第十一話 この気持ちは何?
果桜に言われたことが頭の中で繰り返される。
――柚葉のことを……
自分でも初めての感情にどう向き合っていいのかわからずにいた事を、果桜は見事に言い当てたような感覚でいた。
――この気持ちは、好き? そうなんだ……
そんなことに気づかされた作業の時のヒトコマだった。
「匠、どうしたの?」
「あっ、いや」
「別に……っていう顔じゃ無いと思うけどなぁ」
そんな会話をしつつ作業を終えた。
「匠、お疲れ様」
「うん、お疲れ」
[旅のしおり]の積み上がった山を見つめて、柚葉と一緒に行動する課外活動に思いを馳せていた。
「匠、何イヤらしいこと考えてるの?」
「何も考えてないわ! バカ果桜」
「うわっ、覚えておきなさいよ! 柚葉とふたりにさせてあげないからね」
「はぁ?」
こんなことを話していると、何処からか果桜を呼ぶ声がした。
「果桜ちゃん、一緒に帰ろ」
「うん! 待ってて」
「廊下にいるね」
「わかった!」
果桜は、クラスの女子たちに声をかけられていた。さっさと帰り支度をして
「それじゃあ匠、バイバイ」
笑顔を向けて、右手を振り女子たちと帰っていった。慌てて僕も帰る準備をして会議室を後にした。
課外活動前の静けさ?!
柚葉の気持ちは?
楽しみにしていてくださいね。
by 菜須よつ葉




