フラグと守りたい気持ちと
バトル描写もないし、大した心理描写にもなってない、なんか本当楽しんで読んでくれてる方ごめんなさい!
因みに、今回はカルラ視点と魔獣視点の2本立てです。
----カルラ視点
「はぁ…………はぁ…………」
流石に疲れた、レベルの高い私といえど、全速力で走れば息切れはする。
クエストや戦闘中でもないのに、こんなに全力で誰かのために動いたのは本当に久しぶりだ。
まだ、手をつないで添い寝しかしてもらってないが、私を大事に想ってくれるあいつのことが大好きだ。
武器や防具の殆どは、一定の身体能力、またはレベルが無いと使いこなせないため、上質な初心者装備ぐらいしか私に用意できない。
しかし、アクセサリーやお守りの類のアイテムは、特にレベルや身体能力の制限がなかったりする。
とはいえ、一部の状態異常無効化や、永続のバフスキルのようなもので、飛躍的にパワーアップする訳ではない。
例えば、私が、あいつに初めてかけたバフと同じ効果の即死を1度だけ免れる効果の『天使のミサンガ』というものがある。
手に巻きつけると、即死ダメージ、または、ディスペル系の呪文を受けでもしない限り、このミサンガは外れず
上記の条件を満たした時に、引っ張ったようにブツッと切れるのだ。
とりあえず、いざという時のために、こういった類のモノを幾つか買いに来たのが今回の遠出の目的だ。
こんな買い物本当に久しぶりである。
今度は、あいつと一緒だと嬉しいなぁ……。
ニヤけると同時に色あせていた世界が色づいて見える。
世界はこんなにもあったかい。
…………
結構な出費をしてしまった。
予備分を買ったとはいえ、数カ月分のクエスト報酬を使うとは思わなかった。
一番欲しかったのは今手の上にある対極のデザインの金腕輪だったりする。
ユージとお揃いで着ける予定だったこの腕輪は、初級冒険者レベルの2人に買える代物ではなかった。
ただ、この腕輪をもし、あの時の私達がしていたら、私も一緒に死んでいたかもしれないが……。
ネガティブな気持ちと、ユージの最後が脳裏に浮かんだ時、恐怖と憎しみで体が震えそうになる。
『……大丈夫……大丈夫だよ』
そんな時に、洞窟で抱きしめてくれたフクロウの温もりが、私を正気にさせる。
(私がフクロウを守る!……)
今の私は、即死することはまず無い、同格の人間は数人いるが誰かに殺されることもないだろう。
この腕輪があれば……絶対に守れる!!
ホッと安堵の溜息が漏れたその時だった。
町人の何気ない会話が聞こえる。
「はぁ……本当油断もすきもありゃしないねぇ……」
「……そうだねぇ……」
何やら不幸があったようだ、今の私には関係だろう、幸せの絶頂なのだから。
「幸せの絶頂だと思ったのにね……」
「……ッ!!」
まさに今の私の状況……?
ついつい、聞き耳を立てる。
「高台にある、遺跡での採取クエストの帰りに、足を滑らせて亡くなったんだって?」
「一寸先は闇とはよくいったものだね……。 数日後、挙式予定だったのに……」
「そうかい……それは本当残念だね……」
……事故るとは、なんともなさけないもんだ。
哀れみと蔑みの感情で、買い物を続けようとした時だった。
あの時の……あの時の私って……幸せだった?……油断してた?……
そうだ、確かにそうだ、惨劇の前は幸せだったし、油断していた。
ほぼ同時に、あの場所に着くことが出来たとしたら私はユージを……。
背筋に悪寒が走った。
……フクロウが危ない……?
私は、お目当てのブレスレットを道具袋に終い、軽量化装備を更に軽量化装備に変え、全力で村へ戻った。
無事で居てくれ……フクロウ……。
……
……
……
行きよりも、数十分早く村へ帰り着いた。
クタクタな状態を、自らの治癒魔法で一部回復し、一部を紛らわさせる。
居ると思われる場所は、ギルド支部か、宿屋、もし外出したとしたら、モンロウが知っているだろうか?
