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第1話
「人の気持ちを考えて」
これは小学生の頃、いや、園児の頃から大人たちに教わってきた言葉である。「人の気持ちを考えてみよう」「相手の立場になって考えてみよう」私たちは、そんなことを教わってきた。
ある朝、私はニュースを見た。
ある会社の社長が殺された。
私はニュースを見たときに、なんで殺しなんかしてしまったのだろうと思った。 大人たちから教わってきた人の気持ちを考えて、殺した人は殺される人の気持ちを考えたのだろうか。 どうして殺してしまったのだろうか。
私はそんなことを疑問に思いながら、お母さんに聞いてみた。
「なんでこの人は社長さんを殺してしまったの? なんで殺す必要があったの?」
お母さんは答える。
「あなたは知らなくていいの。」
私は納得がいかなかった。 いつもは人の気持ちを考えなさい。相手の立場になって、なんてことを言ってくるのに、今回は「あなたは知らなくていい」と言ってきた。
それはおかしい。被害者の気持ちも、加害者の気持ちも考える必要があるに決まっている。
この時、私はずっと、どうして殺しをしたのか、それがずっと頭から離れなかった。




