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12話 Cランクダンジョン 最深部

「ここが…Cランクダンジョンの最深部か。」


目の前に広がるのは、これまでのダンジョンと比べて一段と壮大で、恐ろしい雰囲気を放つ広間だった。足元は不安定で、ひび割れた石が敷き詰められた床。周囲の壁には何かの力で刻まれたような古代の文字が並んでいる。その中には、不気味な輝きを放つ石が散りばめられ、僕の足元を照らしていた。


葵が後ろで少し緊張したように息を呑む音が聞こえた。


「ここまで来たのは初めてだな。気をつけよう。」


「うん、気をつけて進もう。」


二人とも、同じように感じていた。ここまで来たからには、途中で引き返すわけにもいかない。だが、この先に待ち受けるものが何か、予測できなかった。


進むたびに、どんどん異常な空気が漂い始める。急に暗くなったり、重く感じる空気に包まれたり。そして、遠くから不気味な音が聞こえ、何かが近づいてきていることを感じた。


「来るぞ。」葵が顔をしかめて呟いた。


その瞬間、空気がピンと張り詰め、地面が震えるような音が響いた。


「何だ?!」


その音に反応して、前方の闇から現れたのは、一匹の巨大な影だった。それは、足元に何本もの鋭い突起を持つ異形のモンスター。その姿は、まるで一つの巨大な蜥蜴が無数の触手を持ったような、恐ろしい外見をしていた。


『ユニークボス』の気配を感じる。僕たちはこれまでにも数回、ユニークボスに遭遇してきたが、今回のものはその中でも最も圧倒的な存在感を放っていた。


「これ…どうする?」葵が小声で聞いてきた。


「倒さないと、先に進めない。絶対に負けられない。」僕は答えながら、すぐに構えた。


ユニークボスは、まるでこちらを試すかのようにじっと見つめていたが、やがて動き出した。その動きは、予想以上に素早く、しかも巧妙だった。


「まずは、あの触手を避けないと…!」


一度、触手が迫ってきた瞬間、僕はすぐに空中ジャンプのバグ技を使い、空高く跳ね上がった。だが、ボスの反応も素早く、その後ろに隠れていた触手が素早く空中を追いかけてきた。


「くっ…!」


何度も跳ね返されながらも、僕はその場でジャンプを繰り返し、ボスの攻撃をかわす。だが、思うように攻撃を与えることができない。


「どうにかしないと…!」


その時、僕の中で新たなアイデアが浮かび上がった。バグ技、無限ジャンプを駆使している間、ひらめいたことがあった。それは、空中での動きを利用してボスの隙間を突く方法だ。


「これだ!」


もう一度、無限ジャンプを発動し、空中で高速で回転しながらボスの背後に回り込む。その瞬間、ボスが自分の背中に攻撃を集中させる隙ができた。


「今だ!」僕は力強く足を蹴り、ジャンプでボスの側面に飛び込んだ。そこからは、空中での無重力感覚を活かして、無駄なくボスの体を攻撃する。


「やった…!」


その攻撃は、ボスに一定のダメージを与えることができたが、ボスは依然として立ち上がり、さらに強力な反撃を試みてきた。


「こいつ…強い…!」


だが、その時、またもや僕の中でバグ技の新しい使い方がひらめいた。無限ジャンプを連続で使い、ボスの動きを完全に無視して何度も背後を取るという手法だ。


「今度こそ、倒してみせる!」


無限ジャンプを繰り返し、ボスの隙間を次々に突き、とうとうボスの力が尽きる瞬間を迎えた。


ボスが倒れ、ダンジョンの空気が一気に静まった。静けさの中、僕は深く息をついた。


「やった、倒した…!」葵が声を上げた。


その言葉に、ようやく安心できたが、同時に次の冒険が待っていることを考えると、胸の高鳴りが止まらなかった。


「どんな装備があるのかな?」


俺は倒したボスから得られる報酬を確認した。


「これで、また少し強くなれたな…。」


その後、健斗はボスが残した宝箱を開ける。中からは、前回と同じように装備品が出てきた。だが、今回は新しい*『精霊のアーマー』*という防具が現れた。この防具は、装備すると一時的に火や氷、風の攻撃を軽減する効果があるという。


「これはありがたい…次のダンジョンでも役立ちそうだ。」


装備を整え、健斗はダンジョンの出口へと向かう。まだ疲れは残っていたが、それを感じさせないほど、次の挑戦への意欲が湧いてきていた。


ダンジョンを出た健斗は、地上に戻ると、街の景色が広がっていた。空は晴れていて、昼間の明るさが心地よく、ダンジョンの暗闇とは全く違う世界が広がっている。


「さて…次はBランクダンジョンだな。」


健斗はふと、次の目標を思い浮かべる。Cランクダンジョンを突破した今、次のステップへ進む時が来たことを感じていた。Bランクダンジョンの情報を集め、どんなモンスターが待ち受けているのかを知る必要があったが、それに向けて準備を整える時間は十分にある。


「もう一段階、強くなりたい。」


健斗は決意を新たにし、足早に街の冒険者ギルドに向かうことにした。


ギルド内には多くの冒険者たちが集まり、活気に溢れている。健斗はその中にあった掲示板を目で追い、Bランクダンジョンの情報を探し始めた。


「ここか…」


掲示板には、Bランクダンジョンへの情報がいくつか掲示されていた。その中で特に気になるダンジョンがあった。*『嵐の塔』*という名前のダンジョンだ。高い塔の内部には、風の精霊を操る強力なモンスターが棲みついており、風の力で攻撃を仕掛けてくるとのこと。


「風か…なら、精霊のアーマーが役立ちそうだ。」


健斗はその情報をメモし、次の準備を始めることに決めた。Cランクダンジョンをクリアしたばかりで、まだ不安もあったが、これまでの経験を活かせば、きっとBランクダンジョンにも挑戦できるはずだ。


「次はもっと強くなるために、全力で挑む。」

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