仕事のお手伝い
今日も今日とて、わたしはアルの膝の上。
最近アルの膝の上に座っていると、よく眠たくなる。
当のアルは「本当に、クロネコだなぁ」って笑いながら、わたしの顎下をこしょこしょする。
わたしも実はネコだったんじゃないかって、思う時がある。
そのうちおもちゃを目の前で振られたら、飛びついてしまいそうで怖い。
わたしは人間。
わたしは人間だから。
アルは器用に、片手でわたしを撫でながら、書類仕事をこなす。
アルの顎は、もちろんわたしの頭の上。
程よい重さだ。
「相変わらず、仲良いですねぇ。」
笑いながら部屋に入ってきたのは、ロシュアだった。
その返答はもちろん、
「うん。」
「当然。」
だよね。
「追加の仕事か?」
「まぁ、そうなんですが。これを見てください。」
ロシュアが差し出した書類は、わたしにとっては見覚えのある言葉が並んでいた。
「何だこれ?神を讃えてる文言か?」
「やっぱり、そう見えますよね。最近取ってきた情報の一部なんですが、やっぱりこれは関係なさそうですか。」
「……これ、暗号だよ。」
アルと一緒に覗き込んで見たら、やっぱり知っている言葉だった。
「「え?これが?」」
「うん。教会とか、信者が使う暗号。一見、聖書とか讃えてる文言に見えるけど、それぞれ意味があるの。」
「ほう。教会と信者ねぇ……」
「確かにこの情報を持っていた貴族は、熱心な信徒と言う話でしたね。」
「『神』は、取引相手のこと。『神の花の蜜』は、依存性の高い麻薬のこと。『神の降臨』は、夜の1時から2時。『白き庭』は、墓地。だから、この文書は、麻薬の取引時間と現場を表してるの。」
「では、これは?」
ロシュアが次の書類も見せてくれた。
「要約すると、『9月15日、海の教会で、子どもの取引が行われる。子どもは5歳〜12歳。オークションに参加できるのは、あなたのような特別な信者のみ。』って感じになる。」
「9月15日となると、ちょうど1ヶ月後ですね。海の教会といえば、ベローナ町の教会です。そこで子どもの人身売買がある、と。どうします?ギルマス。」
「そんなの決まってるだろ。行くさ。」
「わたしも!」
置いていかれないように、手を挙げて主張する。
留守番は嫌だ。
アルの服をぎゅっと握って、じーっとアルを見つめていると、観念したように笑って許可してくれた。
ロシュアも、仕方ないと頭を振っている。
わーい。
アルと一緒!
わたしも、アルの仕事の手伝いができるもん。
その後、アルとロシュアでメンバーを決めて、出張の話を詰めていった。




