表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒剣の退屈  作者:
外の世界
PR
22/28

シルヴァ・アヴェラと戦う。

赤黒い剣が俺の顔の前に突きつけられていた。


シュッ——。


シルヴァは視界から一瞬で消えた。わずかな残像と、舞い上がる砂埃だけがその軌跡を残す。


静寂。


カキン!


反射的に両腕を交差させて首を守る。火花が周囲に散った。


手首から掌にかけては漆黒に染まり、まるで硬い金属のようだった。


体がわずかに後ろへよろめく。


ヒュッ——


それから風が吹き荒れた。まるで空気ですら、あの動きに遅れを取ったかのように。


「なっ……アイアンモンキーの能力か!?」


俺は振り返り、彼女を見た。

そして、首元の近くで黒く染まった両手のひらを広げて笑った。


「アイアンスキンって呼べばいい」 《 IRON SKIN 》


彼女は左手で鞘を握り、右手で刀を構える。頬にはまだ涙が残っていた。


「お願い…さっさと死ね……」


「カチン!」彼女は素早く剣を鞘に収めた。


そして、視界から消えた。


ガキン!


俺はまたそれを防いだ。


赤い雷のような斬撃が、目の前を一瞬で駆け抜けた。


次の瞬間、彼女は洞窟の壁に静かに着地し、しゃがみ込んでいた。


音はない。ただ、周囲の空気だけがゆっくりと揺れていた。


彼女は再び、残像だけを残して跳んだ。


ガキン! ガキン! ガキン!


攻撃は雨のように途切れなく降り注ぐ。


彼女は洞窟の壁から壁へと一瞬で移動し、その軌跡ごとに赤い閃光を残していく。


俺は月明かりの下で、それをひたすら受け流し続けた。


(首だけ……あれが狙いか。服さえ破られなければ、まだ遊んでやるさ)


一撃がぶつかるたびに、俺の手と彼の剣の間で小さな火花が散った


振動が骨まで響く。それでも俺は耐え続ける。


「いつまで続けるつもりだ?もうすぐ毒が回るんじゃないのか?」


俺の声と同時に、攻撃が止まった。


「……そうだな」


彼女は俺の背後で、すでに強い構えを取っていた。


俺は振り向かず、視線だけを右へ滑らせる。


彼女はゆっくりと剣を鞘に収める。


『ノイトラマ。アンタがどこまでマナオーラを隠しているのかは知らない。

でも一つだけ分かる。アンタは私の斬撃を見切れている。』


スキリィン〜……剣が鞘に収まる擦過音が、洞窟の静寂を切り裂いた。


【 ABYSS 】


「カチン!」剣が鞘に完全に収まる音がした。


一瞬で、彼女はその場から消えた。


(一速い。)


月明かりの下、俺が立っているその場所。彼女はすでに俺の前にいる。


【 SLASH!】


その斬撃は、まっすぐに俺の首へと向かう。


ガキン!左手が上がり、それを止めた。


キィィィン〜……


刃が俺の硬い皮膚を削り、甲高い金属音を響かせる。


火花が散り、シルヴァの顔のすぐそばで弾けた。


そしてそのまま、全力で一気に横へ斬り払う。


ザシュッ!…速く、鋭い一閃。


視界に赤い残像だけを残した。


俺の手から血が吹き出し、空中に散った。


(やるな、こいつ……)


俺は少し後ろによろめいた。


彼女の斬撃が俺の手を押し込み、血と手のひらが一瞬、視界を覆い隠す……


…… その一瞬の隙に、彼女の姿は俺の視界から消えていた。


今、彼女は俺の右側にいる。俺の腰を斬り裂こうとしている。


【 DOUBLE SLASH!】


右手が反射的に剣を握り込む。


手の中で刃と握力が激しく震え、火花が散る。


ザシュッ! 彼女の一振りが、また俺の手のひらを傷つけた。


彼女は鞘を投げ捨てる。それは俺の頭上で回転する。視線がつられて上がる。


(違う……罠だ。)


一瞬の隙に、彼女は再び姿を消した。


俺は倒れるように体を横に傾け、わざと隙を作ってやる…


シュッ!


彼女は高速で俺の背後に回り込んだ。


【 FINAL SLASH!】


赤い閃光のように、剣が横一線に俺の背中へと振り抜かれる。


(やっぱり。今度は俺の服を切り裂くつもりか!)


俺はすぐに足の向きを変え、体を反転させる。


「やらせるか!」


右手が伸びる。剣の一撃を受け止めるために。指を硬く曲げ、鉤爪のように。


【 BLACK DRAGON CLAW 】


俺は剣の刃の中央を指で掴んだ。握りは激しく震え、金属が軋み、火花を散らす。


刃にゆっくりと亀裂が走り、それが全体へと広がっていく。


キンッ!


剣は砕けた。鋭い破片が月光を反射しながら飛び散る。


——シルヴァはまるで俺を斬り抜けたかのように、そのまま通り過ぎた


俺たちは背中合わせに立っている。


シルヴァは胸の前に手を上げた。その手は震えている。剣は柄だけを残していた。


『まさか…素手でSランクの剣を破壊できるとは……』


俺は背を向けたまま、彼女を見た。


「お前の大事なものが簡単に破壊されたら、どんな気分だ?」


彼女は黙ったままだった。


俺は胸を押さえ、頭を垂れた。


「……ああ〜、痛い。もう毒が回ってるかも……」

淡々とそう言って、俺は彼女を見た。


「なんちゃって。」


スッ——


鉛筆ほどの大きさの針が、俺の顔の前に向かって飛んできた……

……俺はそれを二本の指で掴む。


「なにを——」


(消えた)


彼女は胸の前で二本の指を掲げる。


【 AURA ZONE】


シュッ——!マナオーラが広がり、地面の表面で濃い煙のように固まる


俺はその領域の中心にいた。


さっきのように拡散させるためのものとは違う。


【 NIGHT STAB 】


ザシュッ!瞬間、何かが速く突き刺さり、俺の太ももを貫いた。

血の飛沫とズボンの穴だけが、その唯一の痕跡だった。


(三倍……いや、五倍か)


ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!


一瞬で、俺の体は全方位からの攻撃に打ちのめされ、よろめいた。


時間がゆっくりと流れる……


月明かりの下、俺の血が宙に舞う。


(なるほど、この領域が彼女の全速…か)


「くくく〜……」

俺は小さく笑った。


(まさか……人間と戦うことが、これほどまで楽しいとは……)


シルヴァは岩壁の脇に着地し、息を切らしていた。二本の指が震え、血を滴らせている。


『なんて硬い体だ……だが、少なくともマナオーラの流れの要所は突いた』


俺がよろめく中、彼女は俺のうなじを見据える。


『あと一つ!』

「あと一つ……そう思ってるんだろ」


高速で踏み込み、二本の指を揃えて俺のうなじへ突き出す


間合いに入った、その瞬間…………


【 SILENT 】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