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黒剣の退屈  作者: Leopardz
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【ATLANZ】へようこそ。

パンッ!


エリックは一度だけ手を打ち鳴らした。鋭く、乾いた音が響く。


「決まりだ!」


太陽が沈み始め、その代わりに暗闇が忍び寄っていた。


俺たちはさらに数時間旅を続け、ついに目の前に広大な景色が開けた。


遠くに『 ATLANZ 』の街が見える。高い石の壁が街全体を囲み、旗が風に揺れていた。


俺はそれを見て呆然とした。


『 外の世界』という本でしか見たことのなかった建物が、今は目の前に現実として存在している。


埃っぽい大通りが、そのまま巨大な門へと真っすぐ伸びていた。


門の両側には兵士が配置されている。


商人の荷車が行き来して、木の車輪がきしみながら荷物を運んでいた。


リンは門の近くの受付に俺を連れて行き、衛兵の前に銀貨を二枚置いた。


入門の身分証をもらう手続きはすぐに終わった。


俺は身分証を持って、リンの近くに立った。


「リン、ありがとう。この恩は忘れない。いつか必ず返す」


「気にすんな。あんたが嘘ついた理由は知らないけど、一つだけわかる。あんたは悪いやつじゃないってこと。」


「な、なぜ……俺が嘘ついてるって分かったんだ?」


「ひ…み…つ。」リンがうぃんくした。


俺たちは大通りを歩いていた。商人やハンターで徐々に人が増え、道は次第に混雑していく。


キャシーは俺の前を小走りで進み、振り返って両手を広げた。


「ようこそ、『 ATLANZ』であります」


彼女は俺に微笑みながら言った。


通り道の両側には建物がぎっしりと立ち並び、建物と建物の間から暖かい灯りが漏れていた。

思わず見入ってしまう


【 MANA VISION 】


馬車を引くおじいさんが見えた。頭の上に200って数字があった。


近くを歩いてる武器を持ったハンターたちは、1200から2000くらいの数字だった。


しばらく歩いて、目立つ建物の前に着いた。外に大きな木の看板が掛かってた。


外に掛けられた大きな木製の看板には、丁寧に彫られた二本の剣と盾の紋章がある。その下に書かれていた文字は──『 ATLANZ EAST』。


扉は最初から開いていた。まるで、足を踏み入れる者なら誰でも歓迎するかのように。


中から漏れる光が部屋を照らし、何かしらの作業に追われる人影を浮かび上がらせる。


俺たちはためらうことなく中へ踏み込んだ。


部屋はとても広かった。


ハンターたちがあちこちに散らばっている。


喋っている人もいれば、クエストの掲示板を見ている人もいた。


右側には、いろんな依頼書が貼ってあるパーティ募集掲示板があった。


待ってるのか、だらっと座ってるハンターもいれば、飯や酒を楽しみながら喋ってる奴もいた。


俺たちは受付に歩いていった。きちんと服を着た女が立っていて、温かい笑顔で迎えてくれた。


リンは布の袋を出して、中身を受付の台に広げた。


旅の間に集めた魔石が、台の上に散らばった。


「フィナ、これも頼む。」 とエリックが言った。


エリックはクエスト用紙を女性に渡した。


彼女はマナクリスタルを数え、品質を評価していく。両目がうっすらと青く光っていた。


「間違いありません。これはロックホーンのものです」


そう言って、机の上に布袋に入った銀貨を置いた。


「合計で銀貨50枚です。他にご用はありますか?」


エリックは俺の背中を叩いた。さあ、言え、というように。


俺はフィナを見た。


「ハンターになりたい」


「それなら、この書類に記入してください」


俺は書き始めたが、ある項目で手を止めた。


「ジョブクラス…これ、何?」


「ここにいる仲間たちと同じようなものです。


エリックは【TANK】。魔物の攻撃を受ける役割。


リンは【ASSASSIN】で、死角から素早く攻撃する役割だ。


キャシーとロナンは魔法使い。マナのエッセンスを呪文に変えます。


そして【FIGHTER】。パーティの前衛でも後衛でも自由に戦えるクラスのことです」

フィナは親切に説明した。


(前でも後ろでも自由に戦えるということは……

……どこでも、弱そうに見せるのも自由ってこと!)


