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散文集(エッセイ的なもの)  作者: 咲田涼人
23/26

第23回 『初恋』について語ってみた

 小生は恋愛小説を好んで読む。もちろんいろんなジャンルや絵本なども読むけれど、恋愛小説についてはその数は圧倒的だ。小生の風貌をご存じの方は『えっ!』と思うかもしれないが、人は外見で判断してはいけない典型的な例と言えよう。

 恋愛経験というのは、ほぼすべての人に当てはまることであろうが、その形はと言えば千差万別。今回はそんな恋愛事情の中でも、誰にでも経験のある初恋について記してみたい。


 一口に恋愛といってもその形はそれこそ千差万別。これはその人自身が持ち合わせている物差しが違うからだと思うが、この物差しもまた生まれ育った環境によって形成されるものであるから、その長さは人それぞれ。考え方や捉え方が違って当然なのだが、この必然が恋愛を余計にややこしくしているのだろう。分かり合えない相手に執着しすぎると、ストーカーへと一直線となる。これは往々にして男性側に見られる傾向にあるが、これにはちゃんとした理由がある。男性は動物学的にオスであり、一般的に、より多くの子孫を残そうとする。これは本能に基づいた行動なわけだが『のべつ幕なしに種を撒き散らす』という意味ではなく、自分の選んだメスに子孫を残そうとするという意味であることは、男性の名誉のために付け加えたい。


 さて恋愛を語る上で避けて通れないのが初恋である。『なにをもって初恋とするのか』というのも個人の主観に拠るところが大きいし、そもそも初恋に定義などないものと小生は思う。統計的に見ると、13〜17歳が一番多いのだが、中には10歳未満と答える人もいる。初めての恋という解釈で間違いはないだろうけれど、自分なりの解釈で初恋を思い返してもらいたい。

 小生も幼い頃に『◯◯ちゃんのことが好き』という感情を抱いた記憶はあるが、これを初恋だとは思わない。今になって思えば、異性のことを好きになって、特別だとか大切だとか思う恋心を抱いた『経験』が初恋だったのだと思う。そう、初恋は決して現在進行形ではなくて、自身の経験の中に記憶として残っているものだと思うのだ。『あれが私にとっての初恋だったなぁ』と。


 記憶というのも曖昧なもので、時が経つにつれて薄れていくのが一般的。小生ほどの年延えにもなると、ついさっきの事さえ思い出せない。困ったものだ。しかし、初恋などの恋愛については鮮明に記憶している。これは『記憶の美化』といわれ、科学的に証明されているものであるが、いい思い出などをより鮮明に美しく記憶しようとする働きが脳にはあるらしい。きっと皆さんの初恋の記憶も美しいものだろうと想像できる。街なかで見掛ける、蛍光灯の光に反射して一部分だけが明るく照らされたポスターのように、あの頃の愛しくて仕方なかった異性への想いだけがクローズアップされて映像として鮮明に蘇るのだろう。成就しないことのほうが圧倒的に多いにもかかわらずだ。初恋の不思議だ。


 幾つになっても、初恋の思い出のような、またドラマのような美しい恋愛をしてみたいものだとは思うが、とはいえ出会いすらない小生にとっては夢のまた夢。ただ幾つであろうが、不意に誰かを好きになったり、自身の中に留めておくだけの淡い感情であるならば、心の豊かさという部分では必要なものなのかも知れない。

 配偶者のいる小生などの出会いといえば、歓楽街に生息するくちばしの紅い夜の蝶くらいのものか。初恋の初々しさには程遠い、歪んだ恋愛事情が関の山である。

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