目次 次へ 1/5 序章 粉雪舞うある寒い冬の朝。 霜でほんのり白く化粧した、静寂に包まれた庭に水音が響く。 「お前さえいなければ…。あの方は、わたくしだけを見てくれるのにっ」 刺し殺すような憎しみの炎が灯る瞳で、池に落ちるわたしを睨みつける。 あのまなざしは、今でも忘れられない光景として脳裏に焼きついている。 冷たい水の中、必死に手足をばたつかせても、池の底へとゆっくりと沈んでいく恐怖。 こわくて…、苦しくて…、でもどうしようもなくて…。 その日、――わたしは殺された。