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超戦流覇〜頂を貫いた異世界転移者〜  作者: ゲラ(沖縄の方)
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絶句と軽巡とバンジージャンプ

おっっそ




 人間、誰もが通った道よりかは、新規開拓された道を選びたいと常日頃から願っているのではなかろうか。


 コロンブスの卵の逸話が存在するように、先駆者がいない挑戦というのは、大衆からの注目を集めやすいし、成功したときに得られる名声も大きい。


 みんなも、新しいことにはどんどん挑戦しよう!







 と言う訳で俺は今、ナナを伴って超高高度から紐無しバンジージャンプを決行しているのだった。



「ひゃああああああああああ!!」



 ナナが女としてどうかと思うレベルの嬌声を上げている気がするが、優しさで無視してやる。


 俺は迫り来る地面と睨み合いながら呟くのだった。


「どうしてこうなった…」





 手に入ったぶっ壊れの神の権能の試験運用がてらナナに巻き付いていた鎖を粉々に砕いた俺は、1年間の外国語セミナーの後、じじぃとの2度目の今生の別れを済まし、異世界の門をくぐった。少し遅れてナナが俺の袖を掴みながら追従してくる。


 真っ暗闇に放り込まれたまましばらく待機していた俺は、まだ見ぬ世界に期待をしていた。


 800年間俺の視界に入ってきた情報は、境界のない虚空と、じじぃとイケメンだったからな。


 ナナ以外で目の保養が出来ず大変だった。


 ストレスを持て余した結果、ナナ用に大量の服を生成したり、じじぃの訓練をサボタージュして一日中ナナの髪を弄ったりして、じじぃにボコボコにされたこともあったが、それはまた別のお話。


 退屈によって人間性を半殺しにされた俺の娯楽やストレス解消は、それくらいしか存在しえなかった。



 しばらくしてクリアになった視界に飛び込んできたのは、鮮やかな地球カラーだった。



 というか空だった。





「……」


「……」



 唯一心当たりがありそうなヤツに尋ねてみる。

「…おい、ナナ?」


「な、何かな瞳くん?」


「この状況になった理由に心当たりは?」


 しどろもどろになって返答が返ってくる。


「あ、あのね?転移する場所は私が好きな場所に設定できるんだけどね?そのね?お、怒らないで欲しいんだけどね?」


 そう言ってナナは続ける。


「座標入力、間違えちゃいました…」


 そんなことだと思った。


 大方、x座標とy座標をあべこべに入力したんだろう。


 ナナが瞳を潤ませながら、俺に許しを乞うてくる。


 こいつにも反省の色が見えるし、俺は慈悲を恵んでやることにする。




「ナナ」


「はい…」



「今日は1人で寝ろ」


「それだけは嫌っ!!」


 全力で懇願してくるが無視だ無視、甘やかしたらこいつの為にならん。


 大空に投げ出されて無力感に包まれた俺は、しばらくの間思考を放棄した。










 そんなやり取りを経て現在に至るのだが……。



「びゃあああああああああ!!うぅ、ひっく…うひゃああああああああ!!」



 俺に1人で就寝するように命令された悲しみと、落下の恐怖によって、ナナが大変なことになっている。


 叫ぶか泣くかどっちかにしろよ。



 だがしかし、ナナをゆっくり観察している時間は、実はあまり無い。


 如何に神の権能やらの補正で文字通り神がかった肉体を手に入れた俺と言えど、俺は無敵と言う訳ではない。


 このまま落ちたら結構な重症を負う。


 ここはもう天界じゃないので、怪我なんかしたら治癒に時間を要するだろうし、事は慎重に進めなくては。


 そんな訳で早速行動に移る。


 取り敢えず背中にくっついたナナが邪魔なので、『因果改変』で目下の地面に座標を変える。


「ふえっ?」


 突然移動したナナが驚きの声を上げているが、今は構っている暇がない、観察も程々に次の行動に移る。


 空中で無理矢理体勢を変えた俺は、地面に目を向け、指を指す。


「『因果改変』」


 俺が指定した範囲の地面が消失する。そこは虚空になり、空間という概念すら無い。


 ただ永遠に無が続く。


 そこへ俺が新たな因果を組み込む。世界は俺の願望どおりに帳尻を合わせ、そこは一瞬前とは全く別の空間となる。


 改変完了、俺の落下予測地点は地面から、分厚い衝撃吸収マットに変化した。


 俺はそこに、仰向けで落下する。


 バスッ!!


