6.ルーティン
『場慣れ』
子育てにおいて苦労したコトの一つに、場所見知りがある。
転勤族の妻になってしまった私は、知り合い親族無しの土地で出産と育児をしている。
気軽に相談したり手を貸してもらえたりする相手どころか、顔見知りすらいない新天地。
妊娠初期に引っ越したので新規の仕事をするのも躊躇われ、自宅中心のぼっち生活。
個人的には引きこもり生活万歳なオタクなので気にならないが、子育てとなると勝手が違う。
人に会う機会が少ないせいか人見知りと場所見知りが激しく、生後半年を過ぎるころ、これではイカンと地域の子育て交流センターに通い、少し大きくなると公園や児童館、近所の幼稚園の未就園児教室などへ連れて行ったが、性格はそう簡単に変わらないようだった。
一番通った施設は近かったこともあって週5ペースに達したが、少し親から離れられるようになっただけで、当時好きだったミニカーで遊べるようにはなっても、誰かに声をかけたり人の輪に入ったりすることはなかった。
おかげでスーパー等でも、勝手にいなくなることは無かったが・・・。
ちなみに当時、旦那は朝八時頃に出勤し、帰宅は早くて十時、遅いと日付をまたいで深夜帰宅。
休日出勤も多く、子供と接する時間は短いし元からニガテだしで懐かれるに至らず、はっきり言って自宅では戦力外だった。
結局、幼稚園でも学校でも慣れるのに時間のかかる息子は、良いのか悪いのかコロナで在宅勤務になったおかげで転勤に伴う引っ越しは無くなり、転園も転校も無く同じ地元で中学生になった。
部活でやっと親しくなった友達は、小学校から同じ学校で過ごしてきた子だ。
その部活でも、仲良くなるまでに約一年かかっているらしい。
中学生にもなって積極性皆無だと親としては不安だが、説教したところで改善されるようなものでもないし、振り返ると少しずつ進化してる感はあるので、これが彼のペースかと見守っている。
そんな彼が、ジムに興味を示した。
部活の引退後は、特に運動不足による体重増加が止まらない。
気軽に近所の子と遊べた昔と違って、今は放課後や休日に遊ぶ相手もロクにいないし、いても親同士が連絡を取り合って調整し、場所によっては送迎まで必要になるのだ。
なので、手っ取り早く安全に運動できる場所としては、魅力的だと思った。
月会費で使い放題なジムは、行く時間を決めないといかなくなる可能性が高い気がしたので、週三回の塾以外の日に同じ時間出発で行こうと決めた。
早めの夕食時間を固定し、塾が無ければゲームやテレビでなんとなく過ごしていた時間をジムに充てる。
ちょっとゆっくりしたい時もあるが、習慣化するまでは続けないと挫折する。
私も十二月の健康診断のために、ルーティン化を誓うことにした。
最初の数回は、筋トレ器具の横に付き添い、エアロバイクもランニングマシーンも隣で同じ時間やった。
息子の体力に合わせて運動はムリなので、負荷を変えて同じ時間でも満足度を揃えることが出来るのはありがたい。
大人の多い初めての場所に戸惑っていたが、二週間目になると自分から進んで筋トレマシンをハシゴしている。
のべ十回目を前に、ジムまで一緒に往復するだけで、現地ではお互いに好きな運動が出来るようになった。
往復は徒歩、その間は学校や進路など、貴重な雑談の時間にもなっている。帰宅時の風は、涼しくて心地良い。
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