目が離せない SIDE:アルトゥール
あの襲撃で下の連中を手当てして関わったのが良かったのか、ユフィーレの行動範囲が目に見えて広くなった。
俺の執務室や部屋、調合室以外にも、医務室や訓練場なども出入りしている。
そして毎日楽しそうにギルド内を散歩しては、寝る前に今日の楽しかったことをたくさん話してくれる。
身振り手振りを交えて話すそれは、ユフィーレの感情をわかりやすく伝えてくれる。
刺激が多くなったせいか、表情もわかりやすくなってきた。
楽しかったり嬉しかったりすると、周囲に花が飛ぶように笑うようになった。
まぁ、そんな笑顔を見れるのは嬉しいが、いかつい奴らがそれでデレデレしているのは、気持ち悪い以外何者でもない。
ユフィーレ自身のことを聞いてから、随分と時間が経っているから、ユフィーレと教会についての情報も粗方集まった。
ユフィーレの情報と先日の治癒魔法。
それで確定した。
ユフィーレは、教会が今血眼になって探している聖女だ。
前まではコソコソと探し回っていたが、なんの情報も出て来ないために、最近は大々的に探し始めている。
だがうちの闇ギルドは、教会如きに特定されるような、柔な闇ギルドではない。
尻尾すら、掴ませてやらねぇ。
精々アリのように這いつくばって、あくせくしてればいい。
そんな日常を送っていた時、ミスティから、「ユフィーレを見かけない」と報告があった。
建物内を捜索して聞いて回ったが、誰も見かけていないのだとか。
最後に見たやつに聞くと、ノインと一緒にいたという。
そのノインも見かけない。
万が一の可能性を考えて、何人か町に人を送った。
俺の心配をよそに、ユフィーレとノインは、ロシュアに連れられて帰ってきた。
ざっと見たが、怪我をしている様子はなくて、心底安心した。
だが、ノイン、お前は許さん。
後で覚えとけ。
ノインに視線で訴えると、青ざめて震えていた。
ノインから目を外し、ユフィーレを見る。
怒られると思ってか、服をぎゅーっと握りしめて緊張している。
怒るはずがない。
俺がユフィーレを怒れるはずがないだろう?
ユフィーレの姿を見て安心したら、何かが胸の奥から溢れてきた。
何かなんて、そんなのはわからない。
溢れてきた感情に戸惑っていると、ユフィーレが飛び込んできた。
そして力一杯、抱きついてきた。
それに背を蹴飛ばされ、俺も力一杯抱きしめ返した。
今回の件で、よくよく理解した。
ユフィーレから、目を離すことができないってことが。
後に、この時出かけたのは俺にプレゼントを買いたかったからと聞いて、ますます手放せないなと思った。