 完全に落下の衝撃を殺すことはできなんだが、かなり軽減された、受け身を取って事なきを得る。



 無事、不時着に成功した俺は、マットを元の土に戻しておく。


 目立つからな、マット。あと見栄えが悪い。


 後処理を終えて埃を払っている俺のもとにナナが走ってくる。


「瞳くん、大丈夫だった?すごい音したけど」


「無事無傷だったぞ。ナナは?」


「私も大丈夫だったよ、ありがとねっ」


 そういって微笑んでくる。


「それで、えっと…」


 後に詰まりながらナナが何かを伝えようとする。


「2人とも無傷だったんだし、ポカが帳消しになるなんてことは…」


「馬小屋に放り込むぞ」


「瞳くんが意地悪だぁ〜!」


 女心って難しいし面倒だな。





 またぞろ泣き出したナナを放置して、俺は当たりを見回す。



 すると、近くに木製の立て札を見つけたので、読んでみることにする。



『イシガワサ村、すぐそこ』



「1年間死ぬ気で読み書きを練習した甲斐があったな…」


 ナナが作ってくれた単語帳を必死で暗記し、意味不明な言語のリスニングを受ける日々は苦痛でしかなかった。


 半年程経過してからはそこまで苦労してないが、最初は心が折れかけた。


 見捨てること無く俺に多国語をマスターさせてくれた彼女に感謝しなければならない。


 未だにグズっている少女の頭を乱雑に撫で、手を取って歩きだす。


「この先に村があるみたいだから行ってみようぜ」


 俺に頭を撫でられたナナは、はにかみながら頷いた。


「うんっ」


 フッ、チョロいな。


 恋人いない歴801年の男の台詞は、ひどくみっともなかった。





 立て札の矢印と俺のシックスセンスに従って歩くことしばし、ようやく民家らしきものが見えてきた。


「着いたぁ…」


「長く…苦しい…道程だった…」


 数時間の徒歩で、肉体精神共に疲弊した俺たちは、お互いを讃えあってからイシガワサ村に入場。


 二人して同じ感想を抱く。


「人がいるよ瞳くんっ」


「人がいるぞナナ」


 この台詞だけ切り取ったら怪人になれそうだな俺たち。まあ実際じじぃ達以外のヒューマンを見るのも久しぶりだしな。


 しかしながら、第一村人を襲う勇気も、ましてや会話を図る精神力も持ち合わせていない俺たちだった。


 素通りして村の中心部と思われる場所へ向かう、疲労が限界に近かったのでどこかに泊まろうと思ったのだ。


 結構な大きさの村っぽいから寝泊まりする場所くらいありそうなもんだが。



 ナナと共に、お上りさんの如くキョロキョロする、程なくして、宿屋らしき看板が目に付き立ち止まる。


「良かったなナナ、今晩の食事と寝床はなんとかなりそうだぞ」



 扉に手をかけ、早速入ろうとすると、ナナが俺の袖を引っ張って制止してくる。



「瞳くん、ひとつだけ聞いても良いかな……?」



「何だ?」




 一刻も早く身体を休めたかった俺は、早口でナナを促す、美味しいごはんと温かいベッドが俺を待ってるんだ、下らない問答をしている時間は無い。



「その…すごく聞きづらいんだけど…」



 ナナは勿体ぶってなかなか話そうとしない、もとい放そうとしない。



「遠慮せずに話せよ、俺とお前の仲だろ?」




 何としてでも休養をとりたかった俺は、似合わない台詞を堂々と吐いた、はいはい、コラテラルコラテラル。












「瞳くん、一銭でもこの世界のお金持ってる?」








「……」



「……」








 その日、俺とナナは、川の傍で野宿して(リバーサイドホテルで)一夜明かすこととなった。


はっっっっっや

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