第二章幕間一 みんなが友達になってくれてよかった
王都も近づいてきた帰り道。
その休憩中に、僕は散々謝り倒した。
「旅が長引いちゃってごめん!」
全員――それこそ御者や使用人さんにも謝りまくった。
彼らは仕事が増えただけだったわけだし、本当に申し訳なく思ってる。
「誰も気にしてないってー」
「まぁまぁ。こういう時は受け入れない方が却って収まりがつかないものだよ」
アルソがシノカに言う。
「では、次の町でレイにはご飯をおごっていただきましょう」
クイザが提案してくれる。
その程度でいいならむしろありがたい。
「あたしはどーなんすかー?」
「もちろん、メリアも御者さんも使用人さんも、もれなくおごらせてください!」
「やった!さっすがレイさん!」
なにがさっすがだよ。
そんなこと思ってないくせに。
「そういうわけですので、皆さんもご一緒してください」
しかし御者さんも使用人さんも、困惑した顔をするのみだ。
当然と言えば当然か。
言い出したのは平民で、貴族の許しがあるわけではないのだから。
「わたくしが許可します。鈴におごられてあげてね」
芽結のフォローのお陰で何とかお詫びができそうだ。
レハチワ王国王都ケイノカヴィアには午前中には着きそうだ。
いきなりこんな大人数で押しかけても準備はできないだろうから、帰ったら最初に予約しに行かないと。
「あの店ですかね」
「あのお店が良いと思う」
メリアと芽結が言うあの店ってどこだろ?
「では、わたくしがレイと一緒に予約してきましょう」
クイザも知ってるお店っぽい。
「じゃあ、申し訳ないけどお願いしていい?」
「ええ」
そんなわけで王都に帰りつき、クイザと共に降りる。
え?なにここ?
なんだかすっごく豪奢なところなんだけど?
「ええ。ではお願いいたしますわ。それと、今回は一般の方も来られる都合上、服装は……」
これ、僕が払いきれる金額の店なんだろうか?ハハ……。
「まぁ!とても助かりますわ」
そんな感じで僕はずっとかかしをしていました。
そして宵の口。
普段着で登場した貴族息女たちとメリア、ガチガチに緊張したその他平民勢が一堂に会した。
「では参りましょう」
珍しくクイザが先導する。
僕と芽結はその後に続く。
一応肘を出しておく。
「ふふっ。鈴ってば似合ってなーい」
似合ってないは余計じゃい。
「ありがと」
そう耳元でささやいて腕を取ってきた。
ちょっとゾクゾクとした。
もっとお願いします。
「馬鹿なこと考えてないの。行くよ」
「うん」
中に入るとなんかスタッフ一同勢ぞろいでお出迎えなんですけど?
ヒイィィィ!
席に着く前椅子を引かれたけど逆に座りにくいっての。
すーはー。よし!
手元にあるメニューカードを眺める。
「ふむ。今日はペペロプリプリパピプペポペロペパチーナのショートと、マチュピチュ遺跡のミシシッピ川グランドキャニオンサンディエゴ盛り合わせか」
「そのネタ、私にしか通じないからね。ついでに読者にも通じるかわからないからね」
なん……だと?
芽結はそんな僕を少し見つめてから、
「少し元気が出たみたいでよかった」
「……うん」
実際に、帰りの間は芽結だけじゃなくみんながずっと気を遣ってくれた。
気を遣わせちゃったと言うべきか。
この程度で返せるなんて思えないけど、それでも――
「みんなが友達になってくれてよかった」
僕がそう言うと、芽結は満面の笑みで応えてくれたのだった。




