第43話「届く声、広がる夢」
春の風が少しずつ街を柔らかく包み始めた頃、ノアの日常はすっかり変わっていた。
学校とバイト、そして空いた時間には日本語の勉強。机の上のノートには、新しく覚えたフレーズがぎっしりと書き込まれていた。
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自然な会話
夜、ビデオ通話の時間になると、スマホの画面には播磨の港町の顔ぶれが映し出される。
「ノア、こんばんわ!」
「こんばんは! みんな元気?」
ユウタの母・マサエが笑顔で答える。
「元気ですよ。ノアさんは?」
その自然な会話に、ユウタが目を丸くした。
「ノア、うまくなったな!」
以前は翻訳アプリに頼りきりだったやり取りが、今では短い言葉ならスムーズに交わせるようになっていた。
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アメリカへの憧れ
通話の途中で、港町の子どもたちがわいわいと声をあげた。
「ノアの学校、見たい!」「アメリカ行きたい!」
ユウタも少し笑いながら英語で言った。
「Someday… we go America. You guide us.」
ノアは驚いた顔をしたが、すぐに笑顔で頷いた。
「Of course. I’ll show you everything.」
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カフェでの報告
翌日、カフェの休憩時間にジェイデンたちに話すと、大騒ぎになった。
「マジで!? 今度は向こうが来るのか!?」
サラは嬉しそうに笑って言った。
「じゃあ、もっと英語を練習してもらわないとね。こっちもホストの準備しないと。」
カイは真剣な顔で、
「その時は俺たちも空港まで迎えに行こうぜ。」
と静かに言った。
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ノートのページ
夜、ノアは机の上でノートを開いた。
新しいページに書き込む。
•Step Thirty-Nine: Plans for their visit.
ページの隅には、こう添えた。
「今度は僕が“迎える側”になる」
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夜空への約束
窓の外の星を見上げながら、心の中で静かに呟く。
「次はこっちで待ってるよ、ユウタ、マサエ、そしてみんな。」




