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彼女を奪われても何も言わなかった俺、イケメンがクラスで自慢した結果なぜか1軍女子に距離を置かれて孤立した  作者: 白金豪


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最終話 これからも

 学校を出た俺と都子ちゃんは、いつもの帰り道を並んで歩いていた。


 特別な会話はない。


 だけど気まずさもない。


 どちらかといえば心地いい。


 静かで不思議な時間だった。


 遠くから聞こえる車の音。


 部活帰りの学生たちの笑い声。


 そんな何気ない景色の中を2人で歩く。


 少し前までなら想像もできなかった。


 まさか都子ちゃんと、こんな関係になるなんて。


 俺はちらりと隣を見る。


 都子ちゃんは穏やかな顔をしていた。


 風が吹く。


 長い髪がふわりと揺れた。


「今日も疲れたな」


 俺がそう言うと。


「うん」


 都子ちゃんは小さく笑う。


「真春君、最近頑張ってるもんね」


「そうか?」


「そうだよ」


 即答だった。


 なんだか照れくさい。


「ありがとう」


「どういたしまして」


 都子ちゃんは少しだけ得意そうだった。


 そんなやり取りをしながら歩いていると。


「真春君」


 不意に呼ばれた。


「ん?」


 振り向く。


 すると。


 都子ちゃんが立ち止まっていた。


「どうしたの? 」


「……」


 返事がない。


 ただ俺を見ている。


「都子ちゃん?」


 何かあったのかと思った。


 体調が悪いのか。


 それとも学校で何か嫌なことでもあったのか。


 だが。


 都子ちゃんは首を横に振る。


 そして。


 少しだけ照れたように笑った。


「これからもよろしくね」


「え?」


 一瞬。


 意味が分からなかった。


「ど、どうしたの?」


 思わず聞き返してしまう。


 都子ちゃんは恥ずかしそうに視線を逸らした。


「なんとなく言いたくなっただけ」


「なんとなく?」


「うん」


 そう言いながらも。


 その顔は真剣だった。


 だから俺も自然と聞き返せなくなる。


 都子ちゃんは制服の裾を指先で摘まみながら続けた。


「私ね」


「うん」


「これからも真春君と仲良くしたいなって思ったの」


「……」


「喧嘩しないで」


 少しだけ笑う。


「いっぱい話して」


「うん」


「一緒に帰って」


「うん」


「そうやって関係を築いていきたいなって」


 最後の方は少しだけ声が小さくなった。


 だけど。


 ちゃんと聞こえた。


 都子ちゃんらしいなと思う。


 派手な言葉じゃない。


 だけど真っ直ぐだった。


 俺は思わず笑ってしまう。


「な、なに?」


 都子ちゃんが慌てる。


「いや」


 俺は頭を掻いた。


「なんか嬉しくてさ」


「っ」


 都子ちゃんの顔が少し赤くなる。


「俺も同じだよ」


「え?」


「これからもよろしくね」


 言葉にすると少し照れる。


 だけど。


 言わなきゃいけない気がした。


「俺も都子ちゃんと仲良くしたいし」


「うん」


「一緒にいたいと思ってる」


「……」


「だから」


 俺は笑った。


「繰り返しになるけど。これからもよろしく」


 一瞬。


 都子ちゃんの目が丸くなる。


 次の瞬間だった。


「うん!」


 ぱっと顔が明るくなった。


 まるで太陽みたいな笑顔だった。


 そして。


 都子ちゃんは小走りで俺の隣までやって来る。


「えへへ」


「なんだよ」


「なんでもない」


「絶対なんかあるだろ」


「ないもん」


 そう言いながら全然隠せていなかった。


 機嫌が良すぎる。


 俺は思わず苦笑する。


 都子ちゃんも笑う。


 気付けば。


 さっきまでより距離が近くなっていた。


 肩が触れそうなくらい。


 だけど不思議と嫌じゃなかった。


 俺たちは並んだまま前を向く。


 いつもと同じ帰り道。


 だけど。


 少しだけ特別な帰り道だった。


 そんなことを思いながら。


 俺たちは自宅へ向かうのだった。


⭐️⭐️⭐️

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

読者様が継続して読んでくださったからこそ、この作品があります。


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