↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/174

24. とある女子生徒の話

 エミリア・トーテムは、サンザール学園の1年生―――。


 そして、Aクラスに所属している。


 このクラスには、四人組の天才がいる。


 まずは、第三王子のベルク・リットン。


 容姿端麗であり、王族にも関わらず、誰にでも気さくに接するところから、絶対な人気を誇っている。


 ベルクとお近づきになりたい女子生徒が後を絶たず、教室では常に群がっている。


「……私には関係ないけどね」


 エミリアはイケメンに群がってキャーキャー騒ぐような頭の悪い子にはなりたくない。


 そもそもベルクに近づきたいとは思わない。


 王族との付き合いは大変だ。


 遠くで見ておくのが一番良い。


 次に、聖女のファーレン・アントネリ。


 公平公正を体現したような彼女は、まさしく正義の味方というべきか。


 聖女という立場と彼女持ち前の正義感から、生徒だけでなく教師からの信頼も得ている。


「でも……ちょっと苦手なのよね」


 ファーレンの清廉潔白ですよってところが好きになれない。


 それに……どこか胡散臭さを感じてしまう。


 そして、公爵家令嬢のナタリー・アルデラート。


 天使のような外見から、男子からの人気が凄まじい。


 さらに凛とした雰囲気が一段とナタリーの人気を高めている。


 最後に、飛翔のオーウェン・ペッパー。


 落ち目のペッパー家嫡男や無能など悪いイメージが彼にはあり、周囲からは落ちこぼれだと見られていた。


 だが、武闘会を境目に彼の印象はガラッと変わった。


 飛行魔法を使えることから、無能の代わりに【飛翔】の二つ名が広まり始める。


 カイザフ対オーウェンの一戦は、間違いなく武闘会一の盛り上がりをみせた。


 前評判が著しく悪かったオーウェンは、すぐ負けると予想されていた。


 だが、それを覆した。


(あのときは……驚いた)


 オーウェンが勝ったときの会場の静まりようは異常だった。


 まさか、初等部最強のカイザフがオーウェンに敗れるなど……誰が予想したことだろうか?


 あの一戦後に、オーウェンを無能と蔑む者はいなくなった。


「そりゃ、あの一戦を見た後に無能なんて呼べないわね。オーウェンが無能だったら、初等部のほとんどが無能になっちゃう」


 そして、ファンクラブまで出来ていると聞く。


 第三王子ほどの人気はないものの、オーウェンをひそかに慕っている者もいる。


 実力があるのに驕らないところとか、地味な顔立ちだが……良く見ればカッコいいところとかが良いらしい。


 彼女らに言わせると、第三王子は偶像(アイドル)だが、オーウェンは手の届きそうな存在ってことだ。


 実際、身分的にも第三王子と違って近づきやすい。


 ただ、残念なことにナタリーがいるため、オーウェンと懇意にしている女子生徒はナタリーだけだ。


「ナタリーとオーウェンはお似合いだものね」


 エミリアはオーウェンを狙っているわけではないが、尊敬はしている。


 普段の授業に取り組む姿勢から家柄や才能に溺れず努力できる人だ、と。


 それにしても、


「なんで、私の年に限って、凄い人たちが集まるのよ」


 2、3年に一度現れるか否かの天才たちが、同じ年に4人集まった。


 まさに―――奇跡の世代。


 彼らと比べると、エミリアは自分がちっぽけな存在に思えてくる。


「この学園でやっていけるのかな?」


 例年であれば、エミリアの実力は学年でトップクラスだ。


 しかし、彼らがいるせいで自分の存在が霞んでしまう。


「実家にいるときは、もてはやされたんだけど」


 これでもエミリアはトーテム家の天才だ、と言われてきた。


 実際、同年代の他の子たちよりも優れていていた。


 さらに、才能に溺れることもなく、それなりの努力を積んできたのに。


 ……井の中の蛙だった。


 上には、上がいる。


 それを肌で感じたエミリアは今日も一人、ため息をつく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。