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122. 七不思議と生徒会

 四大祭が終わってしばらく経った。


 時期は夏の終り。


 少し肌寒さを覚える。


 この時期は季節の変わり目で風邪をひきやすいから注意な!


 ちなみにこの世界に来てから風邪を引いていない。


 魔法のおかげかな?


 その代わり前世と比べ物にならないほどの大怪我を負うが……。


 俺はいつもどおり生徒会室(・・・・・・)にいた。


 長テーブルを囲んで生徒会メンバーが座っている。


「今日は何する?」


「やることいっぱいあるでしょ。副会長なのだから……もう少ししっかりしなさい」


 テーブルの先っちょ、窓に一番近い席に座るのがナタリー。


 そして、俺は補佐としてその隣に座る。


「はい、はーい」


 俺が適当に返すとナタリーが軽く目を細めた。


 ちょっと怖い……。


 俺とナタリーは生徒会に所属している。


 ナタリーが生徒会長で俺が副会長。


 エミリアが書紀。


 あとは会計が1人いて合計4人だ。


 そして、だ!


 会計は女の子だ。


 男が俺一人で後は全員女子!


 つまり何が言いたいかというと……ハーレムだ!


 はっはっは!


 これが念願のハーレム!


「オーウェン。しっかり仕事してよね。じゃなきゃ帰って」


 目の前に座るエミリアに怒られてしまった。


「副会長は肩書きだけかしら?」


 ナタリーにも強い口調で言われる。


 はははは……。


 俺の立場が生徒会の中では……残念ながら低い。


 これは俺が望んでいたハーレムじゃない!


 なんだこの居心地の悪さは……。


 夢のハーレムはどこにいった?


 俺をもっとちやほやしてくれよ!


「わかった。やるよ」


 最近、周りの俺に対する扱いが雑だ。


 いや、まじで。


 俺は褒められて伸びる子なのに……ゆとり世代万歳なのに……。


 この野郎、と恨みの気持ちを込めてナタリーを睨もうとする。


 だが……ナタリーは綺麗だった。


 彼女が青い瞳で資料を追っているのが見える。


 長い髪を耳にかける仕草に思わず見惚れてしまう。


 おっと、いかんいかん。


 ……仕事するか!


 副会長の仕事は簡単に言えば会長のサポート。


 縁の下の力持ちってやつだ。


 だが残念なことにナタリーは優秀すぎる。


 そして、エミリアも普通に優秀だ。


 俺がいなくとも、この生徒会は上手くやっていける!


 と自信を持って言える。


 そうは言っても仕事が全くないわけではない。


 その一部が生徒からの意見を学園運営に反映させることだ。


 今日もいくつか生徒会に寄せられたメッセージがあり、それらをぱらぱらと見ていると、


「またこれか……」


 ポツリと言うとナタリーが視線を向けてきた。


「七不思議かしら?」


「ああ。最近この話題が流行ってるらしいな」


 どこの学園にもあるだろう七不思議。


 だが、前世と違ってこの世界には魔法がある。


 だからバカバカしいと一蹴することもできない……


「バカバカしいわね」


 あれ?


 ナタリーさん。


 そんな簡単に否定しないでよ。


「でも火のないところに煙は立たないって言うだろ?」


「七不思議自体を疑っているわけじゃないわ。それを生徒会にお願いするのがバカバカしいってことよ。自分で調べればいいじゃない」


 七不思議の真偽を調べてほしい……そういう依頼が頻繁に来るようになった。


「きっと、自分で見に行くのが怖いんだよ」


 エミリアが返すとナタリーは嫌そうにため息をつく。


「自分で調べるのが怖いから私達に調べてこいって? 便利屋じゃないのよ……こっちも忙しいのに」


「ナタリーのいうこともわかるが、学園に危険がないかを調べるのも俺たちの仕事なんじゃないか?」


 まあ、七不思議に危険性があるとさ思えないが。


 それっぽい理由を言っておく。


「そうね。例えば、七不思議の一つ……夕方になると校庭で見える謎の飛行物体……【空飛ぶオーウェン】のことかしら?」


「いや、それもう不思議でもなんでもなくない?」


 あはは! とエミリアが面白そうに笑う。


 なぜか七不思議の一つに俺の名前が入っているらしい。


 いや、なんでだよ。


 ていうか謎の飛行物体って……俺の名前使ってる時点で謎じゃないからな。


 ただ俺が空飛んでるだけじゃん。


「笑うなよ。で、どうだナタリー。今後もこういった依頼が来るなら早々に解決した方がいいんじゃないか?」


「それもそうだけど……」


 と、その瞬間。


「オーウェン先輩! 助けてください」


 生徒会の扉が突然開かれた。


 そこには桃色の後ろで一つにまとめた、ポニーテールの少女。


 保護欲をそそられるような可愛らしい顔にうっすら涙を浮かべながら俺に近づいてきた。


 彼女の名はシャロット。


 一つ下の後輩で生徒会のメンバーだ。


「お……おう。なんだ?」


 シャロットが近づくと、花の香が鼻孔をくすぐった。


「オーウェン……鼻の下が伸びているわよ」


 ナタリーがいつもよりも冷めた目で見てきた。


 ちょっといい匂いがしたから……つい……。


「さっき美術室の前を通ったのですが、とても怖かったです……」


 シャロットが怯えた声を出す。


 男ってのは単純だ。


 か弱い女子にはかまってあげたくなってしまう。


「そ……そうか。怖かったか……それは災難だったな」


「カタカタって笑ってました」


「七不思議の一つか?」


「そうです。用事があって近くを通ったところ、笑い声が聞こえてきて……それで七不思議を思い出して。オーウェン先輩……一緒に見に行ってくれますか?」


 とシャロットが言った。


 それに対し、俺が返答するよりも前にナタリーが口を挟む。


「それは本当に笑い声だったのかしら? 勘違いじゃなくて?」


「勘違いかもしれません。でも怖いと感じたのは本当です」


 シャロットが毅然として言った。


 シャロットは優秀な後輩で高等部1年生(・・・・・・・・)の中で最も成績が良い。


 それにしっかりしており、仕事も信頼できる。


 だけど……ちょっぴりナタリーとは気が合わないようだ。


「あなたが怖いと感じたのあなたの勝手でしょ?」


「確かに生徒会長のおっしゃるとおりです。しかし、私が怖いと感じたなら他の人も同様に怖いと感じてもおかしくないのですよね?」


「だからといって生徒会からわざわざ二人も行く必要はありません」


「四大祭も終わって、今はそれほど忙しくはないはずです。それにオーウェン先輩も暇そうですし」


 え、俺ってそんなに暇に見える?


 大してやることないけどさ。


「まあまあ、ナタリー。ちょっと見に行くだけだからいいじゃないか」


「オーウェンがそんなんだから……。まあいいわ」


 ナタリーがたっぷり息を吐く。


 ナタリーは生徒会長になってから機嫌が悪い日が増えた。


 それだけ責務があるからだろう。


 できる限り助けてやりたい。


 だが今回の件では、シャロットの言い分もわかる。


 ていうか仕事ないのにここに居座っている方が胃に悪い。


「じゃあ、見に行くか」


「は……はい!」


「ということで、ナタリーとエミリア……。行ってくる」


「……ええ」


 ナタリーは少し迷った素振りを見せたが、しぶしぶといった感じで頷く。


「うん。いってらっしゃい」


 続いてエミリアが小さく手を振る。


 こうして俺はシャロットとともに笑う絵画の真相を突き止めに行くことになった。

お待たせしました!

新章開始です!

時が経ち、オーウェンたちは最終学年になりました!

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