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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
邂逅編

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07話 捜索隊長の苦悩 1

-村人の家の中-


 さてと、どうしたものかな?さっき村の外で会った男について来たは良かったが、その後は良く分からないままに別のおっさんに引き渡されて今に至る。


 建物は土台が石造りのログハウス?そんな感じだな。扉には鍵は無かった。内側からは閂を掛けれるようになっているが出るには問題無いだろう。


 分かり切ってはいたが、何言ってるのか全く理解出来ないのは想像していた以上に致命的だ。彼らの口調や扱いから状況悪化の懸念は薄いが・・・売られたりしないよな?異世界モノじゃ奴隷とか定番だし。捕まったところで逃げ出すのは難しくないけどな。


 今のところ危険視はされていないように見える。

 何言ってるか分からんのでどう反応していいのかも分からないのが厳しい。

 とりあえず見た目は幼女だ、ニコニコしとけば敵意は持たれまい。

 ボロが出ないか内心常にビクビクしているのだが、大丈夫なようで一安心だ。


 しかし、このままではマズイ。早急に言葉を覚えなければ。異世界転生って言語チートがデフォルトで有るんじゃなかったのかよ。割と洒落になってないんですが。


             

-オルナの森 自警団長タニア-


「タニア~、もう無理だって。諦めようよぉ」


 メリッサがまた愚痴を零してくる。気持ちは分かる。私だって同じだ。


「メリッサ、私だって流石に生きて見つかるとは思ってないよ」


 幼い子供がオルナの森に迷い込んで2日も生きていられるとは思えない。ましてや女の子だ。体力的にも難しいだろう。しかもこの辺りは夜になるとかなり冷え込む。


「じゃあ何でここまでやらなきゃいけないのよ?見つかりっこないって」


 急な召集の上、連日森を駆け回れば嫌気も差すだろう。責める気はしない。


「領主様の娘だからね、直接遺体でも見せないと納得しないさ」


 だから今探しているのは遺体若しくはその一部だ。肉食の野生動物が跋扈する森で幼子が生き残れるわけがない。領主様だってそこは分かっているはずだ。諦める理由が欲しいのだろう。


「全部食べられちゃってたら何も残ってないよぉ・・・もう」


 その懸念は否定出来ない。大人は食べ残しで遺骸が見つかることも有るだろうが、幼子は丸呑みされても不思議ではない。


「決められた日程は明日まで。文句を言うな。私らはただ実行するだけだ」


 そう、この短期間で打ち切る決断をしただけでも領主様は大したものだ。



 そろそろ日が陰ってきた。今日はここで切り上げるべきか。


「今日の捜索はここまでだ。一旦村へ引き上げるぞ」


 残り1日だ。騎乗し揺られる頭にそう言い聞かせて帰路に就いた。



 村に着いて馬を預ける。ここの村長はトーラス。彼は領主様を良く思っていない。今回ばかりは協力的な姿勢を見せているが腹の底ではどうだろうな。


「有難う、世話になる。負担を掛けてすまないがよろしく頼む」


 十数名の食事、馬の飼葉、飲み水、休憩場所。一時的にとは言え提供するのは相当な負担になるはずだ。表情には出ていないが歓迎はされていまい。


「領主様のご指示ですから。隊長殿もお疲れでしょう、中へどうぞ」


 我々は一時的に村の礼拝堂を借り受け、そこで寝泊りしている。この村で最も大きい建物がこれだ。簡単なものだが、食事も中に用意されている。


 中に入ると既にメリッサは横になって寝息を立てている。他の者達も似たようなものだ。一日中を森の中で見つかる保証も無いモノを探すのだ。途中、大型動物から襲撃を受ける可能性だってある。疲労困憊で当然だろう。


「ふぅ・・・」


 思わずため息が出てしまった。残りあと1日だ。私も何か腹に入れて休むとしよう。



 軽く食事を終えて横になろうかとした時に村長が入ってきた。私に用が有るらしい。


「隊長殿は領主様のご息女と面識が?」


 急に村長が妙な質問を始めた。


「城で何度か逢う機会があった。面識という程ではないがな」


 捜索隊長が対象を知らぬ訳があるまい。この男は何が言いたいのだ?


 村長は少し考える動作をして黙り込み、周囲を見渡すと私の耳元で呟いた。


「隊長殿に見ていただきたいものがございまして。ご足労願えませんか?」


 見せたい物が有る?疲れていて頭が上手く回らないが村長は至って真面目な面持ちだ。ここで彼の機嫌を損ねても良いことはないだろう。


「・・・分かった。案内してくれ」


 他に聞かれると具合の悪い話らしい。内容に興味は無いが無下には出来ない。ただでさえ負担を強いているのだから、ここは素直に付き合うしかあるまいな。


 村長の後についていくと・・・ここは彼の自宅ではなかったか?

 彼が戸を開けて中に入るのに続いて私も入る。

 入ってすぐに私の目に有り得ないモノが映った。いや、有って欲しかったモノだ。


「お嬢様?ご無事だったのですね、マリーナ様!」


 そこにはもう生存はおろか、遺体拾得すら難しいと思われた本人が座っていた。

 しかし・・・様子がおかしい。私を見ても困ったような表情を浮かべたままだ。


 村長は戸惑いを隠せない私に呟いた。


「どうも耳が聞こえていないようなのです」


 何ということだ!一体何がお嬢様の身に起こったのか?いや、まずは報告しなければ!


 私は村長宅を飛び出して馬小屋へと向かった。丁度伝令役の若者が待機していた。


「伝令、急ぎ城に伝えよ。お嬢様、マリーナ様を保護しましたとな!」

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