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聖女は逃げ出した  作者: 氷桜 零
第1章
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目が離せない SIDE:アルトゥール


あの襲撃で下の連中を手当てして関わったのが良かったのか、ユフィーレの行動範囲が目に見えて広くなった。

俺の執務室や部屋、調合室以外にも、医務室や訓練場なども出入りしている。

そして毎日楽しそうにギルド内を散歩しては、寝る前に今日の楽しかったことをたくさん話してくれる。

身振り手振りを交えて話すそれは、ユフィーレの感情をわかりやすく伝えてくれる。


刺激が多くなったせいか、表情もわかりやすくなってきた。

楽しかったり嬉しかったりすると、周囲に花が飛ぶように笑うようになった。

まぁ、そんな笑顔を見れるのは嬉しいが、いかつい奴らがそれでデレデレしているのは、気持ち悪い以外何者でもない。


ユフィーレ自身のことを聞いてから、随分と時間が経っているから、ユフィーレと教会についての情報も粗方集まった。

ユフィーレの情報と先日の治癒魔法。

それで確定した。

ユフィーレは、教会が今血眼になって探している聖女だ。

前まではコソコソと探し回っていたが、なんの情報も出て来ないために、最近は大々的に探し始めている。


だがうちの闇ギルドは、教会如きに特定されるような、柔な闇ギルドではない。

尻尾すら、掴ませてやらねぇ。

精々アリのように這いつくばって、あくせくしてればいい。


そんな日常を送っていた時、ミスティから、「ユフィーレを見かけない」と報告があった。

建物内を捜索して聞いて回ったが、誰も見かけていないのだとか。

最後に見たやつに聞くと、ノインと一緒にいたという。

そのノインも見かけない。

万が一の可能性を考えて、何人か町に人を送った。


俺の心配をよそに、ユフィーレとノインは、ロシュアに連れられて帰ってきた。

ざっと見たが、怪我をしている様子はなくて、心底安心した。


だが、ノイン、お前は許さん。

後で覚えとけ。


ノインに視線で訴えると、青ざめて震えていた。


ノインから目を外し、ユフィーレを見る。

怒られると思ってか、服をぎゅーっと握りしめて緊張している。


怒るはずがない。

俺がユフィーレを怒れるはずがないだろう?


ユフィーレの姿を見て安心したら、何かが胸の奥から溢れてきた。

何かなんて、そんなのはわからない。


溢れてきた感情に戸惑っていると、ユフィーレが飛び込んできた。

そして力一杯、抱きついてきた。


それに背を蹴飛ばされ、俺も力一杯抱きしめ返した。


今回の件で、よくよく理解した。


ユフィーレから、目を離すことができないってことが。


後に、この時出かけたのは俺にプレゼントを買いたかったからと聞いて、ますます手放せないなと思った。






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― 新着の感想 ―
一回りの年齢差、微妙な開きだけど親もきょうだいもいない子供には必要なんだよなぁ…。
あー、いい!いいね!このじわじわくる執着!好き!!! (・・・琴線に触れて興奮してしまいました、失敬失敬)
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