02-46.二人の考え
さてどうしたものか。
「責任から逃れてはいけませんわ」
アリシアちゃんは私が原因だって言うの?
「その認識は正確ではありませんわ」
というと?
「カゲリはハーレムの主ですわ。つまり我らは皆カゲリの配下も同然なのですわ」
なにさそれ。私はそんな風に思ったことなんて無いよ。皆私の恋人だもん。対等な相手だよ。
「考えをお分けなさい。責任から逃れてはなりませんわ」
未来ちゃんたちがフェアリスちゃんを巻き込んだって考え方が間違ってるのはそうだね。私は関係無いって考えは捨てるよ。だからちゃんと向き合うよ。
「もう一歩踏み込むべきだと言っているのですわ」
それが主と配下なの?
「気負う必要はありません。意思決定だけを手放さなければそれで構いませんわ。他は全てワタクシに委ねなさい」
甘やかしてくれるんだね。
「あなたは王におなりなさい。その覚悟を持ちなさい。政務は全て我らが為します。あなたはただ望みを口にすればよいのです。あなたの欲するものは全て我らが齎します」
そんなのザルバール国王と変わらないじゃん。
「我らを侮るのはおやめなさい」
ごめん。そんなつもりじゃなかった。
「カゲリにはワタクシがついています」
うん。そうだよね。間違ったことは止めてくれるよね。もちろん信じてるよ。
「ならば覚悟をお持ちなさい」
皆が止めない限りは好き勝手していいの?
「そう言っているのですわ」
そっか……。
う~ん……。アリシアちゃんの気持ちは嬉しいけど、やっぱり難しいよ……。だって私は本当に皆のことが好きなんだもん。恋人たちを何より大切にしたいんだもん。フェアリスちゃんとティエラはそこに含まれていない。大切なお友達だけど恋人じゃない。だからどうしても受け入れ難い。
かと言って突き放したいわけじゃない。フェアリスちゃんが口付けてくるのをやめさせるべきだとは思うけど、どうせ皆が巻き込んだんだからって言い訳して考えないようにしていた。そんな半端さが今に繋がってしまった。そして今尚皆を言い訳にしていると言われればそれも否定はできない。
「影裡殿のせいではない。しかし影裡殿が責任を負うべきこともまた事実。それは分けて考えるべきことだ。アリシア殿が言っているのはそういうことだ」
えっと……つまり、二人を放り出す選択肢は存在しないってこと?
「王としての度量を見せてくだされ」
そうきたかぁ……。
「何を憂う事がありますの? カゲリは二人を抱えれば我々を満足させる自信がありませんの?」
あるわけないじゃん。そんなもの。
「愚問でしたわね」
ご理解頂けて何より。
「故にこそ丁度良い」
度胸をつけろって?
「八人が十人に変わろうと大差はありませんわ」
それはそう。
「難しく考えすぎだ。据え膳は食らっておけばいい」
そんな開き直り方が出来るなら悩んでないんだよなぁ。
「我らが支えますわ。カゲリ」
「寄り掛かってよいのだろう? 影裡殿」
正反対な事言ってるのに目的は同じなんだね。二人とも。
「どちらもカゲリを王にしたいという目的は一致していますわ」
「うむ。我らは忠臣だ。影裡殿」
そうだよ。そこだよ。そこがズレてるんだよ。
「不満ですの?」
「違えるのか?」
違うって。私はあくまで恋人としてそういう関係になりたいのさ。王様だとか性に合わないんだよ。
「今更ですわ」
「平凡は諦めよ。影裡殿には似合わぬ」
なんでさ!?
「ワタクシたちの期待を軽んじているのですわね」
「影裡殿には覚悟が足りておらん。我らの全てを受け止める覚悟が」
そうじゃないんだよなぁ。私がなりたいのはもっと普通の恋人なんだよなぁ。
「ならば一人を選びなさい」
「影裡殿が求めるものはハーレムと相容れぬものだ」
ぐぬぅ……。それを言われると反論出来ない……。
「それでもどうしてもと言うのであれば力を貸しますわ」
「我々で決めるとしよう。影裡殿が選べぬと言うのなら」
やだよ。私は全員好きなんだもん。誰一人だって失いたくないんだもん。
「ならば覚悟を持ちなさい。カゲリ」
「期待しておるよ。影裡殿」
はぁい……。




