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英雄たちが求めるエンディング  作者: 岩ノ川
第2章 カナタ・タユーリ
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第72話 時は来た、いざ試験へ

諸事情により編集しました。

星暦2025年、夏の15日、土の日、深夜


 ここは『王都メラルフ』。通称『火の都』とも呼ばれ、街灯や店の看板等の目に映る箇所全てが燃えている。『炎の都』とも呼ばれている『王都バース』ほど火の大きさや数は少ないけど、それでも十分に明るい王都だ。それに合わせているのか建築物も引火して火事にならないように全てレンガ仕様になっている。

 キキラの街から馬車で2日間かけて来ることができ、王都バースとは少し違った都会の雰囲気がある街並みでもあった。そんな王都メラルフに私たちは10日前からとある格安宿屋にて滞在していた。その滞在目的は当然、冒険者登録試験である。


「ついにこの時が・・・来たぁぁぁぁ!!」


 なるべく費用の負担を減らすため、私たちは5人で同じ個室に寝ていた。そんな中、待ちに待った冒険者登録試験の日に興奮したケマくんが、部屋に唯一ある窓のカーテンを勢い良く開く。幸い外はまだ暗く、日の光が入ってくることはなかったけど、カーテンを開ける際に出る音が耳障りすぎて私含めメンバーたちが目を覚ます。


「うっさいなぁ・・・ケマ、もう少し寝かせろよ。」


「うぅ・・・確か試験って6時前にギルドへ行かなくちゃいけないんだっけ?だったらせっかくだしこのまま起きよう。ケマくん、今何時?」


「まだ3時だよ!」


「「早いわ!!」」


 クアルくんとコルルちゃんのツッコみの声で完全に目が覚めた。でもコルルちゃんの言う通り試験は6時から、早く起きておいて損はないだろう。取り敢えず全員、敷き蒲団から起きて各々でゆっくりと身支度を整える。


「もう・・・2人とも、大きい声出さないでよ。今ので完全に起きちゃったじゃない。」


「だって外見てよ、まだ夜じゃん!?」


「あんまり大きい声出さないでクアルくん。まだ他の人が寝ているから迷惑だよ。はあぁ~・・・ん?ケマくん、何で目が充血しているの?」


「ん、そう?特に気にならないし問題ないよ!」


「アハハハ、さてはずっと起きていたんでしょ?バカだね~、これじゃせっかくみんなで早く寝た意味ないじゃん。それのせいで試験落ちちゃったらどうするの?」


 キーちゃんは呑気に笑っているけど、もし落ちたらシャレにならない。私たちにはキキラの街で期待してくれている保護者の皆さんのために絶対に受からなきゃいけない。



星暦2025年、夏の15日、土の日、早朝


 現在時刻は5時30分。身支度を整え、私たちは今、王都メラルフの冒険者ギルド前に着いた。私たちパーティー5人は王都メラルフに着いたその日に試験の申し込みを済ませていた。


「ついに来たね、試験!パーティー結成したから5年、今思うとあっと言う間だったようで・・・長かった。」


「アハハハ、もうそんなに時間立っていたんだ!でも私、今でもみんなで円陣組んだ時のこと覚えているよ。」


「俺も覚えているぜ!確かあの時・・・ケマ、お前確か“ケマ小隊”っていうふざけたパーティー名を言っていなかったか?」


「ん?そうだっけ?・・・忘れちゃった!でもそのパーティー名も悪くないと思うけど?」


「もう、しっかりしてよね・・・本当に試験大丈夫なの?特に筆記。ケマくんとキーちゃんが一番危ないんだからね?」


 天気は快晴、コンディションもケマくん以外は万全。各々しっかりと早めの朝食を済ませて、緊張の無い良い顔色している。この5年間の訓練の成果を、その集大成を、この試験に全力でぶつける。そう思いながら私たちはギルドの中へ入った。


「おはようございます。冒険者登録試験に参加される方でしょうか?」


 ギルドの中に入ると、私たちを見かけた受付嬢が確認のため声をかけてきた。


「はい、5人ともそうです。」


「それではご本人様の確認のため、お名前だけで結構ですのでステータスウィンドの表示の方をお願いします。」


 そう言いながら受付嬢は手に持っている名簿帳を開く。私たちはそれに従いそれぞれ右手を前に出し、名前と種族と性別と年齢だけを見せるように意識して、ステータスウィンドを表示した。受付嬢は名簿帳と私たちのステータスウィンドを交互に見ながら、書かれた名前の隣にある空白の四角にチェックを入れる。


