序章
たっぷりお説教を受け、疲れ果てた僕達の背後から忍び寄る不審な気配。翠は気付いてないようだがその方が面白そうなので気付いてない振りを続けることにする。
「それでさ、空はどう思う?怪しいよね?どう考えても。」
不振な気配が行動を起こす。
「翠!空!おはよ!大遅刻じゃない!」
不振な気配の主は僕と翠に飛びかかりつつそう言い放った。
「うわぁ!」
察知していた僕は躱せたが、全く気付いていなかった翠はまともに直撃しちょっと間抜けな声を漏らす。
「おはよ紫」
不振な気配の主の名前は紫、今日僕達が遅刻した原因の人物でもある。
「おはよぉ。びっくりするからやめてよぉ……。」
あんなバレバレな忍び寄り方でも気付かない方が不思議である。そろりそろり。とか言ってたし。
「いや、翠多分気付かないのは君だけだよ。」
「え、嘘。空は気付いてたの!?なんで言ってくれなかったの!」
顔を真っ赤に染めながら翠に叩かれる。痛い。やめてほしい。でも、今はそれよりも。
「紫、家の真ん前の公園のベンチにいたんだけど、今日どうしたの?気付かなかった?」
「えっと……。それがですね……。」
なにか顔を赤くしながらモジモジし始める紫。不審者かな?怪しい動きをしないで欲しい。
「実は私も今日遅刻しまして。朝、家出る時遅刻ギリギリだったんだよね……。だから、気が付かなかったんじゃなくて気にする余裕がなかったというか……なんというか……。そんなかんじです。はい。」
人の事を大遅刻とか言っておいて自分も遅刻とは……。
「人のこと言えないじゃん!」
ちょっぴり怒ってらっしゃる翠さん。
「その件に関しては……。なんといいますか……。申し訳なく思っております。」
「まぁ、遅刻したくらいで人は死なないし、社会的に影響が出るわけじゃないしさ。そういうこともあるよねってことでいいじゃないですか。翠さん。」
「まぁそうだね、空。」
「全く気付けなかったのはごめんだけど、2人してベンチで話し込んでたって、何の話?彼女でもできた?」
「かの……!」
フリーズする翠。紫はなにかトンチンカンな勘違いをしている様子。使い物にならなそうな翠の代わりに僕が教えてやろう。
「ちがわい!あいつだよ。CHAOS。」
「タコヘッドコウモリウイングのヌメヌメイボイボボディなあいつ?」
「そうそいつそいつ。」
「あの子見つかってから1年近く経つのに発見されて1週間くらいしか情報更新されてなかったじゃない。なにか新しいことでも分かったの?」
「いや、まだ何も分かってないよ。情報も更新されてないし、謎のまま。」
フリーズから帰ってくる翠。
「2人ともよく飽きないよね。世間様はもうハロウィンやら次の行事に関心が向いてるわよ?クラスの連中も今年こそ彼氏を!とかなんとか言ってるし。」
「かれ……!」
1回戻ってきたのにね。またフリーズしちゃったね。翠くん。
「紫、翠がフリーズしちゃうから。話進まなくなるから。」
「ごめんごめん。フリーズさせるの面白くって。」
「その気持ちはわかるけど……。」
「ごめんて。おーい、翠くーん。帰っておいで。」
「はっ!今どこまで話してた?」
今度こそおかえり。
「おかえり、翠。特に進んでないよ。」
「そう?ならよかった。」




