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第15話 注目される人・されない人

一行あらすじ


龍雲に吹っ飛ばされたからやり返す!!、待ってろ!!龍雲!!。

校舎の壁沿いに、少し凸っと出ている所についている雨樋に僕は手をかけていた。

 そこに足をかける。腕に力を入れ、上へ上へと雨樋を登っていく。


「許せねぇ・・・」


視界には、目の前にはいない筈の龍雲の姿が浮かんでいた。


 僕は、ちょっとカッコいい所を見せたかっただけだ。

水野は、顔も可愛い、胸もデカい。そこに少し魔が差しただけだ。

少し位良いじゃないか!、カッコいい所を見せても!!。それなのに、あの龍雲の野郎は、カッコつけている僕を、まるでハエでも払うが如く、手で僕を平手打ちをして吹っ飛ばした。

 カッコつけた僕は水野の前で恥をかいた。 


 だが、そこは、どうでもいい!。


僕が怒っているのは、まるで僕の事なんか眼中にないみたいに、僕を相手したことだ。

龍雲の視線は、冷たかった。「なにをいっているんだ?こいつは」って言っている様な気さえした。

勇気を出した僕に対して、龍雲は何の勇気も覚悟もしていない。

 そんなヤツに僕は負けた、いや、存在をゴミみたいに扱われた。


それは、服を破かれてレイプされた感覚に近い。遭ったこともない事だがそんな屈辱と羞恥がする。

 犯されていく。

僕の存在が犯される。

  

 それは、許さない、許せない。やり返す。負けてもやり返す、手足が捥がれてもやり返す。呪う。


 ブチ殺す。


雨樋を握りながら、二階の割れた窓の外まで登ってきた。


割れた窓の中から見えるのは、野次馬の生徒共の後ろ姿、僕の事に誰も注目していない。仕方がない、雨樋から二階まで登ってくるのはこの世でアホか僕ぐらいだろう。


僕は、雨樋を右手で強く掴み、壁沿いに右足の指を吸盤の様にし、くっつかせる。

ぶっ飛ばされた時に、制服のボタンがぶっ飛んだので、制服がはたはたと風でなびいている。


 この制服代も弁償させてやる!!


 龍雲!!!!


 さぁ!!第二ラウンドだぁ・・・・・?


僕の目の前には、真顔の龍雲の平手打ちを、赤い髪を靡かせながら片手で受け止めているカナタがいた。


「あれ?」


 ん?・・・・あれ?


そして、カナタの後ろには、龍雲の攻撃を防いだカナタに驚いた様子の水野がいた。水野は驚いた様子で、此方には目線も向けずにカナタと龍雲の喧嘩に注目している。そして、その他の野次馬の生徒たちも、窓の外にいる僕の方に目線も向けずにカナタと龍雲に注目している。


 「龍雲、辞めろ」


カナタが龍雲の平手打ちを掴み防ぎながら、落ち着いた顔でカッコいい良い声でそう言った。


 「・・・・・」


龍雲は黙ったまだ。いや、ほんの少しだけカナタに掴まれている手を震わしている。もしかして、振りほどけないのか?、僕を吹っ飛ばしたあの龍雲の力でもびくともしないっていうのか?・・・。


「三時間目のとき―――」


 三時間目―――確か、あの時はカナタは体育の授業を欠席していた。


「あの時の事をもう忘れたのか?」


カナタは目を少し細めてそう言う。龍雲はその時、カナタに掴まれている手を振り払った。

そして、口を開いた。


「うるさい、あの時は十二邑がいたから本気を出せなかった。」


 !?、龍雲が喋った?、コイツ喋れたのか・・・。じゃ、なんで僕の時は喋らなかったんだ?。

龍雲の声は低かったが、なんというか、日本語のイントネーションがおかしかった。龍雲ってもしかして海外の人か?。


 いや、そんな感じのイントネーションじゃないな、まるで人間のマネをして喋っている様な機械の様な・・・・。


その時、カナタは目を瞑り、「そうか」と言いながら目を開けた。


龍雲とカナタとの間に緊張が走る。



 ・・・・・スッーーーー、あっれ????。


 もしかして・・・僕って、かませ犬にされた感じ??