「それでは拝見させていただきます。・・・人族のカナタ・タユーリ様、鬼人族のキィ・ゾイヤー様、鳥人族のクアル・オルパーク様、獣人族のケマ・ヒュジェーラ様、妖精族のコルル・チェガンバ様。・・・はい、ご本人様でお間違いはございません。ステータスウィンドの表示、誠にありがとうございました。もう閉じてもらっても結構です。」


 受付所は丁寧な言葉遣いで私たちにステータスウィンドを閉じさせる。年上の人にここまで丁重に扱われるとかえって私たちの方が、気が引けてしまう。


「それでは試験会場の方へご案内させていただきますので、私について来て下さい。」


 名簿帳を閉じて受付嬢は私たちの案内をする。試験する部屋はギルドの4階のとある一室。私たちは黙々と受付嬢の後について行く。


「あのお姉さん、僕らより年上なのにすごい丁寧に話してくるね。僕らのこと貴族の子だと思っているのかな?」


「違うでしょ。仕事だからああいう話し方なんでしょ。歳とか身分とか関係なく色んな人に対してもあんな感じに対応するだろうなぁ・・・大変そう。」


 おっ、コルルちゃん意外と大人の心境とか読み取れるんだ。おませさんだね~。まあ、精神年齢で言うなら私の方が年上なんだし、この対応は当然かな!・・・何でこんな変なマウントの取り方をしているんだろう・・・。


「こちらの部屋です。」


 そうこうしているうちに試験を行う部屋の扉の前に着いた。受付嬢がその扉を開くと、室内は綺麗に並べられたテーブルと椅子ばかりであった。どうやら最初はここで筆記試験を行うようだ。


「座席は自由となっております。登録試験まで少し時間がありますので、試験官が来るまで自由にしていても構いません。それでは私はこれで、ご健闘の方を。」


 私たちを中に入れて受付嬢は最後にそう言ってゆっくりと扉閉めた。受付嬢に言われて私たちは試験受けるため、席に座ろうとテーブルに近付く。部屋にはすでに多くの冒険者志望の者で集まっており、1人孤立している者や私たちの様に集団で談笑して時間を潰している者たちもいる。


「うわぁ~、意外と多いなぁ~。」


「意外でもないでしょ。試験は年に1回、場所は指定の5ヶ所だけなんだからイースト大陸中から冒険者志望者が集まれば、そりゃあこんな数にもなるよ。」


「みんな強そう・・・私、大丈夫かな・・・。」


「なにコルルちゃん、まさか怖気づいたの?あんだけ特訓してきたんだから大丈夫さ!・・・少なくとも寝不足のケマ以外は・・・。」


「・・・あっ、僕と同じ熊種だ。あとで話しかけよ~っと!」


 こうして私たちは先に来た冒険者志望者の様に談笑をして、時間を潰すことにした。これから大事な試験が行われるという事なのにメンバーたちは至って平常運転だ。この調子なら試験も大丈夫と心から安堵する。



 私たちが入室してから少しの時間が経った。先まで空席のあったテーブルは後から来た者により全て埋まり、今では部屋の中は冒険者志望者によって満たされていた。緊張しているのかみんなそわそわとして落ち着きが見られない。全くの知らない赤の他人だけど、そんな素振を見せる人たちに少し心配してしまう。


ガチャッ


 部屋の前側にある扉が開いた。そこから3人の大人が入室してきた。1人は何も持たず手ぶらで、あとの2人は積まれた紙の山と大量のペンを運んでいる。3人とも獣人族で、先の案内してくれた受付嬢と似たように格好をしているから、恐らくギルド職員だろう。手ぶらの獣人族が教卓の前に立つと、周りがそれに気付き部屋の中は静かになる。


「えぇ~・・・みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。我々ギルド職員一同はみなさま、冒険者登録試験の参加者がこれほど多く来て下さったことに深く感謝を申し上げます。ですが、試験は厳粛に採点させていただきます。そこのご理解の方をよろしくお願いたします。それでは、たった今6時になりました。これより冒険者登録試験を行います。まず最初は筆記試験。試験の申し込みの際、受付の者から事前に説明させていますが再度核にさせて頂きます。試験中の際に万が一、不正が発覚した場合、即刻その者は不合格とさせて頂きますのでご注意を。私たちギルド職員は、みなさまが誠実で優秀な人材であることを願っております。」


 教卓の前のギルド職員が最後にそう言い終わると、脇に立っていた2人に目配りする。その意図を察した2人は、前のテーブルから順に参加者に1枚ずつ紙とペンを配り始めた。私たちの所にも裏面にして配られて来た。参加者全員に配り終わると再び教卓の前のギルド職員が説明をする。


