表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボールドウィン・ストライカー  作者: 三重野 創


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/18

ミッドナイト・シャッフル

 ワールドカップ代表メンバーが発表された。実力がありながら怪我に泣く者、期待されてはいたが惜しくも選考に漏れた者と、様々である。4年に一度の世界的大イベントに、日本代表として26名のメンバーに選出されるのは、幸運の星のもとに生まれたと言ってよいだろう。


 気力、体力、知力、もてるものすべてを振り絞らなければ、勝利の女神にそっぽを向かれる。強そうに振る舞う人物が強いわけではない。本当に強くならなければ、敗北が待ち受けるのみである。



 深夜の談話室で、スリートップが円卓を囲む。       


「いよいよだな」

 決野は不動のライトウイングである。シャドウやウイングバックとは異なる。


「ウッス。四年なんかあっという間ですね」

 千田はプロ二年目ながら、ゴールを量産し続けている。


「日本代表は軽く見られているようです」

 世間の声と欧州メディアの評価とでは、乖離がある。


「そのほうがやりやすいぜ。変に持ち上げられてたら、悪いもんを呼び寄せちまう」

 勝って当たり前のチームは、重圧とも闘わなければならない。


「また、こいつがかき回してくれますよ」

 ノボルの実力を認めないことには、負け惜しみと言われてしまう段階に達している。


「左サイドだけでなく、コート全面走りますよ!」

 ノボルの空間の使い方は、偏りを嫌う。


「ボルの動きを見てると、ハッとさせられるんだよな。かき混ぜることの重要性っていうのかさ」

 その調子でハットトリックを達成してもらいたい。


「サッカー以外でも思うっスよ。組織の偏りから、ミルクコーヒーのとごりに至るまで」

 いつも同じメンバーで固定するのも手だが、硬直してきたら替え時である。ミルクコーヒーは完全に均質になっていなくてもいいが、ミルクとコーヒーがマーブル状になっていたほうが千田は美味く感じるのである。砂糖は必ず入れる。


「畑を耕すのにも通じますね」

 湖も人力でかき混ぜているところがある。琵琶湖を眺めると、詩が浮かぶ。


「お前の好きな逆立ちも、体内をかき混ぜるイメージだよな」

 逆立ち健康法は即効性がある。馴れない人はいきなりやって怪我をしないように。


「アレは俺もやってるっス。普通に立ってるだけだと、悪いものが下に溜まる感じがするんスよ」

 プロポーションの維持にも最適だ。


「ポジションもそれだけ激しく入れ替わったら、相手も混乱するだろうな」

 味方も混乱するだろう。これはさすがにろくでもない結果になる。


「決野さんの車に乗せてもらったことがありますけど、三車線を上手に使っている印象を受けました」

「抜かしたいからって右車線ばっかりにいると、息苦しいんだよな。後続車に抜かれたとしても、真ん中や左車線も適度に使うようにしてるぜ」

 高速道路をかき混ぜる決野。下手なサッカー選手は、ボールがあるところに群がろうとする。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