02-45.樹の上の思い出
そうそう。凜火ちゃんにずっと聞いてみたいことがあったんだった。
「なんでも答えよう」
え? 今なんでもって言った?
「……二言は無い」
じゃあね~♪ ずばり私の好きなところ♪
「それならば簡単だ。以前にも伝えた通りだ。影裡殿は心が強い。いつでも皆を安心させてくれる。それが何よりありがたい。そして何よりも好きなところだ」
えへへ~♪ 照れますなぁ~♪
「ワタクシは逆ですわ。カゲリはワタクシにとって最も守りたい存在ですもの」
アリシアちゃんは私が弱いから好きになってくれたの?
「違いますわ。頼るより頼られたいという話ですわ」
ふふ♪ ならアリシアちゃんは私のどこが好きなの?
「全てですわ」
あらま。熱烈ね♪
「当然ですわ」
わっ!? ちょっ!? こんなところで!?
「何もしませんわ。暴れないでくださいまし」
いや! 触ってる触ってる! 全部ってそういうこと!?
「当然含まれますわ」
だからっていきなり! そういう時はキスからでしょ!
「大歓迎ですわ♪」
「影裡殿」
凜火ちゃんも!? 今ここで!? 二人ともちょい落ち着いて! わかってるの!? ここ木の上だよ!? それもかなりの高さだよ!? 普通に怖いよ!? 強くだなんていられないよ!? みっともないとこ見せちゃうよ!?
「身体を預けなさい。安心させてあげますわ」
アリシアちゃんに抱きしめられた。アリシアちゃんは不安定な足場で私を抱えて尚、しっかりと体勢を保っている。
驚きだ。まるで地上にいるかのような安心感だ。どうやってこれ程までに……ああ。影メイドさんか。木の枝から無数の腕が伸びてアリシアちゃんを支えている。まさかそんな使い方まで出来るなんて。本当に驚きだ。アリシアちゃんも研鑽を続けてきたのだろう。それもこれも私に頼られる為? うふふ♪ 嬉しぃなぁ♪ 大好き♪ アリシアちゃん♪
「むぅ」
「リンカもいらっしゃいな」
サンドイッチしてちょ♪
「むむ? ……承知」
あふぅ♪ 程よい重量感♪
「むぅ……」
違うからね? 重いとかじゃないからね? 凜火ちゃんが本当に体重を掛けてくれたのが嬉しいんだからね? 凜火ちゃんがさっき言ってくれた事を証明してくれたんだもん♪ 私の事を頼りにしてるって身を持って示してくれたの♪ だってそうでしょ? こんな場所で誰かに全身を委ねるのだって勇気のいる事だもん! だから凜火ちゃんだってとっても強い心を持ってるんだよ! 私も凜火ちゃんが大好きだよ♪
「……うん」
ふふ♪ 照れてる♪ 可愛い♪
「カゲリ」
アリシアちゃんももちろん大好き♪ だから私、ちゃんとアリシアちゃんに委ねたよ♪ 私の大切な凜火ちゃんごとしっかり守ってね♪ 預けるからね♪
「もちろんですわ♪」
えへへ♪ 幸せ~♪
高い木の上で布を被り、三人重なって抱きあった。そんな一見バカみたいな時間がとっても幸せだった。きっと他の誰かに言っても本当の意味で理解してもらえることはないだろうけど。ふふ♪ だからこれは三人だけの秘密だ♪ 私は頼りたいし頼られたい♪ 支えてくれるアリシアちゃんが大好きだし、頼ってくれる凜火ちゃんが大好きだ♪ 愛してる♪
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「おかえりなさい。影裡さん。随分とご機嫌ですね♪」
えへへ~♪ でっしょ~♪
「これはお勉強も捗りそうですね♪」
なんですと!?
「一日遊んできたのですから。勉強もしませんと」
違うよ!? 人助けだよ!? 遊びじゃないよ!? そりゃあちょっとくらいイチャイチャしてたけども!
「本当にちょっとですか?」
……半分くらい?
「ならお勉強です」
そんなぁ!?
「まだですわよ。ミク」
「すまない未来殿。影裡殿との時間はまだ終わっていない」
「そうですか? ならば仕方ありませんね♪ 今日はお任せします♪」
あらま。あっさりと引き下がっちゃった。
「誰かと過ごす時間まで占有するつもりはありません。影裡さんには恋人が十人もいるんですから」
いないよ? 八人だよ?
「ティエラさんはともかく、フェアリスちゃんをカウントしないのは無理がありませんか?」
だってまだ恋人になった覚えはないもん。それにフェアリスちゃんを巻き込んだのは未来ちゃん達じゃん。私じゃないよ。そういうなし崩しで進めるのはダメだと思うよ。
「最初の一回だけじゃないですか。私知ってますよ? 影裡さんあれからもフェアリスちゃんと沢山キスしてるじゃないですか。今更そんな言い分は通用しませんよ」
むしろなんで未来ちゃんは増やしたがるのさ。
「中途半端が嫌いなだけです。とにかく考えておいてください。いつまでも逃げていてはいけませんよ」
そんな勝手なぁ。私は別に増やすつもりなんてないのに。
「フェアリスちゃんの件はともかく、ティエラさんと仲を深めたのは影裡さんじゃないですか」
それは普通に友達としてだよ。他意は無いよ。
「近くに置くなら同じ話です。友達としておきたいならもっと距離感を大切にしてください」
別にキスとかはしてないじゃん。
「眼の前で他の子としてるじゃないですか。ああいうのもダメだと言ってるんです」
わかった。わかりました。ティエラの件も含めてちゃんとするよ。
「ならば結構です。それでは」
未来ちゃんは離れていった。
「相談には乗りますわよ」
「うむ」
ありがとう。ならお願いしようかな。