そして、ギルド支部に行くが、今日は着てないとのこと、宿屋に向かうが、戻ってないとのこと。
嫌な予感が的中しそうで、気が気でない。
モンロウに尋ねると、洞窟に向かったとのことだった。
そして私は、突っ走る。
洞窟前まで来て、半径500メートルまでの距離の生体反応を察知する魔法を唱えるがフクロウらしき反応はなかった。
洞窟は、500メートルに満たないので、中には居なさそうだ。
仕方ない、辺りが見渡せる開けた場所に行くしか無い。
「フクロウ……いったいどこにいるのだ?」
(大丈夫……大丈夫だ……)
私は、何度も自分に言い聞かせながら、見晴らしの良い丘を目指しそこで出会ってしまうのだった。
強靭すぎるステータスを持つ魔獣と……。
強靭すぎることが意味するのは何か、それだけ効率よく殺戮を繰り返したということだ。
少なくとも私は……そうやって強くなってきたのだから。
----魔獣視点
……やっと出会えた……。やっと出会えたのだ……。
「ゴ主人様……」
ボクは傷つけぬよう、ボクのお腹で眠るご主人様にそっと触れた。
ご主人様は、寛大とかいうやつで心が広かった。
不思議なことに、ご主人様と喋ったり、ご主人様のことを思ったりしているうちに
知らない知識が、泉から湧き出るようにボクのものとなっていった。
ずっと……ずっと一緒なのだ。 ご主人様。
幸せで口端から涎が垂れそうになった時だった。
殺意を感じた。
それと同時に、ボクは、殺意の元を視界に捉え、捉えると同時に
光線のようなものを防ぐため、無意識に詠唱した。
…………
詠唱し終わると、目がキラリと光ったのがわかり、
コンマ3秒ぐらいしてから、光線のようなものが、目の前で弧を描く様に、1メートル横を通っていった。
……守らなきゃ……。
相手の考えは分からない、ボクの命か、ご主人様の命を狙っているのは間違いない。
そのどちらかである限り、ボクらは幸せになれない。
だから、強さを願った。強さを授かった。
ご主人様と、己自身を守るために。
「フクロウを離せっ!!!!っ」
……。
「……何?」
脳内が音速で言葉を処理して、理解させてくれる。
『梟を離せ』梟とは猛禽類の一種、離せとは、その対象を解放すること
そんな鳥この近くに居ない訳だが、とりあえず、身を守りつつ迎撃しなくては
ご主人様を抱きかかえ、ゆっくりと立ち上がる。
それと同時に、ご主人様が、目を覚ました。
「……うわっ……あ……チェンジ……どうしたの?」
「……ジットシテテ、ゴ主人様ハぼくガ……ぼくガ守ルカラ」
「守るって……、あ……カルラちゃん、紹介するよ、あれがボクの……」
「……知リ合イ……ナノカ……?……ッツ!!」
気を取られた一瞬だった、龍の形をした炎が襲いかかってきた。
とっさに、開いていた片手でボクはそれを受け止めた。
ジュゥゥッ!!と体毛の一部が焼け焦げる、音が聞こえ、激痛が走るが耐えきれるものだった。
「グッ、グッグガアアッ……」
「ぇ……! や、やめて、カルラちゃんっ!!」
ご主人様が必死に声を上げ、殺意は、綺麗さっぱり消えたのだ。
「……」
「……」
……
その後は、そのカルラとかいう人間の女に魔法で治療され、しぶしぶ謝られた。
が、そのすぐ後に、泣きだした女を見て、胸を締め付けられる気分だった。
まるで、ボクが悪者だったかのように。
その女を抱きしめてあやす、ご主人様。
…………。
フクザツな気分だ。
ボクが守って……ボクのご主人様なのに……。
目元が熱くなる頃、ご主人様が女を解放し、ボクに振り向いてそっと頭を優しく抱いてくれた。
「……守ってくれて有難う……チェンジ」
「……ウン……ズット守ルカラ」
全然おもしろみのない文章でごめんなさい!
近々タグ編集もします。無力さを痛感しました。
次話で第一章が終わりますが、どう終わらせようか考え中です。
現時点で低評価も高評価も凹んでしまうので、評価はもうちょっとだけ待って下さい。