「問題とその解き方は紙の表面に書かれております。開始と同時に裏返してください。制限時間は30分。私の手元にある時計で計らせて頂きます。30分経過したら即、試験は終了の合図を出しますので、すぐに解答の手を止める様に。それでは冒険者登録試験、筆記試験・・・開始ッ!」


 遂に冒険者登録試験が開始された。参加者たちはいっせいに紙を裏返し、問題を解き始める。紙の音、ペンの音が部屋中に響き渡る。


 あぁ~・・・なんか懐かしいな、この感じ。確か最後に試験を受けたのは高校入試だったっけ?前夜に必死に勉強したっけなぁ~・・・って前世の事をしみじみと感じている場合じゃなかった。しかし制限時間がたったの30分って短すぎない?まあいい、そういう試験なんでしょう。長く待ち続けた冒険者になるための問題、気を引き締めて解いて行かないと!


 そう自分で気合を入れてから他の参加者に遅れて私も紙を裏返す。するとその書かれた内容に私は唖然とした。


==============================

〇1~15まで、漢字の読みに適切な答えを右側の“・”と線で結びなさい。

(1)義務 ・      ・でんとう

(2)貯蓄 ・      ・そんがい

(3)安全 ・      ・いらい

(4)点検 ・      ・そうなん

(5)伝統 ・      ・ちょちく

(6)・・・・・


〇16~30まで、問題の数値に適切な答えを下の“・”に丸を付けなさい。

(16)新しい防具を新調した。兜に3400コロン、鎧に6700コロン、籠手に2300コロン、合計で幾らの出費?


・9740コロン  ・12400コロン  ・15630コロン


(17)・・・・・

==============================


 ・・・はっ??何これ、小学生の問題?ふざけている・・・いやでも、他の人たちはせっせと書いている。えっ、嘘でしょ、これが筆記試験の問題なの!?1~30全部、小学生レベルの問題じゃん!


 私はあまりに簡素な問題に戸惑い、3人のギルド職員に不正行為と思われないように頭を小さく動かして他の参加者の様子を窺う。みんな危機迫る表情で紙を睨みながら、黙々とペンを動かしている。中には頭を抱えて解答の手を止める者、諦めた表情を浮かび上がらせる者、私と同じ心境の者は誰一人この部屋の中にはいない。


 えっ、何で誰もこの簡単すぎる問題に疑問を抱かないの?!・・・あっ、そうか。この世界地球みたいな義務教育がないから、ここにいる全員ちゃんとした勉強とかしていないんだ!だからこんな問題でも、他の人たちにとっては難問みたいなものなのか!にしても・・・程度が低すぎない?まあ試験は簡単な方が嬉しいし、別にいっか。みんなも淡々と解けているみたいだし、私も早いこと解いちゃおうっと。


 自分なりに考え納得したところで私も解答を始める。当然この程度の問題、普段パーティーメンバーに教えている立場にいる私にとって容易に解き進められた。一定のリズムでペンに紙をかき続ける中、筆記試験の最終問題で私のペンは止まった。


==============================

〇ファンタヘルムの守護する5人の勇者、通称『五芒星勇者』。各大陸の3代目勇者のそれぞれ正式な勇者の名と、その本名を答えよ。センター大陸の勇者は除く。

・イースト大陸

・ウエスト大陸

・サウス大陸

・ノース大陸

==============================


 ・・・全く分からん。まさか歴史に問題が出来るは・・・なんで前半の問題はあんなに簡単だったのにこの問題はガチなの?なんでこの問題だけ選択がないの?何これ、世情に疎い私に対するいじめ?・・・もう迷っても仕方がない、記憶を振り絞って思い出すしかない。

 でもイースト大陸ならまだしも他の大陸の勇者の名前なんて聞いたことないから知るわけがないし。それに正式な勇者の名と本名・・・あの時見た勇者様は何だったっけ?前に一度聞いたことあるんだよなぁ、少し変わっていて覚えやすかったようなぁ・・・あっ、思い出した!確か・・・これだ!


==============================

〇ファンタヘルムの守護する5人の勇者、通称『五芒星勇者』。各大陸の3代目勇者のそれぞれ正式な勇者の名と、その本名を答えよ。センター大陸の勇者は除く。

・イースト大陸  ・星剣の勇者 ロッシュ・R・リリクク

・ウエスト大陸

・サウス大陸

・ノース大陸

==============================


 ふぅ~、少しは世間について勉強しておいてよかったぁ・・・。残りの3人は・・・仕方がないよね?よ~し、これで終わりっと!・・・ケアレスミスがないか1回確認しよう。


 前世の成績の悪い自分がいたせいか、私はこういった試験に自信が持てない。その後、制限時間30分使って何度も解答の確認を繰り返した。

不自然な点があれば、是非ご指摘してください。

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