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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
邂逅編

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08話 捜索隊長の苦悩 2

-ロコナ村 自警団長タニア-


 一気に慌ただしくなったロコナ村だったが、捜索の終了が確実になったことで皆安心したようだ。警護要員として私以下6名を残し、他は城に帰した。


 明日になれば迎えの者共が寄越されるだろう。まさか生存していたとは・・・予想を良い意味で裏切られた。でもどうやって?メリッサに確認させたところ擦り傷一つ無いとのこと。そんなことが起こり得るのだろうか。


 加えて残念なことに、私やメリッサへの態度にかなりの警戒心が見て取れた。村長は耳が聞こえていないと言っていたが、あれは知らない他人を見る目だ。記憶が失われている?そんな気がする。強い衝撃を受けると一時的にそのような状態になると聞いたことがある。外傷は見られないがあまり良い状況でも無さそうだ。


 いったい何が彼女の身に起きたのだろう?生きて再び会えたのは喜ばしいことだが、疑問は尽きない。ともあれ、無事に保護出来たことに今は満足するべきだろう。



 翌朝、かなり早い時間だが村へ迎えの馬車が到着した。領主様の気持ちが窺える。

 おそらく城に着いてから碌に休憩も取らずにこちらへ向かったのだろう。同行したメリッサの格好も探索時のままだ。


 村長宅へ迎えに上がると、彼女は既に椅子から立ち上がり待っていた。まるで私が来るのが分かっていたようだ。


「迎えが到着いたしました。城へ戻りましょう。お父上もお待ちになられています」


 目の前で跪き、手を差し出すとゆっくりと手を伸ばして私の指先を掴む。  

 顔を見ると微笑んでいるように見える。昨晩とは違い、警戒はされていないようだ。


「では参りましょう」


 立ち上がり、手を引いて馬車へと誘導する。抵抗の素振りは無い。馬車まで着くとメリッサが中から手を引いて乗り込ませる。彼女は誘導されるがままに、特に逡巡する様子も無く馬車へと入った。もっと抵抗されるかとも思ったのだがな。

 まぁ、すんなりと進んだので良しとしよう。今は早く戻ることだ。


「村長、世話になった。追って領主様から何らかの褒賞の伝達があるはずだ」


 娘の保護に一役買ったのだ。懐に余裕が無かろうが、やらねば示しがつかん。


「我らは庇護を受ける身。なれど頂けるのであれば有難いことですな」


 村長は澄ました顔で声に抑揚がない。『いいから早く帰れ』ということか。


「ではな。ご苦労だった」


「隊長殿も、お役目お疲れ様でした」


 物腰はあくまでも丁寧。食えない男だ。このぐらいでないと村長など勤まらんか。


「城へ向けて前進だ。途中、大型動物との遭遇も有り得る。先頭は警戒を怠るな!」


 この辺りでの盗賊被害が出たことは無い。森を抜けて進むので熊などの遭遇も有り得るが、この数での移動だ。警戒して道路近くには姿を現すまい。

 道中の危険度は無いに等しいが、油断して良いものでもない。


 馬車を隊列中央に挟み、ゆっくりと山道を進んで行く。

 戻ってからの報告をどうしたものか。近侍の連中、とりわけ世話役のゼベットは頭が痛いだろう。まぁ、死んでいてもおかしくないところ、無事に戻ったのだ。多少叱責はされても酷いことにはなるまい。


 以前から何度も彼らの目を盗んで城から抜け出しているのは皆が良く知るところ。管理責任を問うのは酷というものだろう。

 ただ、今回の件を受けて監視が厳しくはなる。軟禁に近い状態になるやも知れぬな。

 幼子にとっては息苦しい環境になるが、こうなっては仕方あるまい。

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