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【並行世界と界渡り】

お待たせしました。

どの世界でも彼女は囚われていた。

どの世界でも耐えきれぬ悲しみと苦しみで壊れていた彼女。

たった一つの世界を除いて、どの世界も彼女に優しくなかった。


界渡りの力を手に入れた私は最適化されたルートを選ぶことが許されている。

彼女を助ける為にどのルートを選べばいいか。

どうすれば彼女を助けられるか。

ゲームの名前と自分の役しか知らない彼女をどうすれば悪役令嬢から解放できるのか。


どの世界でも起こる彼女の悲劇を知る人物が作ったこの乙女ゲームを私はプレイすることはできない。

だが、たった一つの世界で彼女がこの悲劇に出会うことなく幸せになれたように、私はこの世界の人間としてこの世界の彼女が悲劇を辿らないようにする。

悲劇に遭うことのなかった彼女は自分が悪役令嬢だということは知らなかった。勿論、あの乙女ゲームの存在も彼女は知らない。

彼女が『三月兎は狂ってる~聖痕学園~』の悪役令嬢で、婚約者になる幼馴染から言われたセリフ。それは異世界の彼女の家族なら誰でも知っていることだ。

彼女がいつ、どこで、自分の運命や乙女ゲームを知ったのか?

それを教えた人物はどうなってしまったのか?

一つの世界を除いて、私はその人物の運命もまた彼女から教えられる。

彼女が悲劇を辿ると知っていたのに悲劇から逃れられなかったように、その人物も運命から逃げられなかった。


その人物と出会わなければ彼女は悲劇から逃れられる?

いいや。

唯一、悲劇の中にある並行世界の中で彼女が幸せになれた世界。それはいくつもの偶然が重なった奇跡の世界だった。

彼女が悲しみと苦しみで壊れる世界が繰り返されているような並行世界の中で、彼女が悲劇のループから必然的に逃れる世界。

それがこの世界。


さあ、私にはやることがたくさんある。

他の犠牲者たちの救済で難易度が上がるだろうが、彼女がそれを知れば、私の行動を喜ぶだろう。

まずは――

次の更新もまたお待たせします。すみません。

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