第一話 突然の国外追放
初執筆、初投稿です
さっき、完結済みなので予約投稿設定してたけど、2話目から予約してたの解除できなくて、いっぺんに全部投稿してしまいました
なので消しました。も一回最初から投稿します。
予約投稿、しません。わからないことしちゃだめ(汗)
頑張って毎日投稿します
王城の謁見の間は重い静寂に包まれ、中央で皆の視線をまっすぐ受け止めながら、一人の少女が静かに跪いていた。彼女の名前はリリア・ヴァリー。侯爵令嬢だった。
玉座には国王ギルバード・コロバインが座り、その傍らに王太子のエドガー・コロバインが立っている。左右には宰相や騎士団長、重臣たちが並び、父、ローランド・ヴァリー侯爵も列席していた。だが、その目がリリアを見ることはなかった。……いや、見ることができなかった。
――沈黙が続く。誰一人として口を開かず、この場を支配しているのは、リリアの鼓動だけだった。
長い沈黙が永遠のように続いたかと思った矢先、ギルバードがゆっくりと口を開いた。
「リリア・ヴァリー。何か言い残すことはあるか」
その問いに、リリアは少しだけ俯き静かに目を伏せる。言いたいことはあるけれど、何を口にしても、この決定が覆ることはないことを知っている。
それに──。
(あの日、水辺で助けを求める手を見て、とっさに私は手を差し伸べていた。無我夢中だった。でも、名前も知らないあの子の事を助けたことは、絶対後悔なんてしない)
もし時間を巻き戻せたとしても、きっと同じことをするだろう。だって、困っている人を見捨てることなんてできないから。
(私は、間違っていない。正しいことを……母が教えてくれた“正しさ”を……、だから、これでいいんだ)
リリアはゆっくりと顔を上げて、そしてまっすぐと前を向き、ギルバードへ一言だけ答えた。
「……ございません」
謁見の間に小さなどよめきが広がる。
「……リリア……」
リリアの答えに、父、ローランドの目が大きく見張る。
ギルバードはリリアと目を合わせると、静かに告げた。
「そうか。リリア・ヴァリー。本日をもって其方に国外追放を命ずる」
その一言に、謁見の間は再び静まり返った。その言葉に異を唱得る者はいなかった。父も、婚約者だったエドガーも。ただ沈黙だけが、その場を支配していた。
「何か、言い残すことはあるか」
沈黙を破って、ギルバードは彼女に向けて、再び同じ言葉を問いかける。その問いにリリアは少しだけ考えて、そしてゆっくりと頭を下げてから答えた。
「……なにも、ございません」
リリアの声は皆が思わず驚くほどどこまでも穏やかだった。
「リリア・ヴァリー。日の入りまでに国境を越えよ」
ギルバードは一言だけ告げると王座を立ち、静かに謁見の間を去った。
続いてエドガー、ローランド、宰相、騎士団長、重臣たちが、彼の背を追うように退出していく。
その間、リリアに向けられた言葉はひとつもなかった。残されたのは、ただ静寂だけだった。
(もう、この城へ戻ることはない。……この国に戻ることはない。ここは、もう……私の帰る場所じゃない)
その日の夕刻、見送る者はいないまま一台の馬車が王城を後にした。
王都の門を抜けた先で護衛は引き返し、リリアはただ一人、夕暮れの街道へと歩き出す。夕暮れの空はどこまでも静かで、振り返ってももう帰る場所はない。
だから、彼女は足を止めなかった。自分が信じたことだけは、間違っていなかったと胸に抱きながら、前を向いて歩いていく。
――こうしてリリア・ヴァリー侯爵令嬢は、己のすべてを失った。




