第3話 聡、由美を両親に引き合わせる
週末の金曜日の夜、聡は由美を自宅に招待して両親に引き合わせた。
食卓には母親道子が手作りした料理が盛り沢山に並び、それを挟んで父親の剛が向き合って座っていた。
時刻は既に七時半を過ぎている。時計を見上げて道子が言った。
「遅いわねぇ、何しているんだろう?六時半には来る、って言ったのに・・・」
剛は何も言わずに新聞を読んでいた。
暫くして、道子が苛つき始めた頃、漸く玄関の開く音がした。
「只今!ご免、遅くなっちゃった」
そう言った聡の後ろから仲田由美が腰を屈めて入って来た。面長の色白の顔に艶のある黒い瞳、口元はやや大きめだがなかなかの美形だった。
「お邪魔致します」
「どうぞ、どうぞ、遠慮なく此方の方へ」
剛が立ち上って由美を迎えた。
「突然、お伺い致しまして、済みません」
聡が両親に由美を紹介した。
「此方が仲田由美さん。課は違うけど同じ会社に勤めている」
「初めまして、仲田と申します」
「よく居らして下さった」
両親は既にニコニコ顔である。
「親父とお袋だ」
聡の言葉に継いで道子と由美が挨拶を交わした。
「いつも聡がお世話になっております」
「いいえ、とんでもありません、私の方こそ・・・」
剛が座を寛がそうと
「さあ、固い挨拶はそのくらいにして、どうぞ、楽にして下さい、楽に・・・」
由美は微笑して
「はい、有難うございます」
聡が砕けて
「要するにこういう両親なんだ、家は。尤も、もう一人、明と言う弟が居るけど今日も又、遅くなるみたいだな」
由美がニッコリ笑顔で応えた。
「さあ、兎に角、待って居たんだ、家内が腕によりをかけて作った手料理です。遠慮なく沢山食べて下さい」
「有難うございます、戴きます」
「母さん、随分無理したな、旨そうだよ」
剛が早速に日本酒の封を切り、四人が箸を割って、和やかに夕餉が始まった。




