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聖女は逃げ出した  作者: 氷桜 零
第1章
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孤児院


「はあ!?絶対、ダメ!」


「わたしも、できるもん!」


「まあまあ、落ち着いてください、2人とも。」


再び宿の部屋に戻って、砂浜での出来事とわたしの考えを話すと、アルは声を上げて反対した。

でもわたしは、アルのお手伝いがしたい。


2人で睨めっこをしていると、ロシュアが間に入ってきた。


「ユフィーレの提案は、すごくいいと思いますよ。」


「それは、わかってる。ユフィーレじゃなきゃ賛成してたさ。でもダメだ。ユフィーレに何かあったらどうする?」


「わたしだって、できるもん!それに、アルがすぐに助けにきてくれるでしょ?」


「うっ……それは、もちろんそうだが!」


「わたしだって、アルのお手伝いする!闇ギルドクロネコのメンバーなの!!」


「うっ……」


アルがついに黙り込んだ。


「ギルマスの負けですね。」


「はあ……」


よし!

勝った!


わたしだって、いつもこんな危険なことしないよ?

でも、アルが絶対来てくれるってわかってるもん。

だから、何の不安もないんだよ?


「くれぐれも危ないことはせず、自分の身を第一に考えること。静かに待っていること。約束できるな?」


「うん!約束する!」


アルはしゃがんで、わたしをぎゅっと抱きしめた。




数日後、こちら側の準備が整ったところで、わたしはアルと孤児院を訪れた。


「じゃあ、いい子にするんだぞ?」


「うん、いってきます!行こう、トーマ。」


「うん。こっちだよ!皆んな待ってる。」


わたしはアルと別れ、トーマに連れられて、孤児院の中に入った。


外から見たら古い建物だったけど、中は掃除が綺麗にされており、建物の古さを感じなかった。

玄関の入り口から真っ直ぐに歩くと、すぐに食堂が見えてきた。


トーマと一緒に食堂に入ると、わたしよりも年齢の小さな子がわらわらと近づいてきた。

自分より年下の子とこんなに近づいたのは初めてで、少しびっくりした。

皆んなに引っ張られて輪の中に入れてもらって、絵本を読んだりおままごとをして遊んだ。


お昼ご飯も、そのまま一緒に食べさせてもらった。


遊び疲れた子たちとお腹がいっぱいになった子たちは、皆んな昼寝に行ってしまった。


ここに残っているのは、トーマと同じ歳くらいの子たちだけ。

皆んな話が上手で、楽しくおしゃべりができた。


「ユイのお兄さん、とても優しい人だったね。」


わたしがお水を飲んでいると、トーマが横から問いかけてきた。


「うん。わたしも皆んなと一緒で孤児なの。でも、お兄ちゃんに拾ってもらって、今は楽しく過ごせてるの。」


「そ……そう、なんだ……ごめん……」


「ん?どうし……あ、れ?」


「本当に、ごめん……」


突然の眠気に襲われたわたしは、コップを手から落としてしまったことにも気づかず、意識を手放した。






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