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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
王都武芸大会編

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86話 サマリード領への帰還 4

-シンタック~バンダーク 移動中の馬車の中-


 シンタックで数日間の足止めを食ったが、街道封鎖も解除されてバンダークへと出発することが出来た。予想外に短期間での解除に皆は驚いていたが、早く戻れる事は歓迎なので素直に喜んでいた。

 バンダークまでの道路は往路と同じく見通しが悪い。ここでもアルとエクスが先行して安全を確認しながら馬車を飛ばしている。ミランも慣れたもので、かなりの速度を出している。横窓から見える木々の流れる速度が尋常じゃない。流石にこのぐらいの速度だと振動も気になる程度にはなる。


「凄いな・・・この速度で移動出来る事もだが、安定性と強度が桁外れだ」


 ノーマは外の流れる景色を見ながら黄昏れている。何かもっと遠いどこかを視ている様にも見えるんだが、大丈夫かな?その辺りは堂々と横になって寛いでるお二人を見習って図太くやってもらいたいな。それだけ気心知れた仲ということで、悪い事ではない。

 この先も街道に盗賊に遭う確率は無い訳じゃない。山賊規模では無くても小規模な奴らはそこそこ活動しているのだ。警戒だけはしておかねば。大物が消えて小物がのさばると言った現象も起こり得るからな。


 王都に行って気付いたのだが、他の馬車にも未だゴム素材は使われていなかった。つまり王国領内にはゴムの原材料が存在しない可能性が有る。この場合、道路の舗装とサスペンションの普及が重要になってくる。

 サマリード領の幹線道路は幅も充分ではなく、整地もまだまだだ。この馬車は金属で補強してあるから車輪も車体も強度が足りているだけで、普通の木製であれば車軸が折れるか車輪が割れるかだ。振動に耐えられないので速度も出せる限界は低い。

 やはり主要道路だけでも石畳にするべきだろう。石材に限りが在るならば煉瓦を大量に作成するしかない。インフラ整備は急務だな。避けては通れまい。

 今思い返しても王領の石畳と街灯は生活水準の上昇に大きく貢献していたと思う。まずは出来るところから真似て、運用知見を積むことが肝心だ。先は長いな。

 

 ふと外を見ると森から抜けていた。もうすぐバンダークに到着だ。先行するエクスからも街が遠くに確認出来た。今夜はここで泊まって、明日は一気にトリスタンまで進む。

 リベスタン砦まで後二日だ。戻ったらロコナ村の様子も確認しないとな。一か月も離れていないのに今は早く戻りたい。


「そろそろバンダークに着きますねって・・・まぁ、着いたら起こせばいいかな」


 昨日までの深酒が効いたのか、三人共良く寝ている。街が見えたのでミランも速度を緩めたらしく、振動がかなり少ない。静かだし、眠くなっても仕方ないか。

 アルとエクスを戻して周囲の警戒に当てる。泊まるのは前回の看板が大きい宿で問題無いだろう。ミランも酒量は少なかったがずっと付き合って起きていたからな。早めに休ませるようにしよう。



-バンダーク街 宿屋-


 前回使った看板の大きな宿屋に入る。馬車を駐車場に収めて受付へと向かう。


「遅い時間に失礼します。またお世話になりたいのですが、5人用の部屋は使えますか」


「やぁ、この間のお嬢さん達か。いらっしゃい、ここを使ってくれ」


 受付台の男は俺達を覚えていた様だ。すぐに鍵を渡してきた。話が早くて助かる。


「部屋を確認したら食堂へ行きましょう。明日も早朝から出発です」


 部屋は二階の一番奥か。ここって貴賓室じゃないだろうな?


「おぉ・・・いいのかい、私らがこんなとこ使ってさ」


「ここって偉い人達が泊まる部屋なんじゃないの?大丈夫なのかなぁ」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「えぇ・・と、マリーナ?」


 宿屋にシャンデリアが付いてる部屋って有るんだな。窓に掛かってるカーテンがやたら高そうなんだが。あれって絹製だよな。奥の寝台は天蓋が付いてるし。床には一面に絨毯が敷かれている。これはハメられたか。いや、前回わざわざ高い部屋を選んで泊まっているからそうとも言えないな。まぁ、一泊だし財布には余裕が有るからいいだろう。


「たまには良いではありませんか。充分に身体を休めて下さい」


 皆の表情が引き攣っている様にも見えるが気のせいだ。寝具も上等だし良く眠れるだろう。奥の寝台は俺が使った方がいいな。多分、あそこは誰も行かないだろうし。


「部屋も確認出来たので降りて食事に行きましょうか」


 若干引き気味の彼女達を連れて階下へと向かう。さっきまで君らが乗ってた馬車も相当な品なんだがな。慣れると気付かないものかも知れない。


「マリーナ、本当に大丈夫なのか?」


 ノーマはまだ気になるらしい。タニア達はそうでもなさそうだが。


「私達は『領主の娘御一行様』なんですよ、一応。何も問題有りません」


「あっはっは、ノーマ、お嬢はこういう感じなんだよ。気にしたら駄目さ」


「そうそう、慣れかな。うん、考えるだけ損だよ。楽しまなきゃね」


「私もだいぶ慣れました。気にせずに楽しんだ方が良いと思います」


 何だか随分な言われようだな。別に悪い事をしてる訳じゃない。代金は問題無く払えるし、警備上も奥のあの位置は都合がいい。疲労回復でも環境が良いに越したことはない。雇用主としては彼女達の体調管理を考慮するべきだろう。


「お好きな物を沢山召し上がって下さいね。まだ先は長いのですから」


 特にミランにはずっと御者を任せきりだからな。本人は苦にしていない様子だが疲れていないはずがない。沢山食べて頑張ってもらわないと。

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