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王様の奴隷  作者: ぷー介さん
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混迷

エレノアは急いで王宮に戻り着替えると、足早にある場所を目指していた。


『議会室』


今頃は、父親と兄と多くの貴族が議会中である。


エレノアは、父親と二人っきりだと、意見を聞いて貰えないのなら、議会真っ只中に乗り込めば、嫌でもエレノアの意見を聞かざる得ないだろうと考えた。


「姫様!!お待ち下さい!!」

「只今、議会中です!!お待ちになってください!!」

エレノアは、議会室前の警備兵を振り切って議会室に乗り込んだ。



バタン!!


エレノアは議会室の扉を勢い良く開き、議会中の者達の視線を一気に集めた。その瞬間、未成年であるエレノアの姿を知らない者達は、エレノアを訝しく見つめたり小声で何者なのか確認するなどざわついた。

しかし、議会席の中心にいる父親だけは、身動き一つせずエレノアを真っ直ぐ見つめていた。



「お父様、聞いていただきたい事がございまして、取り込み中と承知の上で馳せ参じました。」


エレノアは議会室中に響く大きな声で言った。


父親である王は片眉を上げ、エレノアを無表情で見つめたまま、口を開いた。


「エレノア、どういうつもりだ。 今は神聖な議会中だぞ。即刻出ていきなさい。」


エレノアの後ろから付いてきた警備兵達がエレノアを議会室から連れ出そうと、エレノアの腕を拘束しようとしたが、エレノアはそれを振り払い議会室の真ん中まで足を進めた。そして父親を見上げる形で懇願した。


「お父様、いい加減、目をお覚まし下さい!!今、お父様が行っているのは悪政です!!」





「あれは、エレノア姫か?」

「姫は何を言っている?」

「悪政とはどういう事だ?」

エレノアの言葉に周りの貴族達はどよめいた。



「静粛に!!」


どよめいていた貴族達を一喝したのは、父親の隣に座る兄ジョーイだった。


「エレノア、もう子供ではないのだから分かるよね。今はお前の我儘を聞いている場合ではない。すぐに出ていきなさい。」


ジョーイは、エレノアを氷のような視線で見下ろすと、出口を指差した。しかし、エレノアは負けずに反論した。


「お兄様!今の街の現状をご存知ですか!?飢えた子供が盗みをしたら処刑!家族が病に倒れ労役を1日でも休んだら処刑!法令に意見をしたら投獄!そんな血も涙もないような法律を悪法と言わずしてなんと言うのですか!?」


エレノアは涙ながらに訴えた。

今回が最後のチャンスだとエレノアは思った。本当はエレノアが成人してから意見を言うつもりだったが、ガルカンの事を思い出し、国民の我慢の限界は近いと感じた。

もし、これで変わらなければ、国内の反発は更に膨れ上がり、このまま平穏ではいられないことは明白である。


エレノアは祈る気持ちで父親と兄を見つめた。


「悪法とはまた随分な物言いだな。」

何かを言おうとしたジョーイを手で制し、口を開いたのは王だった。


「エレノア、お前が考えると国とはなんだ。」

「国とは国民が幸せに暮らすためにあるものです。」


王の質問にエレノアは毅然と応えた。王はその応えに満足そうに目を細めた。


「では、国民が幸せに暮らすために我々は、国民の安全を守らねばならない。その為の労や税であり、我が身可愛さに犯す犯罪など、赦される筈がないのはわかるだろう。」

「ですが、限度というものが…」


エレノアは王の言葉に反論しようとした。しかし、王によって遮られ最後まで言わせて貰えなかった。


「これ以上、言うのであれば、エレノア、お前を『王に対する不敬罪』及び『反逆の思想あり』として、地下牢へ投獄する。」



「そんな…」


エレノアは絶望した。

王にエレノアの声は届いていなかった。

エレノアはジョーイに助けを求める視線を送ったが、ジョーイは目を逸らし、こちらを見ようともしなかった。

エレノアは縋るようにもう一度王に視線を向けるも、王はなんの感情も見いだせない表情でエレノアを見つめるだけだった。


「連れていけ」

王の言葉で、エレノアは呆然と警備兵に拘束されるがままに王宮の地下牢へと投獄された。





─────

ガシャン!!


「きゃぁ!!」

エレノアは地下牢に放り投げられ、尻餅を突いた。


檻の鍵を掛ける音が無機質に地下牢内に響く。



「エレノア様、当分頭を冷やしなさいとのお父様のお言葉です。」


父親の従者は倒れ込んだエレノアにそれだけ伝えると、一礼してさっさと地上へ戻っていった。



灯りは備え付けられた蝋燭一本のみ。

湿気が多くの、ほの暗いそこは決して居心地の良い場所ではない。



しかし、エレノアは、その場に座り膝を抱えた。

父親と兄はエレノアがただ我儘を言っているだけだと思っている。どうにかして、エレノアが本気だと理解してもらわなければならない。


エレノアは考えた。


しかし地下牢の中では、次第に考える力を奪われていく。

警備兵達も、地下牢の階段を上がった扉の外にいるだけなので、兵士の交代から時間を予測することも出来ない。

地下牢は完全にエレノア一人である。




エレノアは、地下牢に入れられてから何分経ったのか、或いは何時間経ったのか、全く分からない。

その間、エレノアはいつの間にか過去の事を思い出していた。


ここまで読んでいただきありがとうございます

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