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リュゼンティア王国の王宮の裏の奥の奥に隠されるように建てられた塔の最上階に私は囚われている。私の名はエルネシア・アルフェリド。リュゼンティア王国を統べるアルフェリド王家の第一王女である。
「九十八……九十九……百!」
今日もスクワット百回終了。
部屋着が汗でぐしょぐしょだ。
ジャージとか短パンとかTシャツが欲しいよ。
とりあえずザバッと服を脱ぎ棄てて、濡れた体をタオルで拭いていく。
タオルも前世と比べると、吸収力が悪いんだけど、できないことはもう諦めた。
水分……ただの水をゴクゴク飲む。冷蔵庫……いや、止めよう。諦めたけど、快適さを忘れることはできないよ。
そう、私は転生者だ。
元は十七歳のJK。
でも、自分が死んだとか、光に包まれたとかの記憶はない。
神様にも会っていないし、何か使命なども聞いていない。
本当に本当に十七歳だったのか疑問に思うこともあるけど、残念ながら、それ以降の記憶がないので、自分は十七歳と言い切っている。
と言っても、話す相手はいないんだけどね。
私が、エルネシアの中で目覚めたのは、この塔に投獄される前、断罪の頃かな。
断言できないのは、始めの頃の私『相良愛子』の意識がぼんやりしていたからだ。
私がぼんくらなわけではない、絶対!
これって、『転生』でいいのかな? 『憑依』かなあとも思ってるんだよね。
だって、ひとつの体にエルネシアと相良愛子の二つの心? 魂? があるんだよ。
私は神様(運営!)ではない。だからこの状態がなんなのか、正しいところはわからない。
ただ、一つ言える、いや言いたいことがある。
かなり不親切な仕様だ。おまけに投獄からスタートするハードモードだ。
とはいえ、このまま泣いて暮らすつもりもない!
だって暇だし。
なので私はこの塔を「嘆きの塔」と呼ぶことにした。
筋肉が悲鳴をあげる「(筋トレの)嘆きの塔」だ。
もちろん正式の名前ではないし、そんなものは知らん。
罪を犯した王族を幽閉するだけに建てられた塔らしい。エルネシアの記憶にも、知識はあったけど、見たことはなかったようだ。
前世で流行りの悪役令嬢であれば、どこか超田舎の修道院に送られただろう。
これがクーデターや内乱であれば、その場で首を刎ねられるか、地下のじめじめした薄汚い牢獄暮らしになっていたかもしれない。
だが、私は悪役『王女』。
窓にも扉にも鉄格子はある。が、とにかく広い!
前世で家族四人で住んでいた四LDKよりひろいんじゃない?
そりゃあ、王女様の部屋としては質素らしいけど、そこらの下級貴族より良い暮らしなんじゃなかろうか。行ったことないから完全に想像だけど。
それを一人で独占。
……私、無敵じゃない?
会話する相手がいないと、一人ボケ・ツッコミしたくなるのは私だけ?
前世でも「よく喋る」と言われていたけど、じっくり考えてから話すのが苦手なんだよね。
馬鹿ではない、と自分では思っている。高校は公立の進学校に通っていたし、大学受験もするつもりだった。夏休みには予備校に通って受験勉強も始めていた……そういえば、二学期の記憶がないや。つまり、夏に何かあったのか……。
まあ、考えてもわからないことは保留としましょ。
自分では楽天家とは思ってないけど――だって、ノー天気そうじゃん――考えるより体を動かす方が好き。
先生からは「よく考えてから話せ」と言われていたけれど、まあ個性ということで。
いやいや、本当に馬鹿じゃないからね。
お読みいただき、ありがとうございました。




