第65話「初めてのプレゼン」
放課後の図書室。静かな空気の中、ノアたちは資料の最終確認をしていた。机には、夏の写真や日本地図、姫路城のポスター、そして「Japan Cultural Exchange」のロゴ入りのスライド資料が並んでいる。
――明日はいよいよ、初めてのプレゼン。緊張で手が少し汗ばむ。
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リハーサル
「Okay, one more time. From the top.」
サラがリーダー役で進行し、ノアは練習用のノートを手にした。
「This isn’t just a trip. It’s about building bridges between cultures…」
声が少し震えたが、イーサンが後ろから親指を立てて励ます。
ジェイデンは場を和ませようと、わざと大げさなイントネーションで英語を読み上げ、みんなを笑わせた。
最後にカイが冷静に数字を補足し、計画の現実性を強調した。
「This isn’t just a dream. It’s a plan. And we can make it happen.」
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プレゼン当日
翌日、視聴覚室には教師たちと数人の保護者、地元企業の担当者が集まっていた。
ミセス・アンダーソンが軽く頷き、ノアたちに視線を送る。
「Deep breath, Noah. You’ve got this.」
スクリーンに映し出されたのは、播磨の夏の写真――港町、花火、姫路城、竹田城跡。
ノアがゆっくりと口を開く。
「This summer, we experienced something life-changing…」
声は震えていたが、少しずつ落ち着きを取り戻す。サラが横でしっかりと支え、イーサンが力強く計画のビジョンを語った。
ジェイデンは笑顔で「And we’ll bring that energy back home」と締め、会場には小さな拍手が起こった。
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小さな一歩
プレゼンが終わった後、地元の企業の担当者が笑顔で近づいてきた。
「I like your passion. Let’s talk about how we can help.」
その言葉に、ジェイデンがガッツポーズを決め、サラは深く息を吐いて微笑んだ。
カイは冷静にメモを取りながらも、口元には満足げな笑みが浮かんでいた。
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冷ややかな視線
廊下を歩く途中、メイソンが冷たい視線を送った。
「Cute. Let’s see if you can actually pull it off.」
その言葉にノアの胸はざわついたが、今回は拳を握るだけで終わらなかった。
――悔しさは、必ず結果で返す。それが答えになる。
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ノートのページ
夜、机に座ってノートを開く。
•Step Sixty-One: First step taken.
ページの隅に小さく書き添えた。
「まだ始まったばかり。でも、この一歩が未来を変える。」
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遠い港町からの声
その夜、ユウタから短いメッセージが届いた。
> 「みんなの夏の写真、家で見てます。次はもっといろいろ案内します。」
ノアはスマホを握りしめ、静かに笑った。
――必ず、次の夏も帰る。その思いが、胸の奥で確かな熱を灯した。




