子ども
拠点にしている宿の部屋に戻ると、すぐにロシュアが訪ねてきた。
今回の依頼に参加するのは、わたしとアルを除いて6人。
ロシュアは他5人とアルの連絡役を務めている。
他5人が集めた情報を整理してアルに指示を仰ぎ、アルの指示を5人に伝える役目を担っている。
もちろん、ロシュア自身も情報収集をしているけど。
「どうだった?そっちは。」
「報告します。この3ヶ月で消えた子どもは、全部で7人。どの子どもも、孤児や貧民街の子です。捜索はされていません。詳しく調べたところ、彼らの足取りは、全てとある孤児院で途絶えています。」
「孤児院?」
「はい。教会が運営する、孤児院です。」
「きな臭いな。確実に関係しているだろう。」
「ええ、おそらく。」
「こっちも子どもがいなくなっているって言う話を聞いた。それから、町中から視線を感じた。」
「3人、ついてきてたよ。皆んな子どもだった。」
「ああ。素人だから、わかりやすかったな。それにお忍び風の貴族がやけに多い。おそらくオークションの参加者だろうな。」
「調べますか?」
「ああ。ついでに、王族に売ってやろう。」
あ、アルが悪い顔で笑ってる。
アルの悪い顔は、悪くないけど、悪い。
ん?やっぱり悪い……??
アルはずっとロシュアと計画を詰めている。
……わたしもアルのお手伝いがしたい。
何か、わたしにできること……
あ!
「アル、わたし貝殻拾いに行ってくる。」
「ん?どうした、いきなり。」
「さっき近くを通った時、子どもが貝殻を拾ってたの。」
「……?……あ、そう言うことか。わかった。近くまで一緒に行こう。」
「うん。」
「どうしたんです?」
「子どものことは、子どもに聞けばいい、だろ?」
「うん!」
「ああ、そう言うことですか。お気をつけて。」
「ああ。」
「いってきます。」
砂浜では何人かの子どもたちが、貝殻を集めていた。
わたしも見よう見まねで、貝殻を探した。
その間、アルは遠くに離れている。
とは言え、何かあったらすぐに駆け寄れる距離だけど。
小さいのはいくつか見つけたけど、あんまりしっくりこない。
納得がいかなくて首を捻っていると、1人の男の子が近づいてきた。
よし、来た!
「これ、よかったらどうぞ。」
差し出してきたのは、綺麗な巻き貝の貝殻。
「いいの?ありがとうっ!」
「どういたしまして。僕は、トーマ。君は?」
「わたしはユイ!よろしく!」
「貝殻集めてるの?」
「うん。とっても綺麗だから、お土産に持って帰ろうと思って。」
「じゃあ、僕の家においでよ!もっと綺麗な貝殻を見せてあげる。」
「んー……今日はダメ。お兄ちゃんが迎えに来るから。今度行ってもいい?」
「もちろん!僕の家は孤児院なんだ!皆んなも喜ぶと思う。ぜひ遊びにきて!」
「うん。行く。じゃあ、またね。」
アルがトーマにも見えるように姿を現した。
トーマに手を振って、アルのところまで走って飛び込む。
「むふー。」
「ご機嫌だな。」
「うん。」
「じゃあ、帰るか。」
「うん!」