「・・・・え~~~~~~」


口から漏れ出る極上のため息。


 うっそでしょ?、あんなに思いを込めてここまで来たのに・・・・。雨樋を伝って登ってきたんだよ?、あの天井に溜まった雨とか排水溝から水を流す管から登ってきたんだよ?。


 ・・・・・・いや、そこを「自分頑張ったでしょ」みたいに言うのは違うな。というか、雨樋を登る姿とか泥棒にしか見えんし、考えてみたら、登り方も芋虫みたいでダサい。


 な、なんか途端に恥ずかしくなってきた・・・。


僕は片手で自分の赤くなっているであろう顔を隠した。だが、誰も僕の方を見ていなく、カナタと龍雲の睨み合いに目が奪われている様子だった。


「いや、ちょっと待てよ。カナタと僕で龍雲をボコせばいいか・・・」


 なんか、野次馬共は体が動かないみたいな感じで固唾を吞んでるって感じで使い物にならないしな。カナタと僕で龍雲を二対一で一方的にボコそう。

 僕も、龍雲に対しては借りがあるし、そうしないと気が済まないぜ、へへへ。


「クックックッ、そうと決まれば速く窓から入らねぇ~とな~」


片手は雨樋を掴んでいるので、もう片方の手で、割れた窓に手をひっかけ中に入ろうとした。


その時、ある事を思い出した。


 そういえば、カナタの他にも、楓も他の女子もいなかった・・・、もしかして、ここにいるのか?。


僕はふいに周りを見渡した。


カナタの後ろの方に、野次馬共より一、二歩先に前に出て、カナタの事を心配そうに見つめている、桜さんと神崎さんと・・・・楓。


 心配そうな顔、だが、その奥にある、ドキドキという興奮の目。

まるで、部活に応援に来たマネージャー兼彼女の様だ。


「・・・・・・はぁ~~~~」


 なんか――――バカらしいな。


僕は窓にかけた手をそっと離した。


そして、今にも衝突しそうなカナタと龍雲を横目に雨樋から下へとゆっくりと降りていった。

 海外の消防隊員の様に雨樋をポールの様に滑って降りようと思ったが、雨樋には、壁と雨樋を繋ぐ鉄の留め具があったので、そんなカッコいい事は出来なかった。

 ずるっと足を滑りそうになりながら、落ちない様に慎重に下へ下へと雨樋をつたいながら降りていった。


「・・・・」


そして、地面へと足をつけた。


顔を上にあげる。


「「「うおおおおおお!!!!」」」」


歓喜、驚き、思わず漏れ出る声、歓声とざわめきが二階から聞こえる。


 何かが起こったんだろうな。面白い事、注目される事、目を惹かれる事、が起こったんだろうな。どうでもいい。


僕は、目線を足元に向けた。


「これが、僕とカナタの差なんだろうな」


足元には、潰れた花達、踏み荒らした土と草。荒れた花壇。


「ぐちゃぐちゃだ・・・」


 怒りに我を忘れて、強く地面を蹴り、雨樋を掴んだ。その時に出来た、荒れた花壇。

 たった一蹴りで、こうも花壇は壊れるのだな・・・。

枝が複数個所折れた桜、荒れた花壇、綺麗だった中庭の風景。 

この学校で、唯一好きな場所を、僕は僕の手で壊した。


「申し訳ない」


僕は、潰れた花に頭を下げた。礼儀とかじゃない、ただの罪悪感を消しているだけだ。花という人間という僕より下の者と頭を下げる、「わざわざ謝ってやったんだ」って感じで、僕はただ単に罪悪感を消したいだけだ。

 崇高な理由はない。


「はぁーーー」


ズキッ!!!


「ガッ!!!」


ズキッ!!ズキッ!!!


 クソッ!!急に体が痛くなりだしやがった!!。アドレナリンが切れたか!?。


「はぁ、はぁ・・・だ、だれかいないか・・」


返ってくるのは、二階から聞こえる歓声のみ。どうやら、全員カナタと龍雲に夢中の様だ。


「へへっ、そうだよなぁ。カナタは主人公なんだから、そっちの方が見たいよな」


僕は少し笑いながら、足を引きずりながら体育館と校舎を繋いでいる通路を目指した。


 綺麗な主人公(カナタ)に対して、こんな膝を引きずってる奴なんて誰も見たくないだろう。


 あぁ、痛い。膝の周りが痛い、動かそうと思っても、ズキズキという周りから圧迫される痛みで動きが鈍い。だから、膝を曲げれないこんな哀れな歩き方になってしまう。


「はぁはぁ」


 いつもは、あんなに近い通路が遠くに思える。

額に油汗が滲んで、それが鼻先にたまって僕の顔から零れ落ちる。


膝だけじゃない。腕も痛い、特に後ろ側の。体中がジンジンと痺れている。


「はぁはぁ、やっと着いた」


僕は後ろを向いて荒れた花壇の方を見た。


「短い距離しか移動してないのに、こんなに汗かいて・・・・」


 自分が恥ずかしい。


「けど、こっからは壁があるからスムーズに行けるぜ」


ニヤッとしながら一人でそう言う。


「はぁはぁ・・・」


さっきは、壁沿いに行きたかったが、壁沿いに花壇があるので出来なかった。でも、ここらは壁を使える。保健室までは多少距離はあるが、壁に手を添わせながらだったらなんとか行ける。


