4.四章 7.5
意気消沈しきった様子の姫様が部屋に戻ってきて、部屋にいたミーリエルと他の侍女は大慌てだった。
仕えている主が落ち込んでいるのだ、励ますために、それ以上思い詰めてもらわぬために、最善を尽くすため、一人はお茶の用意をするため食堂へ走るし、ミーリエルはすぐさま駆け寄ってウィリアローナを長椅子へと導いた。
背を押すようにして促されたウィリアローナは、暗い表情で大人しく従い、ミーリエルの手を握る。突然握られても驚きは見せず、ミーリエルは優しく握り返した。
ウィリアローナの顔が、泣きそうに、歪んで。
あ、とミーリエルが思ったときには、しがみつかれていた。
「……ひめさま?」
ずるずると、長椅子を目の前にしてウィリアローナが床に座り込む。引きずられるようにして、ミーリエルもすぐ側に膝をついた。
声を殺して震えるウィリアローナの肩に、そっと手をそえる。
肩の震えを強く感じて、ミーリエルは腕を伸ばした。そえるだけでは駄目だと思ったのだ。
求められている腕は、ミーリエルのものではないかもしれなくても。
ミーリエルは、ウィリアローナを優しく抱きしめることで、大切な主の痛みが和らぐことを、祈った。