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森羅家の生活魔法は伊達じゃない! 〜カフェの雑用と蔑まれた三姉弟、不遇魔法で世界最強へ〜  作者: いぬの名前はあとむ


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第77話:深層の古代遺跡(忍び寄る影と冒険の扉)

『黒銀の地下迷宮』のコアを沈め、先発隊の救助という大役を果たしてから数日。


カフェ『グリーン・リーフ』は、迷宮攻略の英雄となった三姉弟の噂を聞きつけた冒険者や街の人々で、連日超満員の賑わいを見せていた。


「はいっ、お待たせしました! 特製ハーブのオムライスと冷えた果実水です!」


二葉がトレイを軽やかに回しながらテーブル間をすり抜け、出来立ての料理を手際よく並べていく。


「いつもありがとね、二葉ちゃん! いやあ、あの恐ろしい迷宮から調査隊を全員無事に連れ戻すなんて、やっぱり『グリーン・リーフ』は伊達じゃないね!」


「ふふん、当然ですよ! 私たちにかかれば、どんな迷宮だってどんと来いです!」


胸を張る二葉に、店内からドッと温かな歓声が上がった。


カウンターの奥では、一葉が柔らかに目を細め、三葉がギルドからの新しい連絡状に目を通している。


「ひと姉、ふた姉。例の『黒銀の地下迷宮』の件だけど……ギルド本部から追加の調査依頼が届いたよ」


三葉が静かに切り出した。


「追加調査? 中ボスもコアも倒して、もう安全になったんじゃないの?」


配膳を終えた二葉が首をかしげながら寄ってくる。


「うん。でもね、僕たちがコアを破壊したことで、最深部の崩落した壁の奥から『未知の古代遺跡エリア』へ繋がる新たな階段が見つかったんだって。ギルドはまだ誰も足を踏み入れていないその『未開エリア』の環境調査とマッピングを、僕たちに優先して頼みたいみたいなんだ」


「未開の古代遺跡……!」


二葉の目がキラキラと輝き出した。


「普通の迷宮調査とは違って、誰も歩いたことのない本当の冒険ってことね。先発隊の救助じゃなくて、純粋な未知の探索……」


一葉も静かに胸に手を当て、冒険者としての高揚感を覗かせる。


「お父さん、お母さん。もう一回、迷宮の奥まで探検に行ってきてもいい?」


厨房から顔を出した一二三は、優しく微笑んで頷いた。


「もちろんだよ。未知の場所は危険も多いだろうけれど、三人なら大丈夫。気をつけて、新しい冒険を楽しんでおいで」


再び訪れた『黒銀の地下迷宮』。


かつて吹き荒れていた重苦しい魔力の嵐は去り、静けさを取り戻していたが、最深部の壊れた魔結晶の裏側には、古代の精巧な石造りの階段が暗闇の底へと続いていた。


「ここから先が、古代遺跡エリアだね」


三葉が手元を小さな生活魔法の灯りで照らし、石段を踏みしめる。


階段を下りきると、そこはこれまでの天然洞窟とは全く異なる空間だった。


整然と並ぶ巨大な石柱、壁面に刻まれた解読不能な古代文字、そして床を覆う薄い水の膜。


静寂の中に、水滴が落ちる音だけがかすかに響いている。


「すごい……まるで昔の王様のお城みたい」


二葉が感嘆の声を漏らし、木剣の柄に手を置きながら周囲を見回す。


「油断しないでね、二葉。誰も踏み込んでいないということは、昔の防衛機構や未知の魔物がそのまま残っている可能性が高いわ」


一葉が警戒を強めた、まさにその時だった。


カチリ。


三葉の足元で、微かな石の沈む音がした。


「トラップ……!?」


次の瞬間、左右の石柱の影から、古代の防衛兵器である石造りの自動人形『ルーン・ゴーレム』が三体、関節をギチギチと鳴らして出現した。


さらに頭上の天井からは、水滴が集まって形を成した透明な魔獣『アクア・ゼリー』が数体、一斉に飛びかかってくる!


「天井と地上、挟み撃ち!」


「二葉、足元を固定して!」


「了解! 『二生の根張』!」


二葉がグッと踏み込むと、彼女の足元から目に見えない無数の『根』がスッと伸び、古代遺跡の頑丈な石畳と強固に一体化した。


ドバシャァァンッ!


頭上から降り注いだ巨大な『アクア・ゼリー』の重厚な水圧攻撃が二葉を直撃する。


だが、二葉の身体は微動だにしない。


大地と一体化したことで、何トンもの水の衝撃がすべて床下へと逃げていき、二葉は涼しい顔で水飛沫を弾き返した。


「よしっ! 水の衝撃なんて全然効かないよ!」


「次はこっちの番ね!」


一葉が前へと踏み出す。


おっとりとした仕草のまま、空中で蔓を巻くように指先を優雅に舞わせた。


しなやかな指の軌跡に応じるように、襲いかかってきた三体の『ルーン・ゴーレム』の関節部分の空間がぐにゃりと歪む。


ガガガッ! と不気味な異音を立て、ゴーレムたちの振り下ろそうとした石の剣の軌道が大きく逸れ、互いの胴体を激しく殴りつけ合う形となった。


「見事な誘導だよ、ひと姉!」


三葉が滑るような足取りで間合いを詰める。


「『三途の葉落』!」


三葉の手が、体勢を崩したゴーレムの胸元にある動力刻印へそっと触れた。


触れた瞬間、古代の魔導刻印と頑丈な石の装甲が、一瞬で何千年の時を経たかのように急速に風化・劣化していく。


バリバリバリッ!


黒ずんだ石の体が砂のように脆くなり、三葉が軽く突き飛ばすと、そのままガラガラと音を立ててただの砂利の山へと崩れ去った。


「残りの水も、僕のスキルで水分と不純物を枯らせば……」


三葉が地面に広がっていた『アクア・ゼリー』の本体へ手をかざすと、水流の分子構造そのもののサイクルが急速に衰退し、一瞬で蒸発するようにただの干からびた塩の結晶へと変わっていった。


「ふう……完璧だね!」


二葉が根張りを解除し、汗を拭いながらニカッと笑う。


「ええ、三人で助け合えば、どんな未知の仕掛けも怖くないわね」


一葉も安堵の笑顔を浮かべた。


だが、敵を打ち破ったのも束の間。


古代遺跡の奥から、さらなる地響きが伝わってきた。


暗闇の奥、巨大な石扉が不気味に開かれ、これまで見たこともない広大な『宝物庫』と、そこに眠るさらなる未知の影が三人を手招きしているようだった。


「みんな、気を引き締め直して進もう。この古代遺跡には、まだまだ秘密が隠されていそうだ」


三葉の言葉に、一葉と二葉も力強く頷いた。

「少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ページ下部の【ブックマーク】や【評価】(★★★★★)で応援していただけると励みになります!」


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