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no_title 題名のない物語  作者: 藤原 アオイ
第一章 project angel
34/68

揺らめく影と蜃気楼 4

 32


 to 立花さん

 from 藤原ミツキ


 大至急です。

 あの、東葛支部の横田くんのこと、教えてくれませんか?


 変な意味ではなく、戦闘時の行動パターンとかの話です。


 ―――――――


 部屋に備え付けのパソコンでメールを送る。送信完了という無機質なメッセージが画面に表示される。ホッとするのもつかの間。いつ返信がくるのか、ちゃんと読んでくれたかなど心配になってしまう。


 返事は思いのほかすぐに来た。ただしメールではなくテレビ電話で。


「もしもし?」


 ちゃんと映っているかついつい手を振って確かめてしまう。


「大丈夫ですかぁ? こっちは心配で心配で。」


 彼女は、大袈裟に胸を撫で下ろす仕草をする。


「で、東葛支部の横田くんのことですよね?」


 自分は首を縦に振る。


「今の好きな食べ物はハンバーグで、」


「そういうことは、聞いてないです。」


 思わず言ってしまう。というか何で知ってるのか。それを問い詰めたい。


「冗談ですよ。基本、遠距離戦で力を発揮できるみたいですよー。逆に言うと、近距離に持ち込めれば確実に勝てるはずです。あとは、自分で考えることをオススメしまーす。」


 ツー、ツー、ツー。

 電話が一方的に切られた音。もう少しヒントが欲しかった。でもこれで確信が持てた。彼では自分には勝てないということの。


 とりあえずここに積まれている段ボール箱をなんとかしないと。

 備え付けの家具は、パソコンと勉強机と本棚とベッド。9畳くらいの部屋に置いていい量なのかと思いつつ段ボール箱を開ける。

 一箱目には教科書が入っていた。迷わずに本棚に入れる。

 二箱目。明らかに怪しい箱。「入学祝 by支部のみんな」とか怪しい以外の何物でもない。とりあえず後回しにする。

 三箱目。これは自分が詰めた荷物。洋服とか文房具とかその他日用品。基本的にベッドの下の収納スペースに詰めこむ。

 これで終わり。明日の準備はオリエンテーションだから筆記具だけ。あっ、決闘の詳しいルール聞きそびれた。とりあえず全部アリのルールとして準備しておくか。さすがに一瞬で終わるようなものは好ましくない。

 うーん、どうしようか。立花さんの言う通りに近接戦に持ち込もうか。それとも……

 そうだ。あの作戦で行こう。そう考える彼女の黒い瞳には闘志がみなぎっていた。

お読み頂きありがとうございます。

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