■09いざっ!魔王城へ出発っ!
さて、視察により廃ダンジョンの具体的なリフォーム案設計とそれに必要な金額の算出は済んだ。なので今度はその資金の工面をしなければならない。
その概算額足るや33億ギールである。
もう一度言うけど33億ギールだっ!この額はエッセニア支部の年間売り上げの10倍以上である。
なので支部の貯金箱を幾らひっくり返してもそんなお金は出てこない。なのでそのお金は外部から調達する必要があった。
まぁ、本来ならば本部から融資を受けるのが普通なのだが、本部の資金運用部の審査は下手な銀行よりも厳しいので、レオパルドは別の出資者を探しておいたのだ。
そんなレオパルドが当てにした出資者がエッセニア支部があるアザー王国と隣接する地域を支配していた魔王『アンジュ・ノワール』であり、レオパルドは魔王に対して既にアポイントも取り付けてあった。
因みに魔王側の条件であった『おばちゃんたち』も同席させよ、という件については支部を留守にする訳にはいかないので、代表としてエレベだけが出席する事で折り合いがついていた。
そして明日が魔王との会合の日だったのである。
だが、魔王の居城まではエッセニア支部から馬車を使っても1日はかかる。なので前日の朝に出発して現地に夕方到着し、そのまま晩餐会に招待されて翌日話し合いというスケジュールが組まれた。
なので今、レオパルドとエレベはプレゼン用資料と魔王への贈り物を手に車中の人となり魔王城へと向かっていた。
因みにこの馬車は魔王が寄越したものなので御者も魔族だ。但し人間たちに考慮したのか御者にはヒューマノイドタイプの魔物が選ばれたようだった。
なので道々で馬車とすれ違った者たちも人間が馬車を操作していると思い込み、なんの違和感も感じなかったようである。
まぁ、つまり、この異世界では種の違いとはその程度のものなのだ。
因みに勿論魔族と人間たちは共通の言葉を使っている。なのでコミニュケーションもなんら問題なく行えるのだった。
まぁ、これはある意味下手に相手の悪口などを言うと相手が理解してしまうので気をつけなければならないのだが、それでも利点の方が大きい。
そう、同じ言葉を使うという事は意思の疎通がスムーズになると言う事なのだ。
そして、そんな馬車の中でレオパルドは緊張しているのかしきりとエレベに話しかけていた。
「すいませんね、エレベさんまで巻き込んでしまって・・。」
「大丈夫です、子供たちももう大人ですから2日くらい私がいなくてもやってゆけますし。と言うか今頃、私の目から開放されたと羽根を伸ばして喜んでいるはずですわ。そうゆう意味では帰ってからの家の状態がちょっと気がかりですね。多分あの子たち洗物や洗濯物なんか溜め放題だろうから。」
「あーっ、それを言われると僕も肩身が狭くなります。えーと、はい、僕も帰ったら片付けます・・。」
どうやらレオパルドの部屋も洗濯物や洗い物でいっぱいらしい。でもまぁ、一人暮らしの男の部屋などそんなものだろう。
いや、中にはちゃんとしている子もいるのだろうが、この手の家事は一旦溜めるとモチベーションがダダ下がるものなのだ。
その事を誤魔化す為なのか、レオパルドは話題を変えてきた。
「そう言えばエレベさんは魔王と会った事があるんですよね?僕は情報としては色々調べたのでそこそこは魔王の事を理解しているつもりなんですけど、実際にはどうでした?」
「あーっ、会ったと言っても戦いの場での事ですからお話をした訳ではありません。風体に関しても、魔王は戦闘用防具をフル装備していましたから素顔すら見ませんでしたし。」
「えっ、エレベさんって魔王と戦った事があるんですかっ!なんでまたっ!」
「あーっ、結構前に地域の子供たちが薬草を探していて魔王領に迷い込んじゃったんですよ。そして魔族に連れ去られちゃったので返してもらいに行ったんです。でも話し合いが頓挫して相手をぶっ飛ばしたら、たまたま近くにいたらしいて魔王が直々に助太刀に来たんです。」
「げろげろ。でもまぁこうして今ここにいるんだから逃げられたんですよね?」
「ええ、魔王も私たちを女と侮っていましたからね。なのでブランシュの拘束魔法で動けなくして、トロワの衝撃攻撃魔法をぶつけたら脳震盪を起こして気絶したらしいの。なのでその隙に逃げました。」
「魔王相手によくぞご無事で・・。と言うか、相手が油断していたとは言え勝っちゃったんですか・・。でもそれだとエレベさんたちを呼んだのってもしかして仕返しするつもりなんですかね?」
「あははは、それはないでしょう。そんな事をしたら逆に自分の名前に泥を塗るようなものですし。でもまぁ、再戦の申し出くらいはしてくるかも知れませんね。」
「魔王直々に再戦の申し出・・。勇者ならば名前に箔が付くんでしょうけど、迷惑でしかない・・。」
「まっ、その時はギルド長が相手をしてやって下さい。魔王も一介のパートギルド職員相手よりもギルド長相手の方が面子が保てるでしょうし。」
「ぜ、善処します・・。でもなるべく穏便に済ませたいです・・。」
「大丈夫ですよ、ギルド長。だって今回は話し合いに行くんですから。そんな場で刃傷沙汰なんか起こしたらそれこそ魔王の面子が丸つぶれですし。」
そう、今回はあくまで地域活性化の為のプレゼンテーションに行くのだから建前上は荒事など起きないはずなのだ。まぁ、あくまで建前上は。
さて、途中で何度か休憩しながらもレオパルドたちは日が沈む前に魔王城へ到着した。そして休むまもなく与えられた部屋にて礼服に着替えると、魔王が主催した晩餐会の会場へと招かれたのだった。
そして当然そこには魔王だけでなく、多数の有力魔族たちが同席していた。、
だが、レオパルドとしては魔族と同席するのはこれが初めてではない。本部にいた時も結構頻繁に魔族とは交渉する事が多かったので、その雰囲気には慣れていたのだ。
なので晩餐会は和やかなムードの中、至って平穏に進みお開きとなった。
因みにこの時レオパルドは仕事の話を一切持ち出さなかった。何故ならばそれが晩餐会における礼儀だったからである。
と言うか、この時レオパルドたちは魔王と直接会話をする機会はなかったのだ。
まぁ、そこら辺も初対面同士である人間界に所属する者と魔族の長たる魔王が同席する時の暗黙のルールだったのでレオパルドは然して焦らず、出席していた他の有力魔族たちに愛想を振りまく事に徹していたのだった。
何故ならレオパルドは、今回魔王にお金を出してもらう立場だったからだ。つまり接待である。
いや、場を用意したのは魔王側なので接待と言うには違和感があるが、とにかくレオパルドはこの席で出来うる限り印象をよくしようと努めたのだった。
そして晩餐会が終わり与えられた部屋に戻ると、レオパルドはベッドに倒れこんだ。まぁ、多分緊張の糸が切れたのだろう。なのでエレベは無理やりレオパルドの服をむしり取ると、そのままレオパルドに毛布をかけ、自分も明日に備えて眠りに付いたのだった。
因みに部屋こそ同室だがベッドは別々に用意されていた。まぁ、この辺も異世界ならではの常識の違いなのであろう。
そして翌日、部屋に持ち込まれた朝食を摂った後、レオパルドは本来の目的である魔王へのプレゼンテーションを行うべく、魔王の執務室へと呼ばれたのであった。
夏休み9日間連続投稿チャレンジっ!終了っ!続きは来年!
というのは冗談だけど、明日からは宿題を片付けなきゃならないから続きはそれが終わってからねっ!




