49. 報告
「クリス先生―――!」
教室から出ていこうとするクリス先生を呼び止めた。
「なんだ?」
クリス先生は振り返る。
「話があります」
「それは今、聞くべき内容か?」
「はい」
生徒の死とドミニクの異変―――それに瘴気。
全く関係のない出来事なのか?
これは俺たち生徒が判断することじゃない。
早めにクリス先生には伝えておくべきことだ。
「もしかしたら、生徒の死と関係あるかもしれないことです」
「……わかった……。場所を変えるぞ」
クリス先生「ついてこい」と言って教室を出る。
俺とファーレンはそれに続く。
そして、校舎の隅にある10畳程度の静かな部屋に入った。
「どうした?」
「ここ、不思議な感じしますね」
「この部屋は少し特殊だからな」
何か違和感を感じると思ったら、ここには窓がなかった。
窓がないこと自体、そこまでおかしことではない。
……だが、意図的に窓がつけられていないように感じる。
外から切り離されたような空間。
クリス先生は入り口の扉を締めてから、俺たちの方を向いた。
「それで? 話とはなんだ」
「ドミニクのことです」
「ドミニクか……。あいつがどうかしたのか?」
「彼の魔法から瘴気を感じました」
ファーレンが言った。
「瘴気……? それは……本当か?」
「そんなはずはないと考えました。でも、間違いなく……あれは瘴気です」
「それは聖女としての意見か……?」
クリス先生の目をじっとみて答える。
「はい。そうです」
「……そうか。お前が言うなら間違いないだろう」
クリス先生は顎に手を置き、しばらく考え込む。
そこに俺はもう一つの情報を伝える。
「ドミニクは怪しい会合にも出てました」
「会合……? どんなのだ?」
「わかりません。ただ、その集まりがドミニクの異変や中等部の生徒が死んだことに関係があると思っています」
「関係があるかはわからん。ただ、瘴気となると……」
クリス先生はじっと虚空を見つめる。
「その会合とやらはどこで行われたかわかるか?」
「商業エリアの路地裏です。奇抜なデザインの魔法道具屋が近くにありましたが、名前までは……」
そこは、カラフルな外観をし店の前にはオークやゴブリンの顔がそのまま飾られていた。
一度だけ、ナタリーと訪れたことのある魔法道具屋だ。
「いや、それだけ聞ければ十分」
先生はさっと立ち上がる。
そして、「情報提供ありがとう」と言って、部屋を去ろうとする。
「あ、あの! ドミニクさんはどうなるのでしょうか?」
「わからん。だが……あいつは一線を超えた。お前も知ってるだろ? 瘴気を取り込んだ人間の行末を……」
「はい……。知っています。だから、私が……」
フォーレンはギュッと服を掴んだ。
「お前たちはこれ以上関わるなよ。特にファーレン……。お前ではどうにもできんよ」
クリス先生は釘を刺してから、部屋を出ていった。




