一人の少女
とある興生の一室で、リレイはケイルに状況を説明していた。
「――なるほどな。かのアルファはもともとレリアやリレイと仲が良かったが、それが異変が起こり性格が急変、そしてそのアルファと戦い、最後にはそれを治療して戻ってきたと」
「そうですね。大体そんな感じになります」
「本当にご苦労だった。私達としてもかなりありがたい事をやってくれたな」
「いえいえ、これは私達が起こした問題でもありますからね」
「ただ――リレイ、君が人間になって戻ってきたときや、アルファを連れて戻ってきたときはあまりの驚きで声も出なかったよ。人生最大のショックだったな」
そう言ってケイルは軽く笑った。
「確かにそうでしょうね。私でも同じように驚く自身があります」
「それでは大体の説明が終わったか?」
「はい。ケイルさんも特に質問などありませんか?」
「……ないな。もう帰って大丈夫だ。本当にご苦労だった」
ケイルは少し考えた後、二度目の感謝をして、頭を下げた。
「ありがとうございます。それでは戻りますね」
扉を開けると、待っていたのはレリアだ。
「そっちも終わった?」
「そっちも、というと、レリアも何かしらあったんですか?」
「……まあね。健人から話があって。取材がどうのとか、そういう話もされたし」
かなり嫌そうな表情をしながらレリアはそう言った。
「……あと、また模擬戦の誘いが来たりした」
「はは、流石にそんなことの相手はしていられませんね」
「多少話題になるのは避けられないみたいだけどね」
「それは仕方ないでしょうね。さて、それで――どうしましょうか」
リレイは一息ついて、そういった。
「私は――また旅に出ようかな。今度は逃げるためじゃなくて、何かを得るために」
「旅……ですか。何をするんですか?」
「具体的にこれっていうのはないけど……廃墟しかないと言えばないけど、いろんなところ見て回ったり、人助けしたり」
「ああ、なるほど。確かにいいですね……ですが、私はここに残りましょうかねー」
「うん、それもいいと思う」
「私はここの雰囲気も好きですからね。もっと人と交流してみたいのもありますが」
「そうだね――後は星流とアルファにも聞いてみよっか」
「今後の方針会議ですね」
◇
「星流さんはどうするんですか?」
「そうだなー。俺もここに残ろうかな……ていうかそれしか選択肢がない気がするぞ」
頬をポリポリと掻きながら星流は言った。
「おや、それまたどうしてですか?」
「俺はそんな強くないからな。訓練も受けてないし……」
「ああ、確かにそうですね」
「も、もうちょっとこう、フォロー、はないか……」
ガックリと肩を落とす星流。
「それで、アルファはどうしますか?」
明らかに気落ちしているアルファにリレイはそう言った。
「俺はここに残って世のため人のために働こうかな……」
「それもいいことですが、まずは自分を大切にした方が良いと思いますよ?」
「でもなぁ……俺は本当に酷かっただろう? 正直、罪悪感がな」
「まあ、いいんじゃない? でも、あんまりそれに囚われすぎないでね」
「あー、善処する」
アルファは曖昧にそう返事をした。
「それで、リレイとレリアはどうするんだ?」
アルファは二人にも質問した。
「私は皆さん同様ここに残りますね」
「私はもう一回旅に出る予定。今度はもっとポジティブな理由でね」
「大丈夫なのか? 一応他のみんなはここにいるが」
アルファはレリアにそう質問する。
「大丈夫。それは帰ってくる場所があることにもなるから」
レリアは微笑んでそう言った。
「確かにそうだな……よし、旅支度くらいは俺にさせてくれ!」
アルファは胸を叩いてそう言った。
「気持ちは嬉しいけど……できるの?」
が、レリアにジト目でそう質問される。
「う……ちょっと怪しいかも」
「大丈夫だって、それくらい自分でできるから」
「じゃ、じゃあ見送りはちゃんとするからな」
「うん、分かった」
「それでは、これで方針会議は終わりですね。各々自由行動ということで!」
◇
あれから一日が経過した。
「リレイ、そう言えばお前って俺にだけはさん付けだよな」
星流とリレイ、アルファは、道端で二人で会話していた。
「それは当たり前ですよ? 他の二人は家族同然ですからね」
「あ、それもそうだな、すまん……って待て、つまりもしかして俺は一人だけなんか違うのが混ざってるってことなのか?」
「そうとも言えますね」
「ちょ、ちょっと悲しいな……」
「だ、大丈夫だって、仲はいいから……」
そう話していると、何やら様々なものを装備しているレリアが道の向こうからやってきた。
「あ、レリアが来ましたね」
「おはよう……ってもしかして全員で来るの?」
「それはしばらくのお別れですからね。当然ですよ?」
「まあそうだけど……とりあえず、外出る?」
◇
エレベーターを降り、興生を出る。
「……今までただの冷たい風だった外の空気も、状況が変われば感じ方も違うんだね」
「おや、風流を感じるようになりましたか」
「風流……かどうかは分からないけどね。それじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい。機械獣とか、気をつけろよー」
「また会おうなー」
リレイ、アルファ、星流と順に挨拶される。
「うん、また」
◇
日差しが差し込む廃墟の中、白髪の少女が一人座り込んでいた。
「周りには誰もいない……か」
ライフルのメンテナンスをしながら、そう呟く。
「今日は自由に色々見回ろうかな」
背伸びをして、軽く運動をする。
「今日もいつも通りだね」
これで完結になります。ありがとうございました。
また、「ここがよくないかも」「ここが面白いかも」などのご感想等あれば頂けると幸いです。




