジネススーツが存在しており、学園の男性教師達はそういったビジネススーツを着ているのだが、ビジネススーツでダンスというのはこの世界では決して見掛けない光景である。


所々に前世の名残を感じる如何にもゲームだとしたら『ご都合主義』とでも言えばいいような物が存在している不思議な世界である。


テレビやスマホはないけれど下水道は整備されており、トイレは便座タイプの水洗トイレが当たり前。


電気が通っており明かりはスイッチ1つで簡単に点き冷蔵庫もエアコンも存在している。


ね、ご都合主義でございましょ?


生活する上で便利なのでわたくしとしては大変有難いのですけれど、普通に考えてみたら「その技術は誰が考えたの?!」と時代背景にそぐわない物が多い。


話が随分と脱線してしまいましたわね、ごめんあそばせ。


先生と踊るアリシア。


「お相手、見つからなかったのですわね」


「ん?何だ?」


「アリシア様ですわ」


「教師と踊っているのか?!...誰も相手をしたくなかったのだろうな...あれと関わると自分の評価を下げ兼ねないからな」


ヒロインがそれでいいのか?!と思わないでもないのだけれど、これまでのアリシアの有り得ない行動の数々は多数の生徒が目撃しており、関わり合いになりたくないと思われても仕方がない。


だからってまさかパートナーすら見つからなかったなんて...気の毒ですわね、流石に。



ダンスのフリータイムが始まりました。


わたくしの元へも何名かの男子生徒がやって来てはダンスの申し込みをされましたわ。


その度に隣から冷気が発生したのは気のせいですわ、多分。


今回は必ず一度は別のパートナーと踊る事を条件付けられておりますので一番初めに申し込みのあった同じクラスの男子生徒と踊りましたわよ。


お相手は男爵令息のダニー様。


ソバカスの散った顔が愛らしい、わたくしよりも少々小柄な方で、「すみません、僕、ダンスを学園に来てから習ったものでご迷惑をお掛けしてしまうかもしれませんが、こういう機会でもなければイザヴェル嬢と踊る機会などないと思って思い切って声を掛けさせていただきました」と緊張した面持ちで一生懸命お話しなさる姿は好感が持てましたわ。


ダンスの腕前はまだまだ改善の余地がございましたが、足を踏まれる事もなく、少々ステップを間違える箇所が多かったけれども一生懸命リードしようという気概が感じられて悪くありませんでしたわね。


「一生の思い出になりました!ありがとうございます!」


ダンスが終わった際にそんな事を言われてしまいましたが、わたくしと踊った程度で一生の思い出だなんて大袈裟ですわよね。


レンも同じクラスの女子生徒と踊っておられましたわ。


お相手は伯爵令嬢のマーリン様。


見た限り可もなく不可もなくといった具合で踊っておられたように見えたのですけれど、踊りを終えたレンがわたくしの元へと戻ってくるなり「踊りにくかった...そして香水が臭かった」とボヤいておりました。


最低限一度は別の相手と踊る事となっていた為、わたくし達は他の方と一度だけ踊りましたが、その後はお誘いをお断りしてレンと再び踊った後は他の生徒達の踊る姿を見ておりましたわ。


ガルゴリー様と踊ってらした女子生徒達は皆一様に大変そうでしたわね。


アリシアもガルゴリー様と踊っていたけれど「ひぃぃぃ」と情けない声を上げていたわ。


ターンの度に振り飛ばされるのではないかという勢いで回られるから怖かったのでしょうね。


その後レンの元へもアリシアが来たけれど「断る」の一言で一刀両断されていましたわ。

春眠不覺曉...とはよく言いますよね。

最近特に眠る事が幸せで幸せで...気付くと寝ておりますw

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