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風の家紋(かぜのかもん)—僕が日本へ向かうまで—  作者: 和泉發仙


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第67話「初めてのイベント」



 シアトルの週末、学校のカフェテリアは活気に満ちていた。壁には「Japan Cultural Exchange Fundraiser」のポスターが貼られ、机の上には焼き菓子やハンドメイドの雑貨、夏の写真が並べられている。

 ――初めての資金集めイベント。その空気に、ノアの胸は高鳴っていた。



準備の朝


 朝早く、ノアたちはカフェテリアに集まった。

 「Okay, we’ve got brownies, cookies, and… what is this?」

 ジェイデンが箱を開け、サラが即座に答える。

 「Homemade matcha cupcakes. Authentic enough.」

 イーサンは看板を立てながら、冷静に人の流れをチェックしていた。

 カイは金庫とレジを整え、「最初は小さな成功を目指そう」と声をかけた。



イベント開始


 開場すると、保護者や地域の人たち、同級生たちが次々と訪れた。

 焼き菓子は順調に売れ、姫路城や竹田城跡の写真に足を止める人も多い。

 「This is where we’ll go next summer.」

 ノアが説明すると、何人かの大人が微笑んで頷き、寄付をしてくれた。


 ジェイデンは「Try the brownies! Best in Seattle!」と大声で呼び込み、サラが冷ややかな視線を送りながらも売上表を見て小さく笑った。



冷たい言葉


 昼過ぎ、メイソンが取り巻きを連れて現れた。

 「Wow, bake sale. Adorable. How much do you think you’ll make? Enough for one plane ticket?」

 その言葉にジェイデンの拳が震えたが、イーサンが間に入り、冷たい視線を投げ返した。

 「At least we’re trying. What are you doing besides talking?」

 その一言に、メイソンの笑みが一瞬だけ固まり、取り巻きたちは気まずそうに視線を逸らした。



小さな達成感


 午後3時。最後のケーキが売れた瞬間、ノアたちは歓声を上げた。

 「First goal reached.」

 カイが電卓を見ながら静かに報告すると、ジェイデンが叫んだ。

 「Team Harima, baby! Step one, complete!」

 サラも小さく笑い、イーサンは無言で頷いた。



港町への報告


 夜、ノアは港町のグループチャットにメッセージを送った。

 > 「First event was a success. We’re one step closer.」


 すぐにユウタから返信が届く。

 > 「すごい!みんな待ってるよ!」


 その短い言葉に、疲れが一気に吹き飛ぶような気がした。



ノートのページ


 机の上でノートを開く。

•Step Sixty-Three: First success.


 ページの隅には、小さく添えた。


「まだ道は長い。でも、確実に夢に近づいている。」


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