1/97
プロローグ
プロローグ
夜空に輝くあの月は
太陽の光を反射して、白く輝いている
だから、昼間、太陽の光が地上を照らしている間は、
月の光は大地には届かない。
太陽の光は、
月の輝きとは比べ物にならない程、眩しく、力強いから
その光が眩しすぎて、本来の月の輝きなど、太陽の光の下では見えないし、見えないからこそ、誰も目もくれない。
それでも月は、そこに存在し、月の、白い輝きの美しさ、儚さに魅入られた人々の心を癒し、力を与える。
でも、実際の月は、たくさんのクレーターに覆われた石の塊。
地球よりもずっと小さく、地球の重力だけでしか動くこともできず。
自ら光を発することもなく、緑豊かな大地も、青い水を湛えることも事もない、永久不毛の大地。
それもまた、現実。
貴方は、月の素顔を見たことがありますが?
貴方にとっての月の素顔は、どんな姿をしていますか?
貴方は、“月の素顔”を、愛してくれますか?