「あっ!!」


僕は、校舎の扉を越えようとした時に、校舎と通路の少しの段差で転んで地面に手をついた。

 クソッ、いつもは転びそうになったらすぐにでも立て直せるのに、膝が痛くて体が動かなかった。


僕は立とうとしたが、膝が思う様に動かずに、その場に座り込んだ。


「お~~~い、誰かいないのか~~?」


僕の声が響くだけで、返事は返ってこない。


 高橋、お前は来てくれるよな?。お前、廊下にいたもんな?、驚いた顔でカナタと龍雲の事を見ていたもんな?。僕が吹っ飛ばれたことに今頃気づいて助け来てくれるんだよな?。・・・・今なら、放っておいた事を許してやるから、助けに来いよ・・・。


「・・・・・・」


 水野。水野は僕が吹っ飛ばれるところ見ていたよな?。でも、カナタと龍雲がいる二階にまだいたよな。・・・僕はお前を助けようとしてこんな目に遭ったんだぞ?・・・・助けに来いよ・・・。


「お~~い・・・・お~い・・・おーい・・・」 


 本当に誰も来ないのか?。そんなものだったのか?。高橋は僕と友達だよな?、実の所、僕はお前と親友と思っているんだ。お前から喋りに来たときは嬉しかったんだ。

水野とも友達になった。大きくて可愛くて大食いで初めての女の子の友達・・・。バレーで全国優勝もしたことがある凄い友達だ。こんなすごい友達は出来たのが始めてだ、僕は水野と友達になった時は、有名人と仲良くなれたみたいで嬉しかったんだ・・・・。

・・・・僕は、この学校でお前ら以外の友達がいないんだぞ・・・・?。

 それなのに、助けにきてくれないの?、僕よりもカナタと龍雲のケンカの方が重要なの?。


 本当に僕は・・・・僕は――――――独りだ。


 孤独。


四月の風が扉越しにこちらに吹く。気持ちがいい風だ。だが、風が擦り傷に響く。


「はぁ~~~」


ため息が震えている。僕は壁を背に廊下に尻もちをついたまま、下を向いていた。



「・・・・・・・・!!」


 あ、やばい・・・・。


「や、やめろ」


 ・・・・・く、くる


「くるな、くるなぁ~」


僕は自分の制服の胸部分をくしゃくしゃになる程に掴んだ。


 もういい!、もう―――惨めな気分になりたくない!!!


ここから、来るんだよ。・・・胸のあたりから熱くなって、その熱さが体を震えさせて、息が荒くなって、それは目に来る、そこから――


「や、山田くん!!!大丈夫ですか!?」


挿絵(By みてみん)


「!! あぁ!!制服も汚れて、!・・・顔から血も出てるじゃないですか!?」


花子は、僕に詰め寄って顔を引き寄せながら大きな声でそう言った。


「他にケガしてる所はないですか!?、大丈夫ですか!?」


 ・・・・!?


「は、花子・・・」


花子の髪はぐしゃぐしゃに崩れていて、息を切らしていた。そして、なにか焦っている様な心配している様な目をしていた。

 それよりも、なんで、花子がここにいるんだ・・・・?。


「なんで、・・・ここに・・・?」


「な、な、んで?」


花子は息を切らしながら、そう訊き返した。


「あ、あの、それはですね。窓から落っこちる山田くんを見たからですよ・・・!」


!!!・・・でも、上には主人公がいるのに・・・。


「でも、上にはカナタがいるよ?」


「?・・・い、いや、窓から落っこちた人の方が重要で――!!・・・・・」


花子は急に黙った。近くにいる花子がどんな表情をしているか分からない。僕は急に目が悪くなった様だった。頬に伝る水の粒のせいだろう。


「そうですね。痛かったですよね」


花子は僕の頭をそっと触り、撫でてくれた。花子の手はなんだかサラサラとしていてして―――――――

――――安心する。近くに人がいるだけでも安心したのに、こんな事されたら・・・。


「あり・・・・がとう」


 ちゃんと言えただろうか。自分の声が震えすぎて分からない。


「顔隠さなくても、泣いてもいいですよ。泣くと落ち着きますもんね」


「泣いて、ないし」


「ふふっ、そうですね」


「・・・・・・・・あ、あの、それより、保健室の先生を呼んできてほしい」


「あっ!」


花子は、気づいたようにそう声を上げた。 


。。。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。

感想!!!アドバイスお願いします!!

この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・

・・・・体の大小が絵で表現できない・・・・。



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