迷わず、俺はファイターと書いた。《 FIGHTER 》


エリックとその一行は身を乗り出し、興味深そうに俺の回答を覗き込んでいた。


フィナは記入済みの申請書を手に取り、すべての項目が正しく埋まっているか確認する。


そして滑らかな球状の水晶を取り出し、机の上に置いた。


「この水晶は、あなたの最も強力なスキルを三つ映し出します。こちらに手を置いてください」


俺は唾を飲み込み、緊張に押されながらクリスタルに手を当てた。


しばらくして、クリスタルが青く光り、スキルステータスウィンドウが現れた。


フィナとエリックたちは一瞬で驚いた。


「Sランクスキル……」フィナは驚いたように言った。


彼女の声を聞いて、ハンターたちは一斉にこちらへ鋭い視線を向けた。


(やばい……)


そしてフィナの表情は完全に崩れ落ちた。


「Sランクのめまい耐性、Sランクの吐き気耐性、Sランクの悪臭耐性です」

彼女の声には、重い落胆の色が混じっていた。


「ハハハハ!」


背後のハンターたちから笑いが爆発した。


エリックの左手が俺の肩をポンと叩いた。俺は彼の方を向いた。


彼は感情的になっていて、目が少し潤み、指で涙を拭いていた。


「俺は、お前を笑わない」


エリックのパーティーの連中は、みんな同情した顔で見ていた。


リンは視線をそらし、片手で口元を覆う。まるで見るに堪えないとでも言うように。


『強そうって疑ってごめん 。』


「迷子になってる間に、いろいろ大変なことがあったみたいですね」キャシーは心配そうに言った。


ハンターたちが俺たちの後ろで大声で話していた。


「なんだよあのゴミみたいなスキルは」


「これまで見た中で最悪のランクSスキルだ」


「任務中でも酔わないのか?ずるいよ、にーちゃん!」


別のハンターがそう言い、笑い声はさらに大きくなった。


『外の世界』という本には、こう書かれていた。


人は、共に泣き、共に笑うとき、相手を温かく迎え入れているのだと。 』


俺は一歩前に出て、感動しながらハンターたちに言った。


「温かく迎えてくれてありがとう。迷惑かけるかもしれないけど、よろしく。」


なぜか、みんなもっと笑った。


エリックは銀貨三枚をテーブルの上に置いた。


俺はまだハンターカードを見つめていた。ランクはE。クラスはファイター。ステータスは未確認。


「Sランクのスキルを持っていながらEランクというのは、さすがに初めてであります」

フィナが言った。


(びっくりした……ランクSになると思ってたのに。)


「NOITRAMA、お前のライセンスを祝うために、一緒に飯を食いに行こう。」


俺たちはギルドの一階へ続く階段を上った。


そこには整然とテーブルが並んでいた。


ハンターたちは食事や酒を楽しみながら、会話に花を咲かせている。


笑い声、グラスのぶつかる音、荒っぽい話し声が空気を満たしていた。


温かい料理の匂いと、ほのかな酒の香りが混ざり合い、場は活気に満ちていた。


向かい合う四つの席にはエリックたちのパーティーが座り、俺はテーブルの端に一人で座っていた。


テーブルの上はまだ何もなく、注文を待っている。


エリックはお金を平等に分けて、銀貨十枚をそれぞれの前に置いた。


「エリック、俺はお前のパーティーの仲間じゃない。なのに俺にもくれるのか?」


エリックはテーブルに肘をついた。指を顔の前で合わせ、俺を観察する。


「キャシーだけじゃない。お前は俺も助けた。受け取る権利がある」 と彼は淡々と言った。


エリックと仲間たちは、冷ややかな視線を俺に向けた。遠慮なく、露骨に俺を観察している。


「 …… 」


(この感じ…なんか…覚えがある….【REAPER】…【BUNNY】だ!)


(そうだ、死神兎が獲物を決めながら鎌を研いでる時の感じに似てる。)


「わ、わかった…そう言うなら、もらっておく」 と俺は気まずそうに言った。


テーブルの上の銀貨に手を伸ばした。触る直前…


ガシッ!


隣に座ってたリンが急に俺の手をぎゅっと掴んで、びっくりした。

少し経って、彼女は手を離した。


「あたしはまだ恩返しが足りない気がする」

とリンが俺をじっと見ながら言った。


(お前を助けたのはエリックだって言っただろ!)


すぐに、キャシーも同じことをした。


「あたしのも、受け取ってください」


続いて、理由も分からないままロナンとエリックもそれに続いた。


硬貨は俺の前に積み上げられていく。


彼らの視線は冷たく、じっと俺を見つめていた。


空気がどんどん重くなっていった。


心臓がドキドキしてる。体中から冷や汗が出た。ゆっくりと息を飲んだ。


彼らの視線は、拒否を許さない。


(どうする……試されてるのか?受け取るべきか?)


(重い…すごく重い。)


(間違えたら、この緊張がもっと悪くなりそうで怖い。)

